先日、高嶺東京歌会の歌友・佐藤靖子さんから、処女歌集「水翳」が送られてきました。東京歌会に初めて顔を出したのが、東京に転居した20年前。後に岐阜に帰郷したのですが、それ以来知己を得ています。それまでは神戸歌会に参加していました。何という都会的な人かと思ったのが、彼女の第一印象でした。歌も洗練されています。歌集の装丁もおしゃれです。
好きな作品を挙げます。最初の歌は、表紙カバーの内側に白抜きで印刷されている作品。4首目は、離婚をさりげなく詠まれています。歌集のタイトルは、最後の歌の水翳より取られました。最下段の写真は、表紙カバーを外して撮影。高嶺叢書94編。西武印刷株式会社印刷。230ページ。
耳よせて聞いてみようか吹く風にペンペン草が音立つるかも
靄たちてまだ強しその靄にわが影うつりわれと歩けり
深大寺のなか通るとき今日あへる波郷の墓に花があたらし
ひとり缼け暮らし変はれる年の瀬に五風十雨の額を飾りぬ
三日月にかかれる暈はは三日月の形にそひてまろく包めり
上弦の月を見ながら帰るみち満月までに為すことありて
大雨のあとの夕日に照らさるるものみなすべて水翳のごと
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