選挙は、大勢は既に決した様相が見えてきた。実際はやる前からかなりの部分は「分かっていたこと」だったのかもしれない。選挙としての争点がよくわからないこともあるし、皆が戦いにくい状況にあったのかもしれない。争点があったとしても、何かそれ自体がどうしたの? という感じもある。本当にたくさんの人が選挙戦を戦っているが、地方区では、いまだに誰が出ているのかを把握できるほどに盛り上がりがあるわけではない。そうしてつぶしあいがなされていることになり、一人が安泰にあるわけだ。僕は選挙にはかかわっているので、選挙前から何度も候補者の話は聞いているけれど、だからと言って今回が盛り上がっている風ではないことくらいは分かる。いつもの人たちがいつものように真面目に集まってきて、そうして生存確認をしているような感じなのかもしれない。それがこの国の選挙の真の姿であるにせよ。
ともかく、参議院選という事もあり、長崎県といっても広いので、選挙カーが頻繁にまちを流れていくという感覚も薄い。僕の住まいや事業所の問題もあろうかと思うが、今のところ選挙カーの声が静かに遠くに聞こえたことがある程度である。誰だったのかさえよくわからなかった。そういえば選挙が始まってるんですよね、と聞かれることがあるが、はて、それは確信をもって僕がその通りと答えていいものか。いや、いいんだけど。
それでも名刺を配り、ポスターを配布して、自分の時間はそれなりに使った。協力のお願いもそれなりにしているわけで、忙しいのに大変なのである。知り合いの中には対立候補側を押している立場の人もいるし、そういう時にはお互いに大変ですね、と苦笑いになる。別段けんかをしている仲ではない。この期間は協力できない間柄になるだけのことである。しがらみがあるのでこうなっているだけのことだから、人間関係としてどうこうなるものではない。
それにしても比例区である。これが大変なのである。これはいろんなところからグイグイくる場合がある。八方美人にならざるを得ないものもある。しかしながら僕は、立場上はこれも推している人がいる。ふだんはちゃんと発言しているが、これが同じ業界でも違う人を推している人もいるわけで、大変なのである。どうにかならないか、それでも食い下がってこられる。うーん、でも立場があるんですよ、立場が。
僕が推さざるをえなく推している人は、いわゆる間違いない人である。人物が立派すぎるくらいだ。だから自信をもって、という事は言えるのだけれど、遠い人たちに向けてこれをうまく説明するには骨が折れる。内心早く終わらないものか、とは正直に思う。少なからぬ得票をちゃんと獲得したうえで、という事にはなるが。
しかしながら選挙としては時間が足りない。それもよくわかる。十分な準備と時間を使って選挙をやっている人なんて政治家にいるのかは疑問だが、そういう中でしのぎを削るのが選挙期間である。そうしていつかは時間が切れる。忙しい方が、その時が来るのも早く感じられるのかもしれない。