塚本邦雄の「王朝百首」(講談社文芸文庫)を読んだ。
書名の通り、王朝時代の頃の和歌百首が選ばれている。
それぞれの作者の他作等も紹介されているので、その十倍くらいが収載されている。
読み出して、しばらくして、心にのこった和歌の載ったページの隅を折りだした。
それらの和歌十首を以下に記す。
著者の文言には詩性を感じなかった。
惑はずなくららの花の暗き夜にわれも靆け燃えむ煙は(藤原顯綱)
暗闇に花、その香り、妖しい空間へ。
またや見む交野のみ野のさくら狩花の雪散る春の曙(藤原俊成)
桜の花びらが雪のように舞っていたなあ。
思ふことみなつきねとて麻の葉を切りに切りても祓へつるかな(和泉式部)
私ってどうしてこうなのかしら、こんな繰り返し。
吹く風になびく淺茅は何なれや人の心の秋を知らする(齋宮女御徽子)
俺も老いてきたな、色恋の思いも薄らいできたかな。
萩の花くれぐれまでもありつるが月出でて見るになきが儚さ(源實朝)
君も俺も、明日はこの世にいないこともあるさ。
春日野の若紫のすりごろもしのぶのみだれかぎりしられず(在原業平)
ああ、あの時、うす紫のころもが空にひるがえった。
ふる畑のそばのたつ木にをる鳩の友呼ぶ聲のすごき夕暮(西行)
みんな独りじゃ寂しいさ。
うけひかぬあまのを舟の綱手縄絶ゆとてなにか苦しかるらむ(肥後)
かってにすればいいじゃないか、俺はいっこうにかまわぬ。
ふるさとの花の盛りは過ぎぬれどおもかげ去らぬ春の空かな(源經信)
俺たちがまだ美しい花だった少年時代のことが思い出される。
紅の千入のまふり山の端に日の入る時の空にぞありける(源實朝)
ほとばしる赤い血潮、死の予感。
書名の通り、王朝時代の頃の和歌百首が選ばれている。
それぞれの作者の他作等も紹介されているので、その十倍くらいが収載されている。
読み出して、しばらくして、心にのこった和歌の載ったページの隅を折りだした。
それらの和歌十首を以下に記す。
著者の文言には詩性を感じなかった。
惑はずなくららの花の暗き夜にわれも靆け燃えむ煙は(藤原顯綱)
暗闇に花、その香り、妖しい空間へ。
またや見む交野のみ野のさくら狩花の雪散る春の曙(藤原俊成)
桜の花びらが雪のように舞っていたなあ。
思ふことみなつきねとて麻の葉を切りに切りても祓へつるかな(和泉式部)
私ってどうしてこうなのかしら、こんな繰り返し。
吹く風になびく淺茅は何なれや人の心の秋を知らする(齋宮女御徽子)
俺も老いてきたな、色恋の思いも薄らいできたかな。
萩の花くれぐれまでもありつるが月出でて見るになきが儚さ(源實朝)
君も俺も、明日はこの世にいないこともあるさ。
春日野の若紫のすりごろもしのぶのみだれかぎりしられず(在原業平)
ああ、あの時、うす紫のころもが空にひるがえった。
ふる畑のそばのたつ木にをる鳩の友呼ぶ聲のすごき夕暮(西行)
みんな独りじゃ寂しいさ。
うけひかぬあまのを舟の綱手縄絶ゆとてなにか苦しかるらむ(肥後)
かってにすればいいじゃないか、俺はいっこうにかまわぬ。
ふるさとの花の盛りは過ぎぬれどおもかげ去らぬ春の空かな(源經信)
俺たちがまだ美しい花だった少年時代のことが思い出される。
紅の千入のまふり山の端に日の入る時の空にぞありける(源實朝)
ほとばしる赤い血潮、死の予感。