数年前から、冬に好んで食べる果物がある。スチューベンとの名の葡萄である。
巨峰にまさる糖度をもつ。アメリカのニューヨーク州立農業試験場でつくられた品種で、日本では津軽地方を中心に生産されている。
普通の葡萄が店先からなくなる頃に登場する冬の葡萄である。貯蔵性があって、二月頃まで食せる特性をもつ。
昨年、総選挙が終わって東京に戻り、後かたづけもほぼ終わった休日、駅前へブラリと出かけ、スチューベンを買おうとスーパーに入った。スチューベンが見あたらなかった。
「しまった。もう出まわる季節が終わったか」とがっかりした。
選挙結果のこともあり、その関連で「失ったものは大きい」などと思いもした。
しかし、思い過ごし。スチューベンを他の店先で見つけた。まだ、季節的に大丈夫だったのだ。とは言うものの、もうすぐ二月。貯蔵されていたものも尽きる頃だ。
果物売場に見つけたならば、即座に手にし、口にしてきたが。