あはれてふことこそ

2009-08-31 | 【断想】ETC
 あはれてふことこそうたて世の中を思ひはなれぬほだしなりけれ(小野小町)
 情こそが、わたしをこの世に繋ぎとめているもの。
 わたしを俗世に生きる身としているのは、情、人恋しさ。
 「あはれ」とは、人やものによせる情。恋情、友情、色情、慕情・・・・。
 「ほだし」は、絆、桎梏・・・・。

菊と芋

2009-08-30 | 【草花】ETC
 キク科ヒマワリ属のキクイモ(菊芋)。
 花が菊に似て、地中に芋をつくるところからの名である。
 幕末に、北アメリカから渡来。
 芋は牛蒡のような味がし、食糧難の時代、食用にされた。
 近縁種に、一見そっくりなイヌキクイモ(犬菊芋)がある。
 芋が食用とならぬので、「犬」がついた。
 キクイモモドキとも呼ぶようだ。

さそふ水あらば

2009-08-30 | 【断想】ETC
 わびぬれば身をうき草のねをたえてさそふ水あらばいなむとぞ思ふ(小野小町)
 仲のいい文屋康秀が三河の国に赴任。田舎見物に来ないかと誘われる。その誘いへの返事としての一首である。
 侘びしく、憂いがちなわたしは、根がなく流れにただよう浮き草のようなものです。
 いざなう水あれば、流れに身をまかせようと思います。

夏行く熊四手

2009-08-29 | 【樹木】ETC
 クマシデ(熊四手)の少し赤みがかった美しい果穂を見たのは5月頃だったろうか。
 いま、8月下旬、その果穂はいささか日焼けしている。
 果穂のなかには、種があって、10月頃には熟すはずだ。
 そして、果穂も枯れる。
 熊四手の果穂は、他のシデ属より、葉状の果苞を密につけ、ぽってり太い。

南国の空と風にデイコ

2009-08-28 | 【樹木】ETC
 鹿児島県の県木はカイコウズ。
 別名、アメリカデイコ。
 デイコの赤い花には、南国の空と風が似合う。
 東京でも、街路樹で見かけることがある。
 溜池あたりで見かけたのは、アメリカデイコだったと思う。
 写真は、マルバデイコ。

Libera Me

2009-08-27 | 【断想】音楽
 ガブリエル・フォーレの「レクイエム」を聴く。
 ・フィルハーモニア管弦楽団&合唱団
 ・カルロ・マリア・ジュリーニ指揮
 ・1986年3月録音(グラモフォン)
 フォーレは、1845年5月生まれ。私より100年ちょっと前になる。
 CDの解説パンフに、その人となりに関して、次のようにあった。
 「フォーレは温厚篤実な人間として知られているが、幼い頃から他人の飯を食べて育ったせいであろうか、なかなかしぶといところもあった。フォーレに私淑して終生敬愛の念を抱いていた作曲家たちも少なくなかったが、プーランクのようにフォーレを嫌う作曲家もいたことも事実である。(歌崎和彦)」
 フォーレは、プーランクに嫌われていたと、わざわざ書いてあるところが面白い。それだけのことで、かなりのことが察せられるからだ。
 人はさまざま。自分の力ではどうしようもないことも多い。もって生まれたものもあるにしても、生まれ、育ちは、与えられる側面が強い。
 それで、何が言いたいかというと、良し悪しは言えなくても、好き嫌いはどうしようもなくあると言うこと。
 「レクイエム」は、きれいな音楽作品だ。7つの曲で構成されており、6曲目が「われを許し給え」で、「怒りの日」がある。
 Libera Me

「小顔」の理由

2009-08-26 | 読書
【本の紹介】
●美女の骨格/宮永美知代著/青春出版社/2009年5月15日発行/977円(税込み)
 人間の美への探究心には端倪すべからざるものがある。人体解剖をまず手がけたのは、医師ではなく芸術家であったそうだ。本書は、美術解剖学の立場から、「美女の骨格」に迫る。時代とともに美女は変遷する。その背後には骨格の変化があると。興味深いのは、江戸時代に際立ってくる庶民顔と貴族顔の分化。生活習慣の違いが頭蓋に差を生み、顔立ちを変化させていく。最近、人気の「小顔」は、咀嚼力を要しない食べ物が増えたことと無縁でないとある。もてるにはまず骨から。

朴の木の果実

2009-08-26 | 【樹木】ETC
 モクレン科の樹木の花は、大ぶりである。
 そして、実も大きく目立つ。
 八月下旬、ホオ(朴)の木を見あげる。
 赤みを帯びた果実がニョッキリはえている。
 袋果が多く集まった集合果で、10~15センチある。

時雨にふりぬれば

2009-08-26 | 【断想】ETC
 今はとてわが身時雨にふりぬれば言の葉さへにうつろひにけり(小野小町)
 時雨が降っているわ。
 冷たい季節がやって来る。
 季節もひとのこころもうつろい行くわ。
 あなたとの約束の言葉も過ぎし日のこととなりましたね。
 いま、木の葉が枝から別れるように、あなたとわたしも。