ロンドン超特急

2006-05-31 05:53:27 | 日本最古鉄道
2008年の北京オリンピックの次、2012年はロンドン大会に決まっている。さらに2016年には、東京が立候補する予定である。ロンドンは1908年、1948年につぐ3度目の開催である。不吉な話をすると、今から70年前、1936年にはベルリン大会が行われ、次は1940年の東京、1944年のロンドンという予定だったのだが、世界大戦が濃厚になり、まず東京が返上。急遽代打に決まったヘルシンキだが、結局第二次大戦が始まり中止。さらに44年のロンドンも中止。結局、大戦終結後1948年にロンドン、1952年にヘルシンキという順になる。

その例にならえば、中国内乱で北京が返上。急遽、東京が代打に立つも第三次大戦が始まり、ロンドン大会順延。2016年ロンドン、2020年東京大会になるのだが、まあそんなことはないだろう(たぶん)。


ロンドン大会の話は、あまり報道されていないのだが、新幹線の話がある。1994年にドーバー海峡に鉄道トンネルができたあと、パリ、ロンドン間にはユーロスター号が走っている。所要時間約3時間である。ところが、高速で走るのはフランス側だけで最高時速300キロなのに、英国に入ると100キロ超と半分以下になる。日本海の海岸を走る特急いなほ号より遅いわけだ。原因はシステムの古さと路盤の悪さということらしい。

ところが、2009年開業を目指し、高速新線が建設される。ロンドンから英国南部のアッシュフォードまで最高速度225キロの新幹線である。90分かかっていたところが40分になり、オリンピックメイン会場のストラッドフォードを経由するそうだ(ただし、パリに行くには、途中で乗り換えになるのだろうか?その辺、よくわからない。さらにストラッドフォードというのはシェークスピアの町ということなのだろうか?これもよくわからない。)。

そこに日本の「日立」の車両が納入されることになった。6両28編成分(168両)。400億円相当らしい。単純平均すると、1両あたり、2.38億円となる。

ed72beeb.jpg一方、日本国内ではJR東海とJR西日本が新幹線に「N700」という新型車両を2007年から2009年にかけ、導入する。最高速度時速300キロ。16両の54編成で合計864両で2,600億円とビッグだ。割り算をすると1両3億円となる。英国の最高速225キロが1両2.38億円で、日本の最高速300キロが1両3億円というのは、かなり比例しているのだが、では4億円出すからといっても400キロのものが買えるわけではない。

ところで、英国の新幹線に日立製車両が使われることに対して、一部の報道では、明治初期の日本へ鉄道が導入されたときのことを引き合いにして、「第一号汽車は英国製の新品だったことを考えれば、隔世の感が・・・」というような平和ボケの記事が目立つ。

ところが、当時の日本が1872年に開業した鉄道の導入を決めた時の、技術導入については、英国、米国、ロシアの三カ国がしのぎを削ったことは、すっかり忘れられている。このうちロシアは線路の規格がシベリア鉄道スタイルの広軌で日本的でないので脱落。米国も英国も標準軌だったのだが、当時、英国は自国の植民地用に安上がりな狭軌を展開していた。そのため、明治維新で金策に苦しむ日本政府は、植民地仕様の狭軌を採用してしまう。つまり、車両は英国から輸入するしかなかったわけだ。僅かに米国は、北海道の鉄道とか、新橋駅舎の建設とか限定的脇役に追いやられる。

ed72beeb.jpgところが、そのうち日本は機関車を国内生産しはじめたので、英国の独占輸出の野望はあっけなく崩れる。そして、東京オリンピックを機に日本にも標準軌の新幹線が登場するのだが、そうなると、英国の新幹線レールの上には日本の新幹線をそのまま乗せればいいということになってしまう。

しかし、となれば英国も、何も新型を買うまでもなく、日本で「N700」の導入で不要になる中古車両を購入するなら、相当安くなるような気もする。

が、プライドの高い英国人にそんなこと勧められるわけもないのだろう(電流の違いとか、改造の必要もある)。  


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