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名勝・錦帯橋近くの吉香公園には各種・大小の樹木が数多くある。そんな木のいくつかは、種類や名前、特徴や用途を説明板が教えてくれる。その中の1本。錦帯橋を横山側へ渡ると県指定有形文化財香川家長屋門がある。岩国藩五家老の一つである香川家の正門で1693(元禄6)年に香川正恒によって建立された。この門を過ぎたところが公園の入り口。その入り口に1本の大樹が立っている。
「サイカチ(まめ科) 別名をカワラフジノキという。落葉高木で、高さ15m、幹径1mに達するが、この木は約直径120cmもあって、これだけの大木は珍しい。葉は食用に、豆果はサポニンを含み薬用になり、トゲは利尿剤・解毒剤として利用される」、これは説明書きの全文。木の大きさに比べ説明版は小さくて見落としそうになる。読み終わって「そうなの」と見上げると幹の途中から何十本もの小枝がさわやかな緑の葉を付けて伸びている。
サイカチの木は「不老の木」と呼ばれ、樹齢を重ねるごとに根が地中深く伸び、支根が網の様に広がり土砂をしっかり抱き込むことから、大洪水の際も堤の決壊を防いできたといわれる。天正年間、丹波亀山城築城の際に当時の城主・明智光秀は、保津川の氾濫で堤防が崩れるのを防ぐ目的で植栽した。樹齢400年以上といわれれる巨木が今も残るという。
横に伸びる枝は八方に広がり、枝に生える新葉は食用にもなり、天明の飢饉の時は村人たちの命をつないだという史実も亀山には残っている、と書かれている。1本のサイカチだが掘り起こせば何かドラマがありそうに思える。もしや、錦川の氾濫を防ぐために植栽され、時には飢饉から生き延びる助けになったかも、雄姿はそんな想像を容易にさせる。
サイカチという名は「災難に勝つ」や「再び勝つ」など幸先のよい木という意味で名づけられたという。古人が生活に欠かせない樹木と位置付けた意味合いを納得させる樹名に頷く。
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