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公園の隅っこにある蛇口から、ポトポトポト、ポトポトポト、と止むことなく忙しそうに水滴が落ちている。凍結防止、いや防寒の装いは何も受けていない。寒かったろうと思いながら栓をねじるも動かず、水滴は落ち続ける。
大寒波が上空にあるという昼前の公園には誰もいない。夏場なら汗を拭い、顔を洗い、のどの渇きをいやすため多くの人に使われているのだろう蛇口。今はしょんぼりとしているというか、寒くて鼻水を垂らしているようで、ちょっとかわいそうに感じる。
その蛇口を眺めながら「恩したるは忘れよ、恩得たるは忘るる事なかれ」という言葉を思い出した。恩着せがましいことはせず、お世話になったことは忘れるな、という私でもわかる戒め。蛇口は、公園でくつろぐ人らの暑さを癒したことは忘れ、いま有るに任せている姿は人にも通じるようだと。
そんな蛇口の少し上では桜のつぼみが陽を受けている。無数についているつぼみはまだしっかりとした硬さに見えるが、春の訪れを合図している。立春は過ぎた、この寒波が遠ざかれば多少は春めいてくれるかも、ちょっと冷たい風が、まだまだと通り過ぎた。
(写真:恩したるを忘れた蛇口)
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