変化


LEICA X1

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何の予定も立てず家を出たが、山手線に乗っているうちに、ふと中学生の頃住んでいた街を歩いてみようかという気分になった。
街はすっかり変わってしまったという話を、いろいろな人から聞いていた。
それを確かめてみたくなったのだ。

駅で降りて、ライカを片手に、かつて通い慣れていた道を歩く。
確かにはじめて見る大きなビルが建ち、いつも覘いていたお店の多くは既になくなっている。
しかし道路や、その表面の起伏は当時のままで、決して変わってしまったというほどではない。
あれから30年以上も経つのだから、このくらいの変化は当たり前、正常進化の範疇にある。

まずは当時借りていた、自分の家の前まで行ってみた。
建物はそのまま残っており、子供の頃走り降りた外階段も当時のままだ。
今は誰が住んでいるのか知らないが、御近所の家の表札を見ると、あの頃と同じ苗字が並んでいる。

30年もの間、ここでは時が止まっていたのかと思うと、不思議な気分になる。
表通りには大きなビルが並ぶようになったが、裏の住宅街はほとんど変わっておらず、コンクリートの壁についた染みも、あの時と同じである。
都会的とはいえない、人が生活しているごちゃごちゃとした怪しげな雰囲気が、そのまま残っているのだ。

通学路を通りながら、学校の方に歩いていった。
かつてその場所で起こった、様々な出来事がよみがえる。
そのたびにライカを向けてシャッターを押した。

クリーニング屋さんはあの時のままだが、今はおじさんもきっと年をとったろう。
整形外科の病院も健在だが、厳格だった院長先生はもういないかもしれない。
線路の上を渡る陸橋は、新しい立派なものに作り変えてあった。
時折遊びに行った友人の家は、案の定当時とまったく同じで、今でもここに住んでいるに違いない。
毎日のように通ったペット屋さんは既に無くなっており、30年の間に何かドラマがあったことが窺える。

学校に行ってみると、選挙の会場になっているようで、近所の人たちが集まっていた。
校舎の周りを、写真を撮りながら一周してみた。
学校のことは、それほど好きなわけではなかったのだが、不思議と今でも夢に見る。
それも裏の細い路地とか、普段あまり行かないような、とんでもない場所が出てくる。
その場所を確かめるように、写真に収めていった。

今日撮った写真は、極めて個人的なものばかりで、ここに使えるものはほとんど無かった。
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