ライフライン、大きな災害が発生するとその復旧が急がれる、と報道される。本来の意味は「命綱」だが、おもにエネルギーや水の供給施設、交通や情報施設など生活に直結する設備で、特に電気・ガス・水道などの公共公益設備に電話やINなどを指している。生活に必須なインフラ設備ということだろう。
先般、北海道で強風により送電用鉄塔が倒壊し数万戸の家庭で停電という事態が報じられた。厳寒の中、一時非難されたかたへの炊き出しをされたかた、入院患者への対応など、寒さの中で絆を感じる話に心和む思いがした。雪の中で停電の復旧工事へ勤しむ関係者の黙々とした仕事ぶりには責任感以上の仕事への情熱が伝わった。
迎えの車を待ちながら見上げた青空を何本もの黒い線が斜めに走っている。慣れたものです、と言わんばかりに強い風任せに揺れているのは電線に電話線、有線放送など。北海道の停電の後だけに、物言わぬ線に気が傾いた。
これらは来て届いて当たり前、どちらかといえば無関心に日々を過ごしている。なにか事がおきれば強い関心を示し、その有難みをかみ締める。ここ何十年、幸いにしてライフラインを何とか、という大きな災害に見回れずにきた。人の絆だけではしのげないライフラインの断線はいつ起きるかもしれない。経験を積んでおくことは出来ない災害への対応「人を以って鑑となす」という諺、揺れる電線の唸りがそんな声に聞こえる。