オセロ(1951年 映画)

2023-08-25 00:00:37 | 映画・演劇・Video
シェークスピア四大悲劇の一つ。何度も映画化されている。1951年版はオーソン・ウェルズが監督兼主演で、カンヌ映画祭のグランプリを得ている。

その他、1955年にはソ連版、1964年にはL.オリヴィエ主演作、1995年にはアメリカでも制作されている。

四大悲劇の中では筋が簡単であり、解釈が多様なので、有名監督ならやってみたいと思われるのだろう。

時は1570年頃、キプロス島の領有権をめぐって、ヴェネチア王国とトルコが敵対する。海軍同士が敵対し、ヴェネチア側にはムーア人の将軍「オセロ」が就いた。

そのオセロに恋をして結婚した白人女性がデズデモーナ。貴族の娘で父親はムーア人との結婚には反対していた。ムーア人とは主にモロッコ出身で欧州にいるイスラム教のアフリカ系のこと。平たく言うと白人と黒人が結婚したことになる。

ところが成功者を恨む人々は多くいて、デズデモーナが浮気をしているとオセロに告げ口があった。フェイクニュースだ。ところが単純頭脳のオセロは真に受けてしまい、デズデモーナを殺してしまう。

そしてシェークスピアでは多いが、悲劇が起きた後に、真相がわかり、次なる悲劇が起きる。


この映画は、手が込んでいて、冒頭でオセロの葬儀が始まる。最初からシェークスピア劇から離れていく。オーソン・ウェルズが潔癖症だったのか撮影に5年もかかったそうだ。


戯曲が完成したのは1604年のこと。シェークスピア40歳のときだ。つまり、ヴェネチアとトルコの戦いは、同時代のことだった。史劇と言われる『ジュリアス・シーザー』や『ヘンリー5世』とは異なる。

そして、その戦いでヴェネチアは敗退し、キプロスはトルコのものとなる。

つまりかなり示唆的な演劇でもあるわけだ。

それではシェークスピア劇を愉しんでいた英国人は何を愉しんだろうか。

仮説:シェークスピア劇の大半は英国が舞台ではない。イタリアもよく舞台に使われている。英国人から見ると、ヴェネチア人は色が黒くても白くても関係ないのかもしれない。テニスの判定と同じだ。一等国が二等国を上から目線で眺める図だ。

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