モダン・ジャズで、タンゴの名曲「ジェラシー」を演奏しているのは、これまでに、エディー・ヒギンズとデューク・ジョーダンで聞いたことがある。
この二人では、デューク・ジョーダンの方が、遙かに迫力がある。
気に入りの演奏で、時折、聞きたくなる。
この「ジェラシー」は、古くからある曲ではない。
1925年に、デンマークのヤコブ・ガーデなる方が、ハンガリアン・ジプシー風な旋律で書いたものである。
そして、のちに、ドイツのアルフレッド・ハウゼ楽団が演奏して、世界的大ヒットをとばし、広く知られるようになった。
タンゴと言うと、アルゼンチン発と思ってしまうが、その出自は、以上のごとくである。
アストル・ピアソラの「ザ・ラフ・ダンサーとサイクリカル・ナイト(タンゴ・アパシオナード)」(1987 NONESUCH)
「荒っぽい踊り手といつも繰り返す夜(タンゴの熱情)」と訳せるのだろうか。
アストル・ピアソラ自身がバンドネオンを弾いているアルバムである。
たまたま見つけて入手したものだ。
以下は、収録曲だが、なんだか興味をひかせる。
1.プロローグ
2.ミロンガ・フォア・ツリー
3.ストリート・タンゴ
4.ロンガ・ピカレスク
5.ナイフ・ファイト
6.レオノラス・ソング
7.プレリュード・トゥ・ザ・サイクリカル・ナイト
8.ブッチャーズ・デス
9.レイジアス・ゲーム
10.ミロンガ・フォア・ツリー
11.ベイロンゴ
12.レオノラス・ラヴ・テーマ
13.フィナーレ
14.プレリュード・トゥ・ザ・サイクリカル・ナイト
ひきつけられ、胸をかきむしられるような思いをさせる。
タンゴという音楽、バンドネオンの持つ魔力を感じる。
曲が変わっても、底に流れるものは同じなのだ。
レオポルト・ウラッハ(cl)
ウィーン・コンツェルトハウス・カルテット
モーツァルト / クラリネット五重奏曲イ長調 K.581
ウェストミンスター
MONO
1951年の録音で、いささか古いが、定評のある演奏である。
昨日3楽章まで聞いた。
今夜は、第4楽章。
かろやかで、美しい。
何も考えることはない。
ただ、美しいメロディーに身を委ねればいい。
その憂愁は、深く暗い谷に落ちることはない。
日が落ちた港町
潮騒を感じるテラスで
ドライ・シェリーを注いでもらって
沖合の船の灯りを見ながら
ケニー・ドリューとニールス・ペデルセンの「コルコヴァード」
聞けたらいいな
・・・ケニー・ドリュー・トリオの「ドリーム」
ジーニアス・オブ・モダン・ミュージックVOL.1 (BLUE NOTE)
1940年代後半の録音である。
にもかかわらず、セロニアス・モンクのピアノは、モダンである。
ジャズのスタンダードとなった曲がズラリ。
まさしく、不朽の名盤。
・ラウンド・ミッドナイト
・ルビー・マイ・ディア
・エピストロフィー
好きなナンバーだ。
演奏者の中には、ミルト・ジャクソンやアート・ブレイキーもいる。
アストル・ピアソラの曲を本人のバンドネオンで聞こうと思った。
クロノス・カルテットとの演奏で、「ファイブ・タンゴ・センセーションズ」。
〈ファイブ〉
1.眠り
2.愛
3.不安
4.目覚め
5.恐怖
時代や僕たちの住む社会のことを考えさせられる音楽だ。
オーボエ・コンチェルト/ケニー・ドリュー・ポートレイト(M&I)
「ベニスの愛~ケニー・ドリュー・ポートレイト」のこと。
木全信氏のプロデュースによってできたアルバムである。
1982年から1991年にかけてレコーディングされた曲が収録されている。
ベースは、ニールス・ペデルセン。
ドラムは曲によるが、エド・シグペンとアルヴィン・クイーン。
今夜は、これを聞いて、床につこう。
「ベニスの愛」とされているのは、アレッサンドロ・マルチェッロの「オーボエ協奏曲ニ短調」である。
マルチェッロは、マルチェルロとも表記される。
「オーボエ協奏曲ハ短調(またはニ短調)」は、三楽章からなる後期バロックの曲。
哀愁ただよう二楽章が、映画「ヴェニスの愛」で使われ、人気を博した。
「枯葉」は、多くのミュージシャンが演奏している名曲。
ケニー・ドリューの演奏は、6分を超えるもので、まさしく名演である。
全体としては、ハードバップ調のドリューをも存分に楽しめる曲集と感じた。
〈収録曲〉
1.モア
2.星に願いを
3.ベニスの愛
4.追憶
5.枯葉
6.月光
7.夢
8.マイ・ファニー・バレンタイン
9.スプリング・イズ・ヒア
10.エンジェル・アイズ
「アストル・ピアソラ/ブエノスアイレスの夏」(SONY)
小松亮太と言う日本人の若いバンドネオン奏者によるディスクである。
アストル・ピアソラとともにあったメンバーとの演奏によるものである。
CDに付いていた解説に、誰かが、「小松亮太のバンドネオンは、攻撃的だ」とあった。
聞いてすぐに、僕もすぐに、そう感じた。
だが、「攻撃的」と言うと、誤解を招くかとも思う。
挑戦的、意欲的、過激的と言ってもいいのか。
とても、素晴らしいのだ。
でも、それだけではない。
表面的には、そんなようにも言えようが。
踏みにじられた優しい心。
蹂躙された誠意。
押し潰された嘆き。
ああ、この渦から脱出はできるのか。
力一杯に叫んでみよう。
そんなものが感じられる。
それは、タンゴ自体に秘められたものかとