カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

うてあってくれない言葉

2023-12-13 | ことば

 僕は九州は長崎県に住んでいるので、日頃の会話はふつうに方言が多いと思われる。口語では文章とは違う単語を、自然に使い分けているはずだ。しかしながら時々文章を書いていて、ワープロソフトがうまく反応しないというか、標準語として疑いなく使っていて、後に方言だと気付く言葉がある。思い出そうと思えば、それなりにたくさんあるはずなのだが、今回は「うてあう」がそうだった。「うてあう」と打つと「打て合う」と変換されたので「むむむ」となった。これは何かが違う。先日「供述」という文字を出そうと思って「きょうじつ」と打ち込んで「凶日」と出た時のような驚きだ。しかしそれは単なる思い込みによる打ち間違いだったので、今回は違う。「うてあう」という言葉に対して「打て合う」というのでは、意味としてちょっと変である。剣道や碁であれば通じる話かもしれないが、そういう状況でないのにこの漢字が当てられるには、相手がこちらの意思を酌んでいない証拠なのではあるまいか。
 これは長崎弁というか、九州北部に共通する言葉のようだ。「うてあってくれない」とか「うてあってあげなさい」など、子供のころからよく言われていた気がする。子供のころだから、友達と仲良く遊びなさいという感じだろうか。子供同士だともう少し乱暴な言葉遣いになって、「かっちぇない」とかになるのかもしれないが、正確には忘れてしまった。
 かつて「離合」が方言だと知った時以来の衝撃度があるが、これってやっぱり九州以外では通じないのだろう。あんまり特殊な語感も無いし、九州以外の人でも普通に使いそうな雰囲気も持っている。もっともこちらがそう思っているだけのことで、そうではないという感じが何とも具合が悪いのである。「相手にしない」というよりも、ずっと口語として自然な感じもするし、いわゆる柔らかさがある。方言というのは、共通で使っている分には、そういう親しみも込めて柔らかさがあるものかもしれないが、「うてあう」には共通語っぽい語感のままそれがあるのである。違う事実が目の前にあって、いくら頑張ってもその事実を変えようが無いのだが、つくづく残念な感じがするのかもしれない。こういうのは、やっぱりわからない人には全然通じない感覚なのだろうけれど……。
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3 コメント

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納得 (はじめちゃん)
2023-12-13 06:56:58
「離合」・・・よく分かります。
標準語だと「すれ違う」とか「行き違う」になるって最近知りました。
方言が漢字で変換されるのもすごいよね。
Unknown (マサアキ)
2023-12-13 07:11:28
はじめちゃんさん>「離合」は熊本でも聞いたことがありますので、九州ではふつうの言葉だと思いますが、東京地方になると通じないようですね。確かに漢語で方言というのも珍しいですし。他にもそういう単語ってあるかもしれないですね。
離合について (マサアキ)
2023-12-13 10:41:27
「離合」は一応方言ということには一般的にはなっているのですが、しかしこれは専門用語を知らない関東地方の人が勝手に方言だとしている可能性もあります。それというのも、鉄道関係ではそもそも「離合」は使われていることが知られていますし、船舶でも狭い水路などでは使われている記録があるようです。要するに、そのような場所というのは田舎特有のことで、さらに専門用語なので、方言なのではないかと考える東京人の語感である可能性もぬぐい切れないようです。

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