今シーズン一番の冷え込んだ朝、近くの小学校の運動場から「頑張れー」「イケイケ」など児童らの応援するような元気な声が聞こえる。少し寄り道にはなるが声の方へ向かう。紅白の運動帽を冠った児童が運動場を長い列になって周回している、持久走らしい。応援する声はしゃがんでいる児童の一団、声を出し、中には立ち上がったり手を振ったりしている。
走っているのは高学年に見えるが、走る様子は百人百様。歩いている赤帽、かなり疲れているようだが腕は振っている白帽、徒競走の様に競い合う二人、振り向いて後を追ってくる白帽へ声掛けする赤帽、見ているだけだけの者にはどの走りも楽しく微笑ましい。眺めながら、運動音痴なので校内マラソン大会に備えて密かに練習したことを思い出す。
歌と運動が音痴なことを子どもころからよく自覚している私も中学生になる。全生徒参加の校内マラソン大会に欠場は出来ない。直前には運動場周回の練習が授業としてあった。それにはついていくのがやっとだった。何を思ったにか下校後に自宅から坂道を含むかなりの距離を何日も走った。少しだけ自信をもって初参加の日を迎えた。全学年男子はおよそ500人、ゴールで渡された着順札は69。自分でその数字に驚きながら札の上下をひっくり返して見たが69だった。
運動場を周回している児童ら、この持久走の成果を発揮する機会がセットされているのだろうか。自分の小学時代の記憶には浮かんでこない周回の走り。東京には間に合わないがそれ以降の五輪を狙う代表が現れるかもしれない、向こうに見える紅葉のすすむ翁のような大木が見守っている。