7月が終わる。文月(ふみづき)が明日から葉月(はづき)に変わる。台風が通り過ぎて風雨がおさまることを台風一過という。台風一過の青空と言われるほど爽やかになる。しかし、今回の台風12号は例のない進路を進み、九州南部で足踏みしている。この吹き返しで爽やかな台風一過とならない。
爽やかではないがここ二日ほど少ししのぎやすい。盆前の墓掃除、今年も例年通りのタオルと冷たい飲み物持参で出かけた。午前中の作業だったが、少し風も吹いていたせいか大汗をかかずに済んだ。また、小さなマイルームだが、エアコンを使わず扇風機の弱風で今夜もパソコンキーを打っている。月が替わると真夏日が再到来の予報、エアコンを一休みさせておこう。
エアコンどころか扇風機すらないころは自然の風とうちわや扇子を扇いで風を起こし涼んだ。そう、うちわは、ただ扇いで風を起こし涼むための具と思っていた。ある書家の旬報に「江戸時代は、庶民の間でうちわに『内和』、『家和』と言う字を当てて、家内に平和をもたらすという縁起物でもあったそうです」と載っている。
昔の映画では、うちわをゆっくり左右に扇ぎながら子どもを寝かせつける母親の姿を見る。それは何でもない生活の一場面のように見ていたが、「内和」「家和」の意味を思えば重い意味が演じられていることになる。江戸時代庶民の知恵に今さらながら驚く。旧暦の季節分けでは7月、8月、9月は秋、8月は仲秋に当たる。エアコンを止めうちわを手に戸外の風にしたるのも風流かもしれない。