入院中に思ったことではあるが、あえて書かずにいたことがある。躊躇したのは、あまり気持ちのいい事がらじゃなかったし、なんというか、書いても仕方ないというあきらめもあったかもしれない。でも
伊藤聡さんのブログを読んでいて、まさしく同じことを書いておられて、やっぱりそのような風景というのは、かなり蔓延した事実に違いないと思った訳だ。
病院という場所には仕事柄時々は立ち寄るのだけれど、以前と比べると、それこそ格段の改善がみられているところという気がする。いろいろ意見はあるだろうけれど、今の病院の看護婦さんたちは、礼儀正しくなったし本当に親身になってお世話をしてくれるようになったと思う。以前はそれなりにひどかったものだけど、そういう人はめったに見られなくなった。もちろん個人差はあるから、いまだに酷い人はおられることだろうけれど、現在の厳しい環境下において、そのような人は勤まりにくくなっているのではなかろうか。
しかしながらそういう中に合って、高齢者の患者さんのふるまいは、本当に見苦しい限りだった。何かと彼女らをつかまえては、あれこれ指図し、いつも文句ばかり言っている。もちろん全部の人がそうなっている訳ではないが、ゴミ箱の位置だとか食事の事だとか、いつまでもいつまでも文句を言っているのは、決まって高齢の人ばかりだった。入院生活は比較的快適だったけれど、そういう風景だけは、本当に残念なことだった。
高齢者のふるまいは、日常においてもいつの頃からかよく目につくようになったと思う。
スーパーなどに買い物に行くと、車の脇にカートを放置しているのは決まってご年配の人だ。レジであれこれ文句を言う人も時折見かけるし、商品棚で仕事をしている人をつかまえていろいろ苦情を言ったり、世間話を大声で言っている風景もよく見かけるものだ。障害者用スペースには年配の運転の高級車だったりもする。道路の植え込みなどに空き缶などをポイ捨てするのも、今はヤンキーの仕業よりも高齢の軽自動車だったりする。職場の山道に車を停めてゴミを捨てに来る輩も、大抵ご高齢の人だ。犬の散歩で糞を処理しないのも、大抵年配の人で、中には糞を取るふりをして、そのままにするという演技をする人もいる。なんという情けなさだろう。
僕は業界では若手の方なのだが、普段の付き合い上、多くの目上の人ばかりの中で過ごすことが多いのだけれど、彼らの話題を聞いていると、人事などの人のうわさ話や、そこに居ない人の悪口というのが一番多い。その他も、テレビで聞いたことがあるような、実は内情をよく知りもしない薄っぺらなゴシップばっかりだ。そうして驚くほど若者に対する評価は厳しく、下手をすると若いというだけの人に対して敵意をむき出しにするような事をしたりする。時々そのような思い違いを正すような発言をこちらがすると、本当に面白くなさそうにうつむくのである。
日本の高齢社会はこれからも長く続くことである。そうしてさらにこの度合いは高くなっていくのである。数字の上での将来像は様々語られていることだが、そのような危機感のある事実を前にしても、現在の政治を含め、そのことを改善しようとすることはなかなか進んではいない。そういう現実は、実際に高齢社会にあって、当事者が自覚をしていないということが一番大きいのではないかと思うことがある。高齢の方には、もちろん立派な人もたくさんおられることとは思うが、どういう訳か、そうではない人も一定以上見受けられる事が多くなっているようなのである。高齢者問題の最大の課題は、実はそのような厳しいふるまいの蔓延する社会なのではあるまいか。そのような未来が住みやすいものとは到底考えられない。今の若い人が、本当に気の毒になるのである。