カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

奥さんを観てもらうということ   殺意の切れ味・刑事コロンボ

2013-08-11 | コロンボ

殺意の切れ味・刑事コロンボ/ビンセント・マケビティ監督

 正直言って、愛人が浮気相手に協力して殺人を犯してしまうことが一番理解できなかったかもしれない。浮気であることを了解していて、今の状態に特に不満そうに見えなかったからだ。金持ちの奥さんとの関係は、そういう状態だからこそ安定しているとも言える。奥さんは旦那に不満があるようだが、旦那本人を殺すのではなく、旦那が犯人になるように仕組むのである。
 さらにそういう自分には見ず知らずの人を殺すにしても、相手の人の良さに付け込んで殺してしまうのもなんだかつらい。良い人じゃなかったら殺されなかったということもいえて、かわいそうなのである。遊びにつきあわされて殺される虫のようなものじゃないか。
 浮気をしているという反社会性はあるものの、鑑識の仕事という手がたい(らしい)仕事をしている。自分がそういう仕事をしているからこの手口に自信があったということは考えられないではないが、そういう人がコロンボの事を知らない訳は無くて、つまりそのようなトリックであっても名探偵が見破らないという自信がどこにあるのかというのが分からないところだ。もちろんそれはテレビを見ている側の理屈かも知れないけれど。

 浮気相手の共犯役はピーター・フォークの奥さんであるシーラ・ダニーズ。新シリーズでは度々出演しているが、今回も色っぽい場面など重要な役どころをそつなくこなしている。役者夫婦がどの様な感覚を持っているのかは知らないが、監督さんなんかだと自分の奥さんをよく脱がせたりしている人も多い。P・フォークさんにもそんなような趣味があるのかもしれないと思ったりした。いや、奥さんの方からそういう役をやらせてくれと頼むんだろうか。年の差もかなりありそうだし、夫の死後にも自分なりに役を続けていこうという意欲の表れなのかもしれない。
 役者というのは自分を客に見てもらってナンボの世界なのだろう。コロンボというヒットシリーズに出られることは相当顔を売ることになるということなのだろう。確かにはるか遠くの国の日本でも、このように彼女を見て感想を書いている人間が居る訳である。そういう事実は本人は知らないだろうけれど、そういうことに喜びを感じる人種ということなのだろう。面白いものですね。

 さて、謎解きの方は、コロンボのなかなかの観察眼が生きていて、新シリーズの中では良いと感じた。二人の関係を見抜く視点は、妻の浮気を知った男のような感じも無いではなかったが。謎解き解説をコロンボ本人がするのはちょっと異色だったけど、久しぶりに楽しめたな、という感じだったのである。
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