ジャズのスタンダード・ナンバーのひとつである。
英語のタイトルは、「Tou'd Be So Nice To Come Home To」。
この曲、「あなたが帰ってきてくれたらなんて素敵なんでしょう」と言う意味合いで捉えられているが、正確には「 待っている人のところへ自分が戻れたらいいな」と言うことである。
「あなたのもとへ帰れたらうれしいわ。暖炉のそばで一緒に過ごせたらどんなに素敵だろう」と言うことである。
コール・ポーターが作詞・作曲したもので、ダイナ・ショアが歌ってヒット。
その後、ヘレン・メリルが、クリフォード・ブラウンのトランペットと一緒に歌って、ジャズのスタンダード・ナンバーとして定着した。
ヘレン・メリルのハスキーな歌声が素敵である。
間に入るクリフォード・ブラウンのトランペットがいかしている。
同曲を、ジュリー・ロンドンの歌声でも聞く。
ヘレン・メリルの声が耳に付いていて、いまひとつの感となってしまう。
インストゥルメンタル、歌声なしでは、アート・ペッパーがテナー・サックスでやっているのが「ミーツ・ザ・リズム・セクション」に収録されている。
なかなかいい。
エディ・ヒギンズ・トリオが、テナー・サックスのスコット・ハミルトンと演奏してるものを聞く。
「マイ・ファニー・バレンタイン」に収録されている。
悪くはないし、曲を知るにはいいように感じるが、かもし出すムードに、ちょっと低俗な香りが漂うようなところが難点。
これは、エディ・ヒギンズのもの全体に言えることだけど。
カール・リヒターが弾くチェンバロで「ゴルトベルク変奏曲」を聞く。
ゆったりしたテンポではじまるところがいい。
緩急まぜている。
1970年、ミュンヘンでの演奏で、ARCHIVからのCDで。
聞いているうちに、次第にあきてくる。
どうしてだろうか。
聞き手の心理状態のせいだろうか。
僕には、あれこれ言うほど音楽の素養はないので、勝手な印象と思ってもらった方がいい。
ヘルムート・ヴァルハがアンマー・チェンバロで弾く「ゴルトベルク変奏曲」を聞く。
この曲の演奏では、評価の高い定番である。
1961年にハンブルクで録音された演奏、EMIからの「NEW ANGEL BEST 100」で。
不眠症には、キース・ジャレットの方が効くように感じるな。
ヴァルハのは、いささかあわただしいように思う。
心を静めるには、もう少しゆっくりの方がいいように。
もしかしたら、キース・ジャレットの方が不眠症で苦しむ人の気持ちがわかっているのかも知れない。
自身の精神の疲れを意識していたのかも知れないとも思う。
音がきれいであかるい、晴れやかだ。
キース・ジャレットがハープシコードを弾く「ゴルトベルク・ヴァリエーション」。
この曲は、もともと、J.S.バッハが、不眠症に悩んでいた縁ある伯爵のために作曲したものだ。
効能があったと伝えられている。
キース・ジャレットの演奏を聞いていると、胸の中のわだかまりがとけていくいくように感じる。
作曲の意図が、演奏に実現されているように思う。
すっかり、気に入ってしまった。
1989年に、ECMから出たCDだ。
明日には、ヴァルハのを聞いてみようか。
グールドのピアノのも。
キース・ジャレット・トリオ/枯葉+1(スティル・ライブ)/ECM/1986
ミュンヘンにおけるライブでCDは2枚組。
このトリオのメンバーは以下の通りで、スタンダーズ・トリオと呼ばれる。
キース・ジャレット(p)
ジャック・ディジョネット(b)
ゲイリー・ピーコック(ds)
このトリオによるアルバムで、これまでに聞いたことがあるもの。
「星影のステラ」(1985/ECM)
「バイ・バイ・ブラックバード」(1991/ECM)
「スティル・ライブ」の収録曲は、よく知られたスタンダード。
DISK.1
1.マイ・ファニー・ヴァレンタイン
2.枯葉
3.恋におちたとき
4.歌こそは君
DISK.2
1.降っても晴れても
2.レイト・ラメント
3.あなたと夜と音楽と/エクステンション
4.イントロ/いつか王子様が
5.ビリーズ・バウンス
6.クリフォードの想い出
キース・ジャレットは、1945年の生まれ。
1996年に、慢性疲労症候群で倒れた。
恢復し、1998年には、ピアノ・ソロ「メロディ・アット・ナイト・ウイズ・ユー」(ECM)。
これは、献身的に支えてくれた妻に捧げた曲。
その後、活動を再開し、幾つものアルバムも出した。
しかし、2017年に行われたニューヨークでのソロコンサートを最後に活動休止。
その後、脳卒中でからだに麻痺。
同時代にあって、特別の才能に恵まれた人だ。
夜、「メロディ・アット・ナイト・ウイズ・ユー」をかけることがよくある。
カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム:ラウンド・アバウト・ミッドナイト
KENNY DORHAM/'ROUND ABOUT MIDNIGHT AT THE CAFE BOHEMIA/1956/Blue Note
CDに、土倉明氏による解説が付いている。
ケニー・ドーハムのトランペットについて、「・・・中音域を中心的な守備範囲にして、たとえハイ・ノートをかっ飛ばしたとしても、そのサウンドはどこかつつましやかもある。・・・」とあった。
聞いていて、成る程と思う。
ドーハムの音には、安心感があるところがいい。
もともと、「ラウンド・ミッドナイト」の聞きくらべをしようと手にしたアルバム。
