カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

飲み放題の不公平

2013-08-16 | 境界線

 チェーンなんかの居酒屋で少し戸惑うのが「飲み放題」である。だいたい同じようなものだとはいえ、何となくルールが分かりにくい。説明を受けてもポカーンとしてしまう。早くビール持ってこいよ、という気分もあって心に余裕が無い。そういう時に飲み放題というのは、かえって厄介なのだ。かと言って後で考えると随分料金が違う感じもする。損するというのも癪だから、やはり飲み放題も捨てがたい気もする。
 そうして数人で協議をすると、仲間内にも変わりものは居る。というか好みのはっきりしているというか。そういう人の飲みたいものが飲み放題メニューに無いのは定番だ。それはそれで仕方のない事だが、そうするとかえって遠慮して、「いや、飲み放題でいいです」と翻意されるのも罰が悪い。彼の犠牲によってこの場が成り立っている感じがやりきれない。飲みたいものを選択するのは当然の権利だから、割高になったところで皆はだいたい同意するだろう。しかし今度は頑なに拒否されたりする。この場の嫌な雰囲気をどうしてくれるんだ、という感じがする。
 以前外国人と飲む機会があった時、この飲み放題ルールを説明するのが厄介だった事がある。その人は男性だったのだが、この制度は不公平だ、というのだ。自分がたくさん飲むのは目に見えている(実際凄く飲む人だった)。しかしこの場には女性もいて、彼女たちが自分の分を負担することになるのではないか。考えてみるとごもっともだが、彼女たちだって好きなものをそれなりに飲むだろう。そう説明してもなかなか納得してくれない。それに飲み放題で無ければさらに飲み代が高くなる可能性があるというと、しぶしぶ納得してもらった。しかししばらく飲んでいると、やはり自分たちの安く飲んだ分は誰が負担しているのか、と話を蒸し返すではないか。確かにその時のメンバーは、それなりにたくさん飲む人が集まっていた。明らかに店の負担の方が大きいのではなかったろうか。そうすると、僕らの飲み放題の超過負担を、飲み放題を選択しなかった他の客が負担することになるのではないか(要旨)、というのである。なるほど、それはそうかもしれない。彼の正義感はたいしたものだが、日本というのはそういう不公平を容認する国なんだよ、わっはっは。ということで何とか収めてもらった。
 そういう訳で飲み放題というのは、お得なようで、かえってどうにも厄介な気がする。飲み放題サービスの無い店だと、安心して飲めるような気がする。少なくとも平和である。そういう意味では日本独自の変な不公平感を内包した特殊なサービスなんでしょうね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする