バードランドのコルトレーンとドルフィ
1962年、ニューヨークのバードランドでの演奏である。
アルバム名は、「THE INNER MAN JHON COLTRANE」(Vee Jay)。
ジョン・コルトレーン、エリック・ドルフィー、マッコイ・タイナー、ジミー・ギャルソン、エルヴィン・ジョーンズというメンバーによる。
SIDE A : 1.マイ・フェヴァリット・シングス 2.身も心も
SIDE B : 1. ミスター P.C. 2.マイルス・モード
エリック・ドルフィーは好きだけど、めったに聞かないアルバムのひとつ。
コルトレーンは、ソプラノ・サックスも演っている。
僕は、コルトレーンの音に俗なものを感じてしまう。
求道者的に見られるコルトレーンだが、僕には、そうなのだ。
全体として、インパクトを感じさせないアルバム。
シベリウスの「フィンランディア」をピアノ・ソロで。
作曲者自身によるピアノ演奏のためのアレンジ。
ピアノを弾くのは、リスト・ラウリアラ。
1995年録音、ナクソスのCDで。
立派な「フィンランディア」だけど、オケの方が、膨らみがあっていいな。
ソニー・ロリンズの「テナー・マッドネス」。
昔買ったLP盤を取り出す。
どんな気持ちで買ったんだったかな。
きっと、強い思いがあってのことだったと思う。
先日、新宿ディスク・ユニオン・ジャズ館で、ソニー・ロリンズのCDが並ぶところを見ていて、その存在を知らなかったアルバムを見つけた。
晩年のものだった。
余程、買おうかと思ったが、一度、家で、ソニー・ロリンズの何かを聞いて、もっと聞きたいという気持ちになったらにしようと思った。
聞きました。
さて・・・・・。
先日、ショパンの「24プレリュード」をピリスの演奏で聞いた。
あの時、音量に起伏があって、聞きにくいと思った。
でも、もともと、そう言う曲ということもあるかもと、別のピアニストで聞いてみようと思った。
誰にしょうか迷ったが、ポリーニで。
確かに音量の起伏が気になりはするが、さほどではない。
ショパンの思いの深さも感じられる。
これは、演奏家の力量の差によるものなのか、録音、再生の技術の差によるのか。
“24プレリュード”で、一番気になる第24番、なかなか巧みですばらしい。
〈アルバム〉
キエレメ・ムーチョ(Venus Records 2008年08月20日発売)
〈プレイヤー〉
Steve Kuhn Trio:スティーブ・キューン・トリオ
Steve Kuhn:スティーブ・キューン(p)
David Finck:デイブ・フィンク(b)
Al Foster:アル・フォスター(ds)
〈ソング〉
1.アンダルシア(そよ風と私)
2.ベサメ・ムーチョ
3.いつも私の心に
4.デュエルメ
5.キエレメ・ムーチョ
6.君なしでは
◇
スティーブ・キューンは、初めて接した「逝ける王女のためのパヴァーヌ」が気に入ったため、続けて、何枚かのCDを入手し、聞くことになった。
以下のアルバムである。
1998 忍びよる恋 VENUS
2005 逝ける王女のためのパヴァーヌ VENUS
2006 プレイズ・スタンダード VENUS
2008 キエレメ・ムーチョ VENUS
スティーブ・キューンは、総じては、理知的で、アレンジがうまい。
時折、原曲のメロディが聴きたくなる。
カサンドラ・ウィルソンがギタリストのファブリッツィオ・ソッティをフューチャリングしての「アナザー・カントリー」。
2012年リリースのeoneのアルバム。
久しぶりにカサンドラ・ウィルソンの歌声を聞くと、その凄さに改めて感じいる。
英語の歌詞の意味が分かるわけではない。
そう言うことはお構いなしに、深いものを感じる。
得も言われぬ迫力を感じる。
ダークである。
ヘビーである。
胸の奥に語りかけてくるものがある。
ウキウキワクワクも人には大切だけど、深く沈むからこそ救いがあることがある。
〈ソング〉
1.レッド・ギター
2.ノー・モア・ブルース
3.オ・ソレ・ミオ
4.ディープ・ブルー
5.オールモスト・トゥウェルブ
6.パッション
7.フェン・ウィル・アイ・シー・ユー・アゲイン
8.アナザー・カントリー
9.レッティング・ユー・ゴー
10.オロムロロ
◇
自分が好きな音楽を思うと、郷愁や哀感があり、美しく、抒情的なものが多い。
日本人の一般的傾向とも言えるのだろう。
ショパンの“24のプレリュード”をマリア・ジョアオ・ピリスの演奏で聞く。
マリア・ジョアオ・ピリスは、1944年、ポルトガル生まれの女性。
現在は、ブラジルに住んでいると何かに書いてあった。
日本にもちょくちょく公演で来ているようだ。
わたしより、少しだけ年上の同時代人。
ショパンの“プレリュード”を、これまでに聞いたことのない人ので聞こうと思った。
CDは、エラートから。
なんだか音量に起伏があって、聞きにくい。
激しさに深みが感じられない。
わたしが、このような評価をするのは、僭越なのだろうが。
わたしは、第24番を聞くと、胸がしめつけられる思いがするのだが、・・・。
そうでもなかった。
マル・ウォルドロンの「ブラック・グローリー」(1971 enja)
enjaの第一作となったアルバムである。
〈パーソネル〉
マル・ウォルドロン(p)
ジミー・ウッディ(b)
ピエール・ファーヴル(ds)
〈収録曲〉
全曲、マル・ウォルドロンのオリジナル。
1.ジーク・ハイレ(ハイル):Sieg Haile : 勝利万歳
2.ラ・グロワール・デュ・ノワール: La Gloire Du Noir : Black Glory
3.ザ・コール:The Call
4.ロック・マイ・ソウル;Rock My Soul
「ブラック・グローリー」、日本語にするとどうなるか。
〈ブラックの栄光〉では、しっくりこないか。
“ブラック・イズ・ビューティフル”との言葉が、言われ出した頃の作品かな。
まだ、露骨な人種差別があったからこその曲名だろうな。
マル・ウォルドロンと同じくヨーロッパに移住したケニー・ドリューにも「ダーク・ビューティー」という作品がある。
「ブラック・グローリー」は、黒くて、ずっしり重くて、聞き応えのある作品、演奏である。
スティーブ・キューン・トリオの「プレイズ・スタンダード」(2006 VENUS)に収められている「ラブ・レター」を聞くにあたって、この曲を、他の誰かが演っているのを聞いているだろうかと思った。
ソニー・ロリンズが、「ザ・スタンダード(RCA)」と言うアルバムで、「ラブ・レターズ」を演奏していた。
顔ぶれは、ソニー・ロリンズ(ts)、ボブ・クランショー(b)、ミッキー・ローカー(ds)、ジム・ホール(g)。
ソニー・ロリンズの方は、久しぶりに聞く音に、惚れ惚れして、それで終わってしまった。
スティーブ・キューンの方に、ジャズとしての洗練度を感じた。
enjaのガイドは、大雑把である。
CDのジャケットに記載されている曲名も屡々、正確でない。
時に、間違っていることもあったと思う。
エリック・ドルフィーの「ストックホルム・セッションズ」では、マル・ウォルドロン作の“レフト・アローン”が“アローン”としか記されていない。
エリック・ドルフィーは、フルートを吹いている。
「ライブ・イン・ニュー・ヨーク」にも、“レフト・アローン”がある。
こちらも、フルートである。
どちらも、落ち着きが感じられない。
この曲は、ドルフィ向きではないかも知れない。
ジャズ・メッセンジャーズの演奏で“アローン・トゥゲザー”を聞いた。
ケニー・ドーハムのトランペット、ハンク・モブレーのテナー・サックスが、フロントをなし、なにやら哀感までただよう魅力的な演奏になっている。
「アット・ザ・カフェ・ボヘミア」(Blue Note)収録である。
これを耳に残して、スティーブ・キューンの“アローン・トゥゲザー”を聞くと、「なんだこれは」となる。
以下の、アルバムを聞いてのことである。
スティーブ・キューン・トリオの「プレイズ・スタンダード」(2006 VENUS)。
ジャズのスタンダード曲が演奏されたアルバムである。
しかし、演奏はスタンダードではない。
アルバムの数曲をスタンダードな演奏を意識して、スティーブ・キューンを聞くと、釈然としないものを感じる。
だけど、まったく新しい知らない曲を聞くつもりで、スティーブ・キューンを聞くと、しっくりくる。
「なかなかいいじゃないか」となる。
ジャケットの女性が堰堤に腰を下ろした写真だか絵、暗くて不吉な感じである。
作り直してもいいのじゃないか。
〈パーソネル〉
スティーブ・キューン(p)
バスター・ウィリアム(b)
アル・フォスター(ds)
〈収録曲〉
01.アローン。トゥゲザー
02.ゴールデン・イヤリングス
03.アイ・ウイッシュ・アイ・ニュー
