日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

錦帯劇場、後の後

2016年02月28日 | 地域

 
 岩国市内の劇場で最も古い錦座(にしきざ)、明治33(1900)年3月1日に開業したと記録にあるから116年前になる。当初は株式組織で開業したが同年9月組合組織に改めた。ところが大正12(1923)年1月6日に火災で焼失した。それまで旧警察署付近にあったものを椎尾八幡宮前に再建、大正13年2月9日に上棟式をあげた。のちに錦帯(きんたい)劇場と改称される。

 錦帯劇場の看板がのせられ波打った銅板の青い色の屋根は今も記憶にある。花道のあった内部は時代に押され映画館へと変わる。3本立て千円くらいの時代が長く続き、半世紀前ころの休日を楽しませてくれた。近くにもう1館ありお世話になったものだ。劇場も映画界の斜陽には逆らえず、昭和47(1972)年に改装されスーパーに、さらに昭和51(1976)年に解体され建て替えられ、昨年2月の閉店までスーパーは続いた。解体、建て替えが無ければ少なくとも地方の有形文化財に指定されていたのではなかろうか。

 閉店撤退したスーパーは解体され更地になっている。跡地に「錦帯橋資料館」を20年春にオープンする計画という。場所は国の名勝・錦帯橋から徒歩5分ほどの所で、世界遺産登録を目指す関係者には願ってもない場所だろう。施設概要や展示内容はこれから地元や有識者の意見を聞きながら進めるという。創建から340年余、独自の歴史や架橋技術を伝える専門の資料施設を持たなかったとは、文化面に疎い自治体の姿勢を感じる。

 この施設が単純に錦帯橋への観光客誘致だけでないことを願う。錦帯橋を観光に訪れる人が増加しても、それが錦帯橋周辺の繁栄に連動しないと本来の意味をなさない。従来の施策の延長でない新たな発想を期待する。先日、錦帯橋入橋券売り場前で団体を引率バスガイドの説明に愕然とした。「出発は40分後です。トイレは向こうのバスセンターとそこの観光協会です」。
コメント (4)
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