湾岸のいじめっ子論理

2017-06-07 00:00:47 | 市民A
サウジ、UAE、エジプト、イエメン、バーレンの5ヵ国がカタールとの国交を断絶し、大使館が閉鎖になった。国交断絶というのは、これから戦争を始めようという準備でもあるわけで、にわかに複雑になった。5ヵ国がカタールを気に入らないのは、イランと仲がいいからということで、かなりムチャな論理だ。

わかりやすくいうといじめっ子の論理といってもいい。サウジからすれば、イランをいじめようと仲間をあつめていたところ、政治的優等生のカタールが、「いじめはよくない」といったら「お前も、イランの仲間だろう」と言って、二人まとめていじめようとしているわけだ。

イスラム諸国の政権が一向に正常化しないのは、考え方として右側の過激派と左側の過激派しかいないからで、中道というのがない。カタールは右にも左にも偏らない政権だったがために、巻き添えを食った格好だ。

昨年までだったら、学校の先生に当たるアメリカが、色々と話を聞いて、学校崩壊にならないように右往左往していたのだが、今の政権は、武器を輸出したいがため、サウジを応援した。担任の先生までいじめに加わったわけだ。

もっとも、裏側には世界の混流に流れるエネルギー事情の変化もあるのだろう。古い資源経済学では原油の持つポリティカルパワーを強調し、サウジ、UAEの力の源泉を原油と見ていたのだが、いささか古すぎる。カタールは原油もある程度産出するのだが、それよりも天然ガスの大産地である。OPECは原油生産量の国別生産量を決めるが、原油周辺資源(天然ガス、コンデンセート、NGL(軽質油))については感知しない。サウジはほとんど原油だけだが、カタールは天然ガスが多い。

さらにペルシア湾(アラビア湾ともいう)の出入り口はカタールとイランであり、その間には上記の軽質原料油の油田が横たわっていて、2国で生産をしている。これは原油の中の売れない重油分が入っていないため、収益性が高く価格も高い。

つまりカタールは、優等生で金持ちのわけだ。嫌われるわけだ。

しかし困ったことに、日本だけでもないが、多くの国はサウジから原油を買い、カタールからは天然ガス(LNG)を買い、こっそり軽質原料油を買う国もあるということ。

原油を買える国は他にもあるのだが、天然ガスを買える国は少ない。米国もシェールガスの輸出を始めるようだが、現政権では安定的に買えるかどうか疑問がある。

欧州がカタールを支持し、米国がサウジを支持し揉めそうな感じがある。


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