狼たちの受難

2009-04-30 | 【断想】ETC
 人類の長い歴史を見よう。
 繁栄をきわめた都市が、周辺の森を荒らしたことによって滅んでいった。
 俺たちは、その経緯から、大いに学ぶことがある。
 いま、豚インフルエンザが、世界的なひろがりの様相を見せ、深刻である。
 17世紀、ヨーロッパの社会をペストが襲った。
 それは、森を破壊したつけであったとも言われている。
 樹々を切り倒し、牧草地を増やしたことによって何が起こったか。
 森に棲んでいた動物たちが棲む場所を失ったのである。
 ペスト菌を運ぶクマネズミが森を追われ、人里へとあふれだしたのである。
 クマネズミを食べてくれていたオオカミやフクロウも、棲む場所を失い、減った。
 そして、嫌われ、駆逐された。
 オオカミは、積極的に人を襲う動物ではないと言われる。
 ただ、棲む場所を人が侵し、食料も乏しくなれば、人の飼う家畜も狙うようになる。
 そして、恐い動物との烙印を押され、殺されることになった。
 しばしば散歩する多摩動物公園には、ヨーロッパオオカミがいる。
 彼等の祖先の受難を思う。
 現在の豚インフルエンザの流行も、人類の文明と不可分である。
 とりとめなく、まさしく断想。

いみじう侍りける人

2009-04-30 | 読書
 枕草子を原文で読もうかと思っている。以前、読み出して、途中でやめてしまった。
 改めて読み出そうかと思った原因のひとつは、紫式部にある。紫式部日記で、清少納言をあからさまにけなしていたので、興味がわいた。
 和泉式部他を批判したあとに、「清少納言こそ、したり顔にいみじう侍りける人。さばかりさかしだち、真名書き散らして侍るほども、よく見れば、まだいと足へぬこと多かり。・・・・・・そのあだになりぬる人のはて、いかでかはよく侍らむ。」とある。
 要するに、「清少納言は、知ったかぶりをして、高慢ちきないやな人です。女のくせに漢字を書いたりしているけど、いい加減なものです。・・・・あんな人が、この先どうなるかは、知ったことではありません。」というところか。
 清少納言は、才気にあふれ、美人だったと言われる。ただ、雅な世界に生きた歳月は長くはなく、晩年は零落して侘びしい日々をおくったようである。
 清少納言には鼻持ちならないところがあったのかも知れない。しかし、人それぞれである。凄くいやなら、距離をおいておけばよい。

馬の足がもつれる

2009-04-30 | 【樹木】ETC
 馬酔木(アセビ)が、まだ花をつけていた。
 馬酔木は、ツツジ科の樹木で、その葉には毒がある。
 ツツジ科には、気をつけないといけない。
 シャクナゲの花にも毒がある。
 その蜜を集めた蜂蜜などを食べると中毒を起こすという。
 これらは、牧場を営む人には、こまった植物なのだ。
 そういえば、樹木が発するフィトンチッドは人の心身の健康にいいという。
 ただし、虫たちには毒となる。
 生きのびるには毒も必要。
 あなたには、どんな毒が。

そこらじゅう烏野豌豆

2009-04-30 | 【草花】ETC
 烏野豌豆(カラスノエンドウ)は、その形姿からマメ科と判断できる人は多いと思う。
 ヒゲ、蔓性、羽状の細かな葉、蝶形の花など、まさにマメ科である。
 同じソラマメ属でよく似た野草に、ひとまわり小さい雀野豌豆(スズメノエンドウ)がある。そして、その中間サイズをしたカスマグサがある。
 その名は、「その豆が烏のような黒い色をした野にある豌豆」ということで、「烏が食用とするところの豌豆:烏の豌豆」ではない。
 雀野豌豆は烏野豌豆のより小さいからの命名である。
 カスマグサは、「烏(カ)と雀(ス)の中間(マ)」ということだそうだ。
 以前、与党と野党の中間に政治的ポジションをおいた政党をユトウと呼んだ。
 「ヤユヨ」の「ユ」である。