ホテルを描いた物語というのは、いかにも西洋的で、古くからいくつかの典型がある。ホテル経営だったり、ホテルのロビーで行われる怪しい取引だったり、また密室で紡がれる男女の不毛の愛だったり。
本書は12編の独立した短編からなるが、多くは男と女の出会いを描いている。
どちらかというと、燃え上がったり冷めたりする大人の恋愛を、ちょっと離れた視野に立って、冷笑する。というかホテルマンの立場に立ってみれば、それら本人たちにとっては一生の思い出となるべくホテルでの思い出も、単なる日々の風景と見えるのであろうか。
むしろ、ホテルにはこんな利用法もあるのか、という視点で読むと、ぐっと面白くなるような気がする。
本書は1980年代の中ごろ、まさにバブルが膨れ上がる直前に上梓されたものだが、思えばこの短編小説群に数多く登場する「赤坂の高層ホテル」のモデルと思しき赤坂プリンスだが、今や営業終了となり、解体されるべく運命を静かに待っているように見えるのだが、壊すには惜しいと思っている人が陰でうごめいているということはないのだろうか。
その話の方が面白いような気がする。
本書は12編の独立した短編からなるが、多くは男と女の出会いを描いている。
どちらかというと、燃え上がったり冷めたりする大人の恋愛を、ちょっと離れた視野に立って、冷笑する。というかホテルマンの立場に立ってみれば、それら本人たちにとっては一生の思い出となるべくホテルでの思い出も、単なる日々の風景と見えるのであろうか。
むしろ、ホテルにはこんな利用法もあるのか、という視点で読むと、ぐっと面白くなるような気がする。
本書は1980年代の中ごろ、まさにバブルが膨れ上がる直前に上梓されたものだが、思えばこの短編小説群に数多く登場する「赤坂の高層ホテル」のモデルと思しき赤坂プリンスだが、今や営業終了となり、解体されるべく運命を静かに待っているように見えるのだが、壊すには惜しいと思っている人が陰でうごめいているということはないのだろうか。
その話の方が面白いような気がする。