「電話機がおかしいのと違う」、固定電話、夏ころから架けても架かっても告げられていた。確かに、聞きづらく聞き返したり確認をしたりしていた。だましだまし使っていたが、まもなくやってくる年始の挨拶で不快な思いを与えてはいけない、年取って少しおかしくなったのかと思われるのも嫌だ、わかったような理由をつけ使用中の電話を仕事納めとした。
いつだったか、電気製品の減価償却は4年と教えられた。ならば今日まで十分に働いてくれたことになる。最近は勧誘電話が多く繰り返し架かってくる電話は多くの人と同じように受信拒否に設定している。番号非通知もたまにある。大方は待ち受けの電話だがそれでも置いていないと困る、出費がかさむ暮れだが電気店に出向いた。
高機能製品から数千円までの多種多彩な機種が並ぶ。大きな液晶画面を狙って探す。親機の受話器が子機と同じように持ち運びができる機種を購入した。電話機から離れても使えるので長電話にはうってつけとなる。電話番号の登録が音声で可能にならないか、そんなことを思いながら100件近く設定した。
番号の登録中に近所の家から架かってきた。短い連絡事項で聞き取りの良否はまではわからなかった。固定電話取り外しの家も多いという。メールやスマホに押され郵便と同じようにいつか固定電話も消える時が来るのだろうか。これが最後の購入かもしれないと思いながら、大きさは一回り小さくなった電話機の説明書を繰りながら設定をしている。