磯﨑憲一郎『日本蒙昧前史』(文春文庫)を読んだ。
まったくこれまで読んだことのない感じの小説で、たいへんおもしろく読んだ気がする。「気がする」などと書くのは、なんだか素直におもしろかったとも言えない感覚が残るから。まあこれまで読んだ何に似ているかといえば、村上春樹の『アフターダーク』ってこんな感じだったかもしれないな、一回しか読んでないからはっきりしないけど、という感じです。
昭和のある時期の出来事を、視点が飛んでさまざまな人物に焦点が当てられて語られる。
改行はあまりなく、登場人物の名前は固有名詞が出てこないので、これは田中角栄だな、三島由紀夫だな、岡本太郎だな、というふうに有名な人物であればわかるのだが、グアムで発見された元日本兵など私などは年代が少し若いのでわからないことも多い。小野田さんかなあ、という程度。(調べたら小野田寛郎さんではなく、横井庄一さんだった。)
大阪万博の「目玉男」のことは知らなかった。
不思議な小説だったので磯﨑憲一郎に興味を惹かれた。
他の作品もおもしろいものがあるのであれば読んでみたい。