一人暮らしの老人が火事で焼死するニュースを目にすることが多い。
そんな不幸な事態を避けるため親、子、孫が一緒に暮らすのを理想形と考え、それに向けた環境整備に
努めているが子供達に「明日は我が身」の危機感は全く無いようだ。
今朝の毎日新聞社説は「引き取り手のいない遺体」について書いていた。
その数の多さや自治体によって扱い方が大きく異なる事実を知り驚いた。
そして、老人介護のみならず幼児保育等々も含め核家族よりも大家族が数段優ることを改めて再確認
した。


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毎日新聞「社説」2025.5.15
「き取り手のない遺体 対応のルール作りが急務」
単身の高齢者が増え、遺体の引き取り手が見つからずに行政が対応を迫られるケースが相次いでいる。
ルールの整備が必要だ。
亡くなった人に身寄りがなかったり、親族が疎遠で対応できなかったりする場合、居住地の市町村が
墓地埋葬法などに基づき火葬や納骨をしている。国の委託調査で、こうした事例が2023年度は死亡全体
の2・7%に当たる約4万2000件に上ったとの推計が、初めて示された。
浮き彫りになったのは、自治体によって遺体や遺骨の扱いに大きなばらつきがある実態だ。
病院や警察から死亡の連絡を受けた後、引き取る親族を探している段階で火葬する自治体がある一方、
葬儀会社に費用を払って長期間の冷凍保管を頼んでいるケースもある。遺骨についても無縁仏として合祀
してもらうまで年単位で安置するところもあれば、保管場所がないため火葬後の収骨をしない自治体も
ある。
故人が残した遺品の取り扱いにも統一ルールがない。これらの手順を定めたマニュアルがある自治体は
約1割にとどまる。
多くの先進国では、自治体が墓地の提供や埋葬の法的義務を負っている。これに対し日本には、遺体や
遺骨の帰属、火葬や納骨の担い手などを定めた包括的な法律がない。社会の慣習として、家族や地域住民
によって弔いが営まれている。
だが、1人暮らしの高齢者は670万人を超え、50年には1000万人に達するとされる。遺体の引き取り手
が見つからないケースの増加が見込まれ、今のままでは対応しきれなくなる恐れがある。国や自治体の
役割を明確にするための議論を急ぐべきだ。
ただ、弔いの形は個人の価値観や地域の文化と深く関わる。画一的に決められるものではなく、行政が
できることには限界がある。
高齢者が生前に希望する葬儀方法などを書き残しておき、遺志を反映させる選択肢もある。それを促す
ため自治体がエンディングノートなどを配布する取り組みも広がっている。
国内の高齢者数は40年ごろ最多となる。「多死社会」の本格的な到来を前に、誰もが不安なく最期を迎え
られる仕組みを考えたい。