2曲目に、「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」が収録されている。
同じトランペットのマイルス・ディビスやチェット・ベイカーに較べると、きわだった才は感じないが、安心して愉しめる。
4曲目の「チュニジアの夜」もおとなしい感じ。
でも、楽しい気分にさせてくれる。
5曲目の「ニューヨークの秋」など、とてもくつろげる。
カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム
KENNY DORHAM/'ROUND ABOUT MIDNIGHT AT THE CAFE BOHEMIA
1956 Blue Note
ケニー・ドーハムは、アート・ブレイキー・アンド・ザ・ジャズ・メッセンジャーズの初代トランペッター。
「カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム」は、ジャズ・メッセンジャーズ退団後、初めての自分のグループ「ジャズ・プロフェッツ」での演奏である。
このアルバムは、ギターのケニー・バレルとピアノのボビー・ティモンズを迎えてのものとなっている。
カフェ・ボヘミアでのライブ盤である。
この録音の前に、ジャズ・メッセンジャーズがカフェ・ボヘミアで録音したものがあることをおぼえておこう。
テナー・サックスは、白人のJ.R.モンテローズ、ベースはサム・ジョーンズ、ドラムはアーサー・エッジヒル。
以下の6曲が収録されている。
1.モナコ
2.ラウンド・アバウト・ミッドナイト
3.メキシコ・シティ
4.チュニジアの夜
5.ニューヨークの秋
6.ヒルズ・エッジ
これで、トランペットによる「ラウンド・ミッドナイト」をマイルス・ディビス、チェット・ベイカー、ケニー・ドーハムと3人のを聞いた。
それぞれ持ち味があって、誰がいいとは言えないな。
■THELONIOUS MONK
THELONIOUS HIMSELF(RIVERSIDE)
MISTERIOSO(RIVERSIDE)
■CHET BAKER
WHITE BLUES(BMG)
COOL CAT(TIMELESS)
■MILES DAVIS
'ROUND ABOUT MIDNIGHT(COLUMBIA)
MIDNIGHT MOODS(CHARLY)
「ラウンド・ミッドナイト」を作曲者であるセロニアス・モンク、それからトランペットのチェット・ベイカーとマイルス・ディビスの3人の演奏で聞く。
ケニー・ドーハムのもいいらしい。
アール・クルーのギターで、「煙が目にしみる」。
「レイト・ナイト・ギター」(Blue Note)の中に。
同曲をエディ・ヒギンズ・カルテットで。
テナーが、スコット・ハミルトン。
両方とも、くつろぎ向きの演奏。
オーネット・コールマンの「ゴールデンサークル」で、デヴィッド・アイゼンソンのベースの音を聞いていたら、弦が聞きたくなった。
J.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲・第1番」を聞く。
プレリュードの部分を、マイスキー、ヨーヨー・マ、カザルスで。
ヨーヨー・マのが、一番その世界に引きこんでくれそうだった。
音量をいくらかあげて「第1番」を。
そのアルト・サックスの音に、懐かしさを感じる。
音楽と向き合っている真摯な姿勢を感じる。
こけおどしのようなものは一切ない。
まぎれもないオーネット・コールマンの存在を感じる。
「ゴールデンサークルのオーネット・コールマン vol.1」(1965 Blue Note)
ベースはデヴィッド・アイゼンソン、ドラムはチャールス・モフェットのトリオ。
ホレス・シルバーは、ファンキー・ブームの中で、代表的なミュージシャンとされる。
「ホレス・スコープ」(1960 ブルーノート)も、ファンキー・ジャズそのひとつと言っていいのだろうか。
ノリのレベルでは、ちょっと違う感じだ。
演奏は、ザ・ホレス・シルバー・クインテットで、ホレス・シルバー(p)、ブルー・ミッチェル(tp)、ジュニア・クック(ts)、ジーン・テイラー(b)、ロイ・ブルックス1(ds)
ホレス・シルバーは、1954年に結成されたアート・ブレイキー・アンド・ザ・ジャズ・メッセンジャーズにいた。
シルバーは1928年生まれ、アート・ブレイキーは1919年生まれ。
ジャズ・メッセンジャーズのリーダーはブレイキー。シルバーは、重要な役割を果たしつつも、それ相当の処遇が与えられなかったとか。作曲した曲が取り上げられることも少なかったとか。
シルバーは、1956年に独立する。
ジャズ・メッセンジャーズのメンバーの変遷をよく見るのも、ジャズ史を知るうえで大切かと思う。それだけ、ジャズ界におけるウェイトが大きかったのかと思う。
アート・ブレイキーと言う人は、リーダーの資質があったのだろう。
イン・メモリー・オブ・アルバート・アイラー(1966 JAZZ DOOR)
ジャケットに、1966年5月1日、ジャン・ワーナーにより、ニューヨークで録音されたとある。
1990年に発売されている。
アルバム情報少なし。
4曲、収録されている。
1.ベルズ
2.ゴースツ
3.トゥルース・イズ・マーチング・イン
4.アワー・プレイヤー
演奏
アルバート・アイラー(ts)
ドナルド・アイラー(tp)
ミッチェル・アンプソン(violin)
ルイス・ウォーレル(b)
ロナルド・シャノン・ジャクソン(ds)