4時02分の銃声・刑事コロンボ/デニス・デューガン監督
封建的な父親と娘問題が背景にある。実はこれは僕には以前からあんまりよく分からない分野なのである。娘が居ないというのは置いておいて、そういう精神構造がよく分からんというか…。娘が可愛くて自分の思うようにしたいという欲求までは少し分かる。恋愛とは違うかもしれないが、そのような親というのは居そうである。しかし、だから実際に娘の行動を縛りつけて、さらに恋愛問題まで関与するというのが分からん訳だ。本当にそうしたくなる人が居そうなところとか、実際にそういう話を聞いたりすることもあったりとか、さらにこのようなドラマになるということでも、多くの人には共感のあるらしいことが不思議なのである。
娘を嫁に出したくない心境というのは、自分が妻にしていることへの裏返しがあるという話は聞いたことがある。自分が妻にあんなことをしてこんな事をしたということは、娘の旦那だって多かれ少なかれそんな事をするのではないかという恐怖だという。特にあんなこんなは各人で考えてもらうとして、さて、そんなに罪の意識があるのなら、すぐに改めるべきが先だろう。
小さい頃はパパと結婚すると言っていたくせに、ほかの男と結婚したいなどということが裏切り行為だという話もある。まあ、それは裏切りには違いないが、だからなんだという感じもする。娘は妻ではないし愛人では無い。子供って最初からそういう違うものじゃないのだろうか。
どこの馬の骨とも分からん奴と一緒になるのが許せないということもある。しかしながら若い男というのは、多かれ少なかれそんなもんだ。自分がそうだったから分かる訳だし、そもそも娘のセンスがその程度だった事を恨むより無かろう。相手の所為というより自分の娘の愚かさを嘆くべきだ。
お話のトリックはまたしても電話。このシリーズは電話トリックが好きだね。携帯電話になった現代において、既に使え無い技法。さらに解決に向けて犯人をはめるトリックも、電話がらみと大がかりなお芝居。けれどもう少し相手の決断が速かったりすると、命が危なかったかもしれない賭けである。危ういバランスの話だったな、と思った訳でありました。