●インディアスの破壊についての簡潔な報告/ラス・カサス著、染田秀藤訳/岩波文庫/600円
1492年、コロンブスのインディアス(現在の西インド諸島、南アメリカ及び北アメリカの一部)発見以降、スペインは、その地域を征服していく。その征服の過程で、悪逆非道な蛮行が繰り返された。著者は、現地に赴いていたカトリックの司教であり、その悪行をやめさせるべく、スペイン国王カルロス一世への実態報告のためにまとめたものが本書となっている。1541年から1546年頃に作成された。
インディオの従順な性格や武力の圧倒的な差によって、いともたやすく虐殺が続けられ行くさまが生々しく語られている。
読み進んで感じたところをあげてみる。
ひとつは、インディオたちの驚くべき従順性である。どうして自分たちに害を加えそうなスペイン人に貢ぎ物をするのか。その要求に唯々諾々と従ってしまうのか。世知辛い現代に生きるわれわれからすれば、いささか信じがたいところがある。人を疑うとか、今後に起きる事態への予測能力の欠如なのか。それとも、何か他の事情はあったのか。
また、いったん悪行に手を染めたスペイン人の歯止めなき悪逆ぶりについては、人間というのは、かくも困ったものかと思わされる。同じホモサピエンスでありながら、かくも性格に違いがでるのはどうしてなのか。
人間の長い歴史を振り返れば、その残虐性が露骨に表面化することは屡々である。スペイン人に限ったことではない。スペイン人を非難してお終いということにはならない。だからといって、スペイン人たちの行為が赦されるわけではないが。
われわれの文化や文明とは何なのか、人間性とどう関わるのか。われわれは、あのような残虐な行為をしなくても、生き延びることもできるのである。われわれは、その方法、あり方を探らなければならない。
老子の言葉より。
「故に足るを知るの足るは、常に足る」(第46章)
1492年、コロンブスのインディアス(現在の西インド諸島、南アメリカ及び北アメリカの一部)発見以降、スペインは、その地域を征服していく。その征服の過程で、悪逆非道な蛮行が繰り返された。著者は、現地に赴いていたカトリックの司教であり、その悪行をやめさせるべく、スペイン国王カルロス一世への実態報告のためにまとめたものが本書となっている。1541年から1546年頃に作成された。
インディオの従順な性格や武力の圧倒的な差によって、いともたやすく虐殺が続けられ行くさまが生々しく語られている。
読み進んで感じたところをあげてみる。
ひとつは、インディオたちの驚くべき従順性である。どうして自分たちに害を加えそうなスペイン人に貢ぎ物をするのか。その要求に唯々諾々と従ってしまうのか。世知辛い現代に生きるわれわれからすれば、いささか信じがたいところがある。人を疑うとか、今後に起きる事態への予測能力の欠如なのか。それとも、何か他の事情はあったのか。
また、いったん悪行に手を染めたスペイン人の歯止めなき悪逆ぶりについては、人間というのは、かくも困ったものかと思わされる。同じホモサピエンスでありながら、かくも性格に違いがでるのはどうしてなのか。
人間の長い歴史を振り返れば、その残虐性が露骨に表面化することは屡々である。スペイン人に限ったことではない。スペイン人を非難してお終いということにはならない。だからといって、スペイン人たちの行為が赦されるわけではないが。
われわれの文化や文明とは何なのか、人間性とどう関わるのか。われわれは、あのような残虐な行為をしなくても、生き延びることもできるのである。われわれは、その方法、あり方を探らなければならない。
老子の言葉より。
「故に足るを知るの足るは、常に足る」(第46章)