2025年5月10日 中国新聞「こだま」掲載

70年ほど前の中学2年の時のことだ。奇妙な体験をした。仲間うちの秘密にしてきたが、もう公開してもいいだろう。記してみる。
当時は教科ごとに教室が換わり、私たち生徒が移動するシステムだった。自分の教室の授業は自分の席に座る。机のふたを開けると半分に折られた白い紙が入っていた。覚えがない。開くと文字で埋まっている。
「何だろう」と読み始めて驚いた。私には全く縁のない恋文だ。聞いたことはあるが実物を見たのは初めてである。どんな顔をして読んでいたのか忘れてしまったが、周りの数人が「何だ」と寄ってきた。人の秘密を知ったことで授業はおろそかになった。
恋文を書いたのは別のクラスの同級生で同級の女生徒宛てだった。昼休み、読んだ数人で恋文をどうするかで輪ができた。「見つけた者が書いた者へ届ける」という声に誰も異議を唱えず、そう決まった。ただ、 「俺たちだけの秘密で漏らさない」と決めた。
書いた彼をよく知っていた。下校時に「誰にも漏らさないから」と手渡した。 「お前の机で良かった。どこに忘れたか、気にしていた」とほっとしていた。
卒業後、彼も彼女も私も進路が異なり、2人がどうなったのかは分からない。
(写真は卒業時の母校全景 講堂と校舎3棟 右奥は法務局と裁判所)
(今日の575) 突っ張りが支える校舎懐かしい

70年ほど前の中学2年の時のことだ。奇妙な体験をした。仲間うちの秘密にしてきたが、もう公開してもいいだろう。記してみる。
当時は教科ごとに教室が換わり、私たち生徒が移動するシステムだった。自分の教室の授業は自分の席に座る。机のふたを開けると半分に折られた白い紙が入っていた。覚えがない。開くと文字で埋まっている。
「何だろう」と読み始めて驚いた。私には全く縁のない恋文だ。聞いたことはあるが実物を見たのは初めてである。どんな顔をして読んでいたのか忘れてしまったが、周りの数人が「何だ」と寄ってきた。人の秘密を知ったことで授業はおろそかになった。
恋文を書いたのは別のクラスの同級生で同級の女生徒宛てだった。昼休み、読んだ数人で恋文をどうするかで輪ができた。「見つけた者が書いた者へ届ける」という声に誰も異議を唱えず、そう決まった。ただ、 「俺たちだけの秘密で漏らさない」と決めた。
書いた彼をよく知っていた。下校時に「誰にも漏らさないから」と手渡した。 「お前の机で良かった。どこに忘れたか、気にしていた」とほっとしていた。
卒業後、彼も彼女も私も進路が異なり、2人がどうなったのかは分からない。
(写真は卒業時の母校全景 講堂と校舎3棟 右奥は法務局と裁判所)
(今日の575) 突っ張りが支える校舎懐かしい
講堂の続きの校舎の端に階段があり 階段下が野球部の物入で 早弁のお世話になりました
女子生徒に渡してやればキューッピトになれたはず、と他から指摘がありましたが、センスの無さなれませんでした。