04.レフト・アローン
05.ブルー・ボッサ
06.ネイチャー・ボーイ
07.朝日のようにさわやかに
08.ユー・リーブ・ミー・ブレスレス
09.オーシャンズ・イン・ザ・スカイ
10.アイ・シー・ユア・フェイス・ビフォア・ミー
11.ラブ・レターズ
12.ビューティフル・ラブ
マル・ウォルドロンが、ビリー・ホリディのために書いた“レフト・アローン”。
アルバム「レフト・アローン」で聞く。
ジャッキー・マクリーンのテナー・サックスが、大きく前面に出て、曲の印象をつくっている。
これを聞いてから、スティーブ・キューンのピアノ・トリオで、聞くつもりだったので、テナー・サックスが抜けた“レフト・アローン”はどんなになるかと思いつつ聞いた。
僕には、まったく印象が異なる曲として聞こえた。
アルバム「レフト・アローン」のは、暗く、重いが、スティーブ・キューンの「プレイズ・スタンダード」(2006 VENUS)に収められている“レフト・アローン”は、普通に、ジャズっぽく、暗くはない。
◇
スティーブ・キューン・トリオの「プレイズ・スタンダード」(2006 VENUS)には、“ネイチャー・ボーイ”も収められている。
かなり、スティーブ・キューンなりの演奏になっている。普通に歌われる“ネイチャー・ボーイ”とは、いささかおもむきは異なるが、この曲がもつ独特の、不思議な哀感はしっかり表現されていて、なかなか聞かせる。
“ネイチャー・ボーイ”については、ジャッキー・マクリーンに演奏がある。アルバム名も「ネイチャー・ボーイ」(1999 SOMETHINELSE)である。
とってもしんみりと聞かせてくれる。
◇
マル・ウォルドロン、ジャッキー・マクリーン、エリック・ドルフィー、バルネ・ウィラン、ケニー・ドリュー等が、これらの曲を演っている。
皆、僕の好きなジャズ・マンたちなのだ。
スティーブ・キューンも、その系譜のなかに加わるか・・・・・。
PROJECT G12 / A TRIBUTE TO WES MONTGOMERY / 1992 / King Record
ケニー・バレルをはじめ12人のジャズ・ギタリストが、亡きウェス・モンゴメリーを偲んで捧げた演奏が収録されている。
ウェス・モンゴメリーが亡くなったのは、1968年のことで、随分時を経てのこと。
こんな企画が成り立つのは、ウェス・モンゴメリーがいかに慕われていたかを示すものとも言えよう。
録音は4回、メンバーは一応2種で、ベースとドラムのトリオのものとオルガンが加わったカルテットのもの。ギター二人で五重奏のものもある。
どれも小気味いいギターの音に、ジャージーなムードが愉しめる。
ショパンの「夜想曲集全21曲」の後半をレオンスカヤで聞く。
やはり、美しい。
素直に気持ち良く聞ける。
高貴な香りがある。
「尤もらしいが、五月蠅い」と言うことがよくある。
それがない。
人としての精神の位置が、高いところで演奏されているという感じだ。
レオンスカヤのことを僕はほとんど知らない。
他の演奏がどうであるか、気になる。
◇
今日、本屋で、ディオゲネス・ラエルティオスの「ギリシア哲学者列伝」を見つけた。
奥付を見ると、2024年10月11日に第13刷発行とある。
長らく店頭から消えていた岩波文庫の一書である。
全三冊である。
とりあえず、エピクロスが載っている(下)を買った。
それから、オウィディウスの「愛の技法」が、西洋古典叢書の一冊として出ていることに気づいた。
プラントンの「饗宴:シュンポシオン」の中澤努訳(光文社古典新訳文庫)、読みやすそうだった。
倉橋由美子の「シュンポシオン」、かつて読んだ。
印象深い一冊だった。
以上、本のこと、とりとめなく。
◇
いつの間にか、レオンスカヤの「夜想曲」は、21曲目だ。
今日は。いい休日だった。
先日、チェット・ベイカーの「ラブ・ソング」で、“ラウンド・ミッドナイト”を聞いた。
彼の別のアルバムでも聞いてみたいと思った。
・「クール・キャット」(1986 TIMELESS)10:30
・「ハートブレイク ウィズ・ストリングス」(TIMELESS)10:30 ※ヴォーカル
・「イン・ア・ソウルフル・ムード」(1966 MUSIC CLUB)
「イン・ア・ソウルフル・ムードは、演奏が古く、ライブのせいか、録音もよくない。ボケている。 この中では、「クール・キャット」での演奏がいい。