「写真でふりかえる岩国」が徴古館で開かれている。徴古館で収蔵されている数多くの中から今回は「横山・錦見・川下・岩国駅周辺」が展示されている。明治から昭和まで、当時の風景と現風景を対比した写真も多数あり参考になる。
そんな写真を、案内では「古写真」と謙遜されているがどうしてどうして、史料になる貴重な写真ばかりだ。いつか史料写真として編纂出版されたら是非購入したい。
銀座通りに並ぶ大きな看板、駅前の第一ホテルのネオン、川下の映画館、岩国市誕生時の市役所、錦帯橋流出時の渡し舟、占領軍に接収された図書館、路面電車や木炭バスなどなど時代の変化を教えられる。
横山地区の旧吉川家の由緒ある建築物、旧岩国中学校の校門や川西の校舎など、写真でしか知ることが出来なくなった姿をモノクロの写真が語りかけてくる。映画演劇を楽しんだ風格ある錦帯劇場、その横に位置していた椎尾八幡宮の今とは異なる石段の姿など、モノクロの写真が子どものころへ引き戻す。
写真から懐かしい郷愁にかられるとともに、時代と変化に遅れまいとするその頃の人が姿が思い浮かばれる。新しくて便利にな町に変わらばいいと望んだことを忘れているような身勝手な感想に齢を思う。
地域の崩壊や薄れる絆なといった言葉に慣れてるにつれ、ここまで築き上げた郷土のこれまでの苦労と努力を知る機会が少なくなった。思い返せてこそ次へのスッテプが見えてくるものだ。趣味での懐古でなく故郷を知る、そんな写真展をこれからも続けて欲しい。