カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

厳しい兄は嫌われる   もう一つの鍵・刑事コロンボ

2013-08-05 | コロンボ

もう一つの鍵・刑事コロンボ/ノーマン・ロイド監督

 トリックは証言だのみで証明するだけではどうなのか、という疑問はあるにせよ、追いつめ方は淡々と見事という感じ。やはり初期の頃のコロンボの嫌らしさは、大げさに嫌らしい訳でなく、とにかくしつこいかぎまわり方の嫌らしさに味がある。本当に嫌われてしまって、本当に捜査は大丈夫かな、とも思わせられる。しかしそうであるからこそ、犯人はかなり精神的にも追いつめられて、生活そのものを破綻させてしまうという感じ。人を殺すという負い目もあるが、逃げられない事による精神的な軋轢こそ、罪を犯した罰の一つなのであろう。
 ところで、兄と妹という関係において、兄が親代わりになって妹に厳しくするという図式というのは、何となく馴染がうすい感じもしないではない。妹だから誰もが甘くなるということではないだろうけれど、このお兄さんは確かに妹に厳しすぎるところがあるようにも思う。結果的にそれは見る目があったとは言えるのだが、母親との関係においても見離されており、そもそも不思議な妹だったのかもしれない。兄を殺してどんどん傲慢になっていくさまはちょっとしたホラーで、その力の使い方は恐ろしいものがある。会社の規模もあるだろうけれど、そういうことが簡単に出来てしまうような会社っていうところも、なんだか日本のボンボンの会社みたいで不思議である。いや、日本だって簡単じゃないだろうけれども。
 そもそも計画通り犯行が進まないまま強引に計画を推し進めてしまった事と、兄とフィアンセの関係を読み切っていなかったところにも敗因はあった。さらに自滅して自分の味方を失うのだから自業自得である。その前の段階で無罪になっているのだからお話としては少し甘いのだけれど、だからこそ演出的な制裁が必要だったということなのかもしれない。時代が古いと今とは違った社会常識があるらしいということも含めて、考えさせられる作品であった。
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