日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

特攻隊員の苦悩知る

2011年09月01日 | エッセイサロン
2011年9月1日 中国新聞「広場」掲載

 岩国市内の知人Oさんから著書の1冊を頂いた。その中に「ある特別攻撃隊」という作品が載っている。   
 隊の名前は、「天雷特別攻撃隊」。旧海軍岩国基地で訓練を受け、九州の地から出撃したとある。任務は米軍のB 29編隊へ突入、自爆して編隊に損害を与えること。
積載した250キロ爆弾の起爆スイッチを押して編隊に突入する訓練で、実際には10秒後に爆発し、帰らぬ人になる。

 その20歳前後の隊員たちの、訓練の合間のひとときが書かれている。そこには戦時で特攻隊という状況下での「青春」の姿がある。
 そんなひとつ。O家に招かれた隊員が、座敷に大の字になって寝ころび「畳はいいなあ。家に帰ったような気がする」と話す。そこには、故郷の両親への思いと、元に戻ることのないスイッチを自ら押し、自分の死への秒読みを始める苦悩が伝わる。

 彼らが任命されたのは終戦3カ月前。死の覚悟をしていても、出撃の直前は歌で気持ちをごまかしたという。
 再び「気持ちをごまかす歌」が聞こえることのないことを祈っている。
コメント (2)
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