ちょっと前に若い男性がカフェイン中毒で亡くなったというニュースがあった。なんでもエナジードリンクを飲み過ぎであったらしい。報道では亡くなった男性は、そういうカフェイン入りのドリンクを習慣的に飲んでいたという。そういう書き方には誤解を生みやすいとは思うが、実際にはカフェインの錠剤も飲んでいたらしく、相当無理をして一気に多量の摂取をしたのがいけなかったのだろう。常習的で悪いとしたら、素直に寝て眠気を覚ますことをしなかったことと、いつも飲んでいるので、耐性があると思い込んで多量摂取に至った疑いはあろうかとは思われる。多少の警鐘の意味は見て取れるが、そのように摂取をしなければならないと考えている精神性や、その男性を取り巻く社会的背景が分かりにくい。あまりにレアケースなので、これが一般の人の警鐘になるという考えは浅はかだろう。
しかしながら、普通はどれくらいが限界かというのは少し明確では無いらしい(※実際の致死量と考えられているのは、成人では5~10g。コーヒー約50杯分といわれている。よって医学界では、通常の生活において、コーヒーやお茶などから摂取されるカフェインで健康被害が起こる可能性は無いとされる)。だいたいの目安としては400mg程度以下にしておいた方がいいのではないかと新聞には書いてあった。コーヒー一杯には約135mgのカフェインがあると言われているので、3杯も続けて飲むと、だいたい限度となるようだ。まあ、3杯程度がぶ飲みするような人間は絶対に居ないとも思えないので、それなりに危険水準は高いものではないかもしれない。まあ、4杯目は時間を置いて飲むようにしましょう。
どういう事情があったのかは知りえないが、とにかくカフェインで起きていようというのは安直な一時しのぎである。仕事などの事情だったとしたら、この人はよっぽど仕事の出来ない人だったのかもしれない。責任感が強かったという考え方もできるかもしれないが、眠気を抑えてやるような人に集中力があったとは考えにくい。一緒に仕事をするには、危険の伴う可能性のある迷惑そうな感じさえする。死んでしまったので不幸なことであったけれど、カフェインの過剰摂取の危険性を報じるよりも、その前の生活態度をどのように考えるかの方が建設的である。寝ることが出来ないほどに気になることがあるような生活自体が、きわめて不健全だ。その延長に、もしくはそれを助長することにカフェインを使うという思想の流れにこそ病理は隠されているはずである。
それにしても、実際には若い男性だったということもあって、体力があって無理がきくからこそ、つらさを押し通してまで起きていようとしたのかもしれない。追い込んだのか追い込まれたのかは知らないけれど、欲望が身を滅ぼした例と戒めることとしよう。