決裂!!

2019-03-04 00:00:23 | 市民A
ハノイ核談判が決裂した。ベトナムとしては歴史的な会議の場として世界中に国家グレードアップの場に使いたかっただろうが、こちらの思惑も失敗。かかった費用の始末に困っているだろう。さらに、「決裂の地」というラベルが貼られることにより、ハネムーン先の候補地からは真っ先にはずされるだろう。

トランプ政権と文政権が前のめりに進めていた事案だが、思えば核廃棄という目的からはほとんど進んでいない。物理的にはミサイル実験と核実験は行われていないが、金委員長が、これらを行わないと約束したのは、核談判の交渉が核心に入る前の口約束であって、有効かどうかも定かではない。

元々、北朝鮮が核保有国になるというのは金王朝三代の悲願という象徴的意味と、核保有が最も安上がりな防衛方法であるという実際的な意味と、核開発を放棄したリビアの指導者の末路から連想される恐怖という複合的産物であり、現体制では核廃棄はありえないという常識的予感が証明されただけだとも言える。

米国側から普通の感覚で見ても、一度、水爆まで作った技術力と、命中精度は不確実であるものの、地球の裏側まで届くICBMを作ったわけだから、一旦廃棄しても再度、核保有は容易だろうと思うわけで、結局、今の体制では核廃棄の小出しと、制裁の部分的解除という意味の少ない妥協点にしか到達しないだろう。この点はトランプ大統領の言うように「私の仕事ではなく、今までの大統領たちの仕事だ」というのは正しいだろう。

また大統領はビジネス・ディールのように考えていたのかもしれないが、普通のビジネスは、取引の実態(例えば、宅地10万坪とか、10年後の国債とか)があって、それにドルでいくら、という対価を交渉するわけだ。

今回は、お互いにとって価値が変動し、各施設のどこまでの部分が対象かも不明だし、制裁のどれぐらいの割合が対価として妥当かというような、あいまいな交渉であるわけで、一方、「段階的取引ではなく、全廃が確約されなければ交渉しない」と言えば、最初から成り立たない。全廃する気がないからだ。

各種報道を繋ぎ合わせて考えると、おそらく「全廃するなら制裁の全面解除」という条件からいえば、「寧辺の施設の半分ぐらいを廃止するから制裁の80%ぐらいを解除してほしい」と北朝鮮が主張し、米国は「それでは10%位だ。他の施設も廃棄するなら10~20%ぐらいは解除しようじゃないか」ということではなかっただろうか。

ということでご立腹の両国の指導者だが米国の方は、大統領の個人的資質についての国内での詰問が待っているわけだし、そもそも民主主義国なので、いきなり大戦争という方向にはならないだろう。

一方、北朝鮮の残る手は限られていると思える。つまり、韓国との合併とか、南北が別の地方国家として二つで合衆国またはEUのような共同体を組む(一国二制度)とか。金氏の友人は一人(文氏)しかいないような気がする。もっとも文大統領もいかにも親北を装っているが、一応、ごちゃごちゃした国の政治家として泳いでいるのだから、うかうか枕を並べるようなことにはならないだろうと想像ができる。

なお、一つの合衆国内に二制度が存在というのは実例がある。1860年頃の米国だ。奴隷制度を肯定する奴隷州連合と、それを否定する自由州連合とだ。ご存知の通り、奴隷州の多くは、合衆国から離脱して別国家を宣言し、南北戦争が始まり、勝った方の将軍が大統領になった。4年間で兵士50万人が亡くなる(朝鮮戦争は3年間で民間人170万人を含み240万人が亡くなった)。なお、奴隷制度は廃止になったが人種差別が正当化された。