霜後桃源記  

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ふるさとの森

2007-03-12 19:21:41 | 景色
急速に進む地球の砂漠化を阻止するため世界中に何百万本もの木を植えて来た宮脇昭横浜国立大学名誉教授の著書「緑回復の処方箋」を読んだ。

内容の一部を紹介すると以下のとおり。
・ どんなに科学技術が発展し、どれほどの冨を築いても、この地球上で人間は緑の植物に寄生する立場でしか持続的に生きていけない。
・ 「ふるさとの森」を消費し尽くした時に周りが砂漠化し、そして民族のポテンシャリティまで落ちる。(エジプト、ローマ帝国等)
・ ヨーロッパ人は肉食のため、有史以来森林の中に家畜を放牧して下草を食べさせてきた。そのため森林が滅び、ヒース と呼ばれる荒野に変わってしまった。そのような荒野景観を、自然景観と見誤って作ったのがイギリス公園の原型。それを学ぶべき公園と思った明治の日本人が、もともと全国土が森である日本に欧風公園づくりを移入、わざわざ森をひら いて画一的な芝生にするのに金を投じた。(ゴルフ場も類似の例)
・ 今の里山の雑木林は人間が人工的に作ったもので、本来の植生ではない。 現在の雑木林は20年に一回の伐採と三年に一回の下草刈りが前提。それをやらないと維持できないニセモノの森
・ 日本には土地本来の森は 0.06% しか残っていない、全部人間が手を入れて人工的な森にしてしまったもの。元に戻すためには200年間は森に人間がへんな手を加えないこと。
・狩猟民族だったアイヌは森を大切にしたが、農耕民族が入り込んで田畑を作り始めた時代から本来の植生の森は消えてしまった。

1991年に出版されたこの本を読んで、今までの認識を根本的に改めなければならないことが何点かあった。
杉や松が人工林であることは当然としても、雑木林については全くの認識外だった。
今まで、本来の自然の姿と思っていた景観は、農業という人間の営みによって変容した後の姿だったようだ。

これからどのような形で森と接するかについては、少し悩んでから結論を出そうかと思っている。



昨夜から冬に逆戻りし雪が積もった。
集落のほぼ中央に位置しているこの小さな森の所有者は、都市部に住んでいる。
既に50年ぐらいは手付かず状態で、荒れたまま。
この森もあと150年放置すれば、アイヌが住んでいた頃のような森に戻るのかもしれない。
しかし、その時まで人類が存続しているかどうかが怪しいところ。
コメント (3)
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