ダイヤルMを廻せ(1954年 映画)

2022-11-30 00:00:15 | 映画・演劇・Video
ヒッチコック監督のミステリー。小品といった感じの作品で、妻の不倫に気付いた夫が、妻の殺人および遺産相続を目当てに殺人を画策する。舞台は英国のたぶんロンドン。

といっても、「殺人事件の第一容疑者は配偶者」という古今東西万国共通のルールがあるので、自分の手を汚さないように、殺人を依頼する男を探し出す。高校生の時の知人で、その後汚れた人生を歩んでいる者を脅したり、使い古した札束で犯行計画に引き込む。

もっとも、頼まれた方も殺人の経歴はなく、殺し屋初仕事ということで、失敗してしまう。かわいそうなことに、首をストッキングで締めようとして失敗する。ナイロン製で伸縮自在だったのかもしれない。逆にハサミで刺殺されてしまう。

それで慌ててしまうのが依頼主の夫。妻からの電話で急遽家に戻り、なんとか取り繕い、警察には、不倫ネタで脅された妻が脅しに来た男を殺したように思いこませることに成功。

妻は、その後、死刑判決を受ける。

ところが執行の前日に登場したのが妻の不倫相手で、アメリカ人の推理小説家の男。執行を免れるように推理を重ねているうちに、真相に近づいていく。同様に警察も夫に疑いを持ち始める。

つまり、観客は「無実の罪を着せられた女性が死刑になるのではないか」という観点で観ることになる。だから謎解きでない。

それと不倫女性が観客の同情を得るためには美女でなければならないわけで、主役は夫ではなく妻の方だろう。演じるのは、グレース・ケリーだ。14歳年上のイングリッド・バーグマンと並ぶクール・ビューティ。奇しくも1982年に乳がんで亡くなったバーグマン(67)の半月後に運転中の脳梗塞で崖から転落して亡くなる。女優としての活動は5年間ほどだった。モナコ公妃にならなければ、多くの大作に出演しただろうと思う。

彼女のための映画といってもいい。

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