つきみそう

平成元年に出版した処女歌集の名

歌集 「一粒万倍」

2010-01-24 | 短歌
 岐阜県恵那市の砂場房さんから、歌集 「一粒万倍」(いちりゅうまんばい) が贈られて来ました。面識はないのですが、この第一歌集を拝見しますと、どんな人生を送られているかがよく分かります。下に抜粋した歌の八首目から歌集名が採られています。ながらみ書房。224ページ。(下の写真は歌仲間の家で撮らせて頂いた白のカタバミ)

幾そたび雪冠りたる恵那山の地肌みえ来ぬ菜種つゆ明け

稲架ほどく吾のゆとりよ仰ぎみる御嶽山は銀にかがやく

十七まで数えて麻酔に深く眠る嫁ぎきて以来の安息の刻

未だ知らぬ生母を叔母と呼ばしめて吾子との日々過ぐ春から夏へ

「母ちゃんは母ちゃんや」と言いし子を強く抱き打ち明けしのち血の気戻りぬ

久びさに娘と湯浴めば湯気通し十六歳の胸のふくらみ

遺言と変りし舅の教えあり一反に十キロの追肥撒きゆく

荒してはならぬ転作田に蒔く豆よ一粒万倍の日を選び蒔く

夫の靴履きて徘徊をしたる姑寝たきりとなり八年が過ぐ

生徒らの付けし墨汁ふきてゆき夫と充実の夜のひととき

        

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9 コメント

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おはようございます~♪ (コスモス)
2010-01-24 07:41:26
matsubaraさま
 今朝は始めから写真は大きく綺麗に見えました!(^^)!
 今朝ご紹介の歌を拝読して、胸に沁み入るものが有ります。
中途半端な生意気な感想は書けませんね。
一度書きましたが、削除させて頂きました。
これも私の正直なコメントと思って頂ければ・・・ 

   
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Unknown (平安人)
2010-01-24 09:41:23
お早うございます
一粒万倍とは農業を営む方達の思いだけでなく人生哲学として言われている言葉でしょうね
掲げられている和歌それぞれに詠まれた方の生活実感が胸に伝わって来ました
和歌の世界の事は全く知りませんがこの様な日々の生活体験を詠まれた歌も良いものですね
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コスモスさま (matsubara)
2010-01-24 13:07:09
つれづれ日記の渡月橋の写真は何処から撮られたかは
私も分かります。やはりあの場所がいいと思います。

彼女の歌集は半生が詠まれていますから
そう簡単には批評はできないですね。
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平安人さま (matsubara)
2010-01-24 13:17:57
実はもっとのせたい歌がありました。
次の作品を追加します。

やさしければまた泪の伝いくる産めざるうつつを夫に任ねて

突然にわが胸ささる思いする血液型問う吾子の目のまえ

都合で割愛しましたが忘れられない作品です。


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Unknown (oko)
2010-01-28 12:18:42
拝見しましたままコメント失礼致しております。
質問が恥ずかしいので少し時間をずらしてさせて戴きます。

未だ知らぬ生母を叔母と呼ばしめて吾子との日々過ぐ春から夏へ

「母ちゃんは母ちゃんや」と言いし子を強く抱き打ち明けしのち血の気戻りぬ

以上2首に対するmatsubara様の選評または説明のご指導をお願いします。
直ぐでなくても結構ですので宜しくお願い申し上げます。
今年は選評の勉強に何も手が尽きません程に悩んでおります。


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追伸 (oko)
2010-01-28 12:24:56
やさしければまた泪の伝いくる産めざるうつつを夫に任ねて

突然にわが胸ささる思いする血液型問う吾子の目のまえ

上記2首を拝読させて戴き、お歌の内容は理解できました。
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okoさま (matsubara)
2010-01-28 14:44:53
okoさまにはもう少し紹介したい作品がありました。私の説明よりもこちらがよろしいかと・・・
魂の叫びと思わせられる歌でした。

成功不成功一切委(たく)すと署名して白く冷たき手術台に載る

産まぬとは斯くも悲しき事なるや恣意なる吾とも思うなけれど

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Unknown (oko)
2010-01-28 19:35:01
ご丁寧に有り難うございます。
今はお幸せの日々と読ませて戴きましたが、「半生が詠まれています」 お歌。
女性でなければ解らない心のお歌ですね。
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okoさま (matsubara)
2010-01-28 20:36:20
はい、今はお姑様も亡くなられ、静かで
お幸せな生活のようです。

ご主人様はお勤めの傍ら、夜に書道塾を
開かれておられるようです。
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