
「こう暑いと何もしとうない」「何が並んでも食べとうない」という会話。暑さが人の意欲を削いでいることが分かる。各地で体温を超える気温が連日観測されなど、この夏は尋常な暑さではないようだ。
それでも木陰に身を寄せると一息つける。樹上のセミの鳴き声は「あーつい あーつい」と聞こえる。そんな中で真っ赤なサルビアと葉鶏頭、競い合うように真っ青な上空へ向って揺れている。夏とこの熱い赤色はよく折り合っている。
道べりの小さな公園。そろそろ色づいた葉が散り始めた桜の木が数本、セミの声、サルビアと葉鶏頭、木陰のベンチのお年寄り2人、通りがかりの自分だけ。地面は白っぽく光って眩しい。
遊具も暑さに負けている。特にブランコの「ダラー」とした様子は、気だるい夏の午後そのままで、公園の今の時間によく似合っている。セミ捕りの子どもらでもいればと思うが、そばの道を歩く人も見えない。
話し込んでいたお年寄は「そいじゃあ」「水分補給をしようでよ」と言って分かれた。公園はセミの鳴き声が占拠した。
(写真:夏日に似合う燃えるようなサルビアの赤)