日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

舌刈り

2018年04月07日 | 社会 政治

 焼き物同好会では月2回会場である県の施設へ出向く。そこは、瀬戸内海沿いの国道から分かれ、急峻な斜面に設けられたつづら折りの県道をおよそ6㌔走った海抜500㍍にある。快晴の日は四国石鎚山も眺望できるいいところだ。入会して10年あまり、道路整備が進行中でつづら折りも解消されつつあるが、当初に比べこの道沿いの眺めが大きく変わった。

 南向きの急斜面には「耕して天に至る」ではないが棚田や段畑が作られていた。ふと気づくと、耕作放棄された農地が増えた。そうなると雑草はにわかに茂り、耕作されていた跡を瞬くまに覆い隠す。耕作を続ける農地は肩身が狭そうにしている。雑草が繁茂している農地に牛やヤギ、羊が放たれているのを何度か見た。先日は送迎バスの車窓から10頭余りの黒い牛を見かけた。のどかな光景に見えるが牛は除草の任を負っている。

 こうした雑草を放置しておくとやがて森に遷移するという。草原では野焼きが行われる。秋吉台や三瓶山、遠くでは阿蘇山などの野焼きは観光化しているが、野焼きは森にさせない、牛馬を放牧し育てる草原の確保が本来の目的だが、急斜面の農地でそれは出来ない。

 耕作放棄地で牛に雑草を掃除させることを「舌刈り」と紹介された文がある。放置されたままの畑や田に雑木が生え、やがて茂り、雑木林となることを食い止める牛の役目は大きい。子どものころの記憶では、牛は舌を草に絡ませるようにして口中に入れる。まさに「舌刈り」の表現そのものだと感じ、黙々人のために尽くすその行為に感謝する。
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