死滅せざる原子

2011-04-30 | 読書
 ●ルクレーティウス著/樋口勝彦訳/「物の本質について」/岩波文庫
 第一巻215-264には次のようなことが記されている。
 物は、恒久的な原子によって構成されている。
 原子相互間の結合は多様である。
 如何なる物も、完全に無にきすということはない。
 完全に死滅するということはない。
 分解によって、原子に還元するだけである。
 愛の神とて、完全な無からは 愛の実りを産みだすことはなかろう。

忽然と空に鳥

2011-04-30 | 読書
 ●ルクレーティウス著/樋口勝彦訳/「物の本質について」/岩波文庫
 第一巻159-214には次のようなことが記されている。
 もし、無から物が生じるとしたら、空に忽然と鳥が現れたりすることになるのでないか。
 葡萄の種子からは、葡萄の木が生い、葡萄の実がなる。
 すなわち、一定にの種子からは、一定の植物が生い育つ。
 それぞれの季節を得て、それぞれの時を経て。
 物には、元(種子、原子)がある。

緑ふえれど

2011-04-28 | 【樹木】ETC
 もうすぐ五月。
 日ごとに、緑がふえている。
 窓の外に眺める丘も、若葉色になっている。
 ベランダの鉢植えの櫟や無花果もあたらしい葉をつけ、またその葉を大きくさせている。
 いま、日本の森は、有史以来、最大の森林率を誇るにいたっていると言う。
 かつて、伐採で荒らした森が、復活しつつある。
 緑がふえているのである。
 ところが、いまの森は整備が進まず、別の意味で荒れていると言う。

柏崎をば狂ひ出で

2011-04-28 | 読書
 謡曲「柏崎」に目を通す。
 近日中に、それに接することがありそうなので。
 この「柏崎」は、東京電力の原子力発電所がある新潟の柏崎のことである。
 謡曲は柏崎の領主の妻の物語である。
 彼女には夫と子があり、この二人は鎌倉で任についていた。
 ある日、従者が鎌倉から戻ってくる。
 不幸な報せをもって。
 夫が死に、父の死をはかなんだ子が遁世したという報で、形見を携えてきた。
 「昔語りに早なりて、形見を見るぞ涙なる」
 彼女は悲しみに、気がふれる。
 「是なる童どもは何を笑ふぞ。なに物に狂ふがをかしいとや」
 「うき身は何と楢の葉の、柏崎をば狂ひ出で、・・・」
 柏崎を発ち、善光寺にいたる。
 何と、そこでわが子に巡り会うのである。
 お互いに変貌した姿に驚きつつ、喜びにつつまれる。
 「其母や子に逢ふこそ嬉しかりけれ、逢ふこそ嬉しかりけれ」

はじめから有

2011-04-28 | 読書
 ●ルクレーティウス著/樋口勝彦訳/「物の本質について」/岩波文庫
 第一巻146-158には、はじめに次のような原理の認識が必要とある。
 「何ものも神的な力によって無から生じることは絶対にない」
 「無よりは何ものも生じ得ず」

君に伝えたくて

2011-04-27 | 読書
 ●ルクレーティウス著/樋口勝彦訳/「物の本質について」/岩波文庫
 第一巻136-145には次のようなことが記されている。
 あたらしい知の発見を貧困な言葉を用いて表現するのは難しい。
 だけど、君に伝えたくて苦心しつつやっている。
 ※先般、長谷川三千子の「日本語の哲学へ」(ちくま新書)を読んだ。以前、氏の「バベルの謎-ヤハウィストの冒険」を楽しく読んだことがあったが、これは、私の理解力がついていくことが困難な本であった。ただ、哲学における言葉の問題が指摘されていた。それぞれの言語自体がもつ能力が重要であると。これくらいことは分かった。


霊魂の構成

2011-04-27 | 【断想】ETC
 ●ルクレーティウス著/樋口勝彦訳/「物の本質について」/岩波文庫
 第一巻127-135には次のようなことが記されている。
 太陽や月の運行、天と地のあらゆる現象、
 魂、霊魂、幽霊そして夢。
 これらは何に由来して現れているのか。
 これらは如何なるもので構成されているのか。
 これらをきわめて、アタラクシアを。

垣根をこえて

2011-04-27 | 【草花】ETC
 道ばたに見つけた。
 見方によると間抜け顔の小さな花。
 その花の写真を撮ったことがある。
 当然、その時、その名を確認したはず。
 ところが、思い出せない。
 改めて調べてみた。
 シソ科の垣通し(カキドオシ)だった。
 花のあと、茎が蔓状に地を這う。
 垣をこして隣まで、ということで、「垣通し」との命名。

捏造された永遠の罰

2011-04-26 | 【断想】ETC
 ●ルクレーティウス著/樋口勝彦訳/「物の本質について」/岩波文庫
 第一巻102-126には次のようなことが記されている。
 占い師、預言者のたぐいの言辞におびやかされることなかれ。
 彼等は、恐怖の夢を撒き散らす詐欺師だ。
 君に永遠の罰が科せられるとするのは捏造に他ならない。
 いかなる心労にも限りはあると心得よ。
 魂の何たるかを知りきわめよ。

八重桜咲きて

2011-04-25 | 【樹木】櫻
 俺たちの桜の季節は、とっくに終わっている。
 いまさら何をどうしようと言うのだ。
 もううんざりだ。
 なにもかもわずらわしい。
 誰とも会いたくない。
 さて。
 エピクロスに「隠れて、生きよ」の言葉がある。
 隠者の暮らしか、それもできそうにないな。

血濡れの祭壇

2011-04-22 | 【断想】ETC
 知の探究の道を歩むことに、不敬神の危惧を抱くことはない。
 神の名のもとに、人が犯してきた罪業の深さを思えば。
 乙女の犠牲の血に祭壇を濡らしたのは、ほかなぬ宗教であった。
 ※ルクレティウスの「物の本質について」第一巻四節(80-101)には、このようなことが書かれている。

光を花と

2011-04-22 | 【樹木】ETC
 謡曲「融」に次の一節。
  さすや桂の枝々に
  光を花と散らす粧ひ
 桂の葉は光を感じさせる。
 今度、多摩動物公園を散歩するときには、広場の桂の木のところに行ってみよう。