たかべ・タカベ
【語源】
「たか」とは、陸に近い海と言う意味がある。そこからきているのではないかと言う説あり。
呼び名は地域によってさまざま。「ホタ」、「シマウオ」、「シャカ」、「ベント」など。
タカベの南蛮漬け
【旬】
5月~9月(初夏~夏)が旬とされている。夏にしか味わえない季節感がある魚。
【うんちく】
尾から背にかけての黄色のラインが鮮やか。「ウメイロ」と言う魚と良く似ているので
御間違えなく。
『たかべ』は潮通しの良い岩礁域で群れをなして泳ぎまわり、動物性プランクトンを食べて
育ちます。
定置網や刺網、釣り、追込み漁などで漁獲され、特に伊豆諸島で春から夏のかけて大量に
漁獲されます。
元来、脂ののりが非常に良い魚ですが、この時期は産卵期前であり、更に脂がのる為、
塩焼きが最高。
魚屋さんに「今まで食べた塩焼きの魚で一番は?」と言う質問をすると、この『たかべ』と
答える人も少なくありません。
タカベの焼き物
また、平安時代には「中秋の名月を見ながら、『たかべ』の塩焼きを肴に酒を呑む事はこの上ない
ぜいたくである。」と言う意味の句まで残っているほどです。
ちなみに、旧暦の中秋の名月は8月15日です。
タカベの塩焼き
【ブランド・産地】
こんなに美味しい魚なのですが、ブランド化はされていないようです。
産地は新島、神津島、八丈島などの伊豆諸島です。『東京都産』で販売される数少ないお魚です。
【産地ならではの漁師料理】
『たかべ』は塩焼きが最高。しかし、漁師さんの一押しは《背越し(せごし)》です。
①ウロコをとり、頭、内臓、ヒレを取り除きます。
②背から一気に包丁をいれ薄切りにします。つまり、丸のまま・骨ごと薄切りにするのです。
③醤油、又は酢醤油で食べます。
骨ごと食べるので旨味が骨からにじみ出て来ます。最高!
この料理のポイントは、1に鮮度が良い事。2に小ぶりの『たかべ』を使用する事です。
元来、たかべの骨は柔らかいですが、小さめの魚だと なお骨が気になりません。
また、少し酢であらってから、醤油で食べるとより柔らかくなりますよ。
簡単で、美味しい! 漁師気分を味わってみて下さい。
タカベの背越し
【栄養と効果】
細胞の老化や酸化を予防するビタミンE が豊富。また、血中のコレステロール量を下げる
DHA・IPAを多く含んでいる。
『たかべ』の情報、ドシドシお待ちしています。
タカベの塩焼き
タカベの煮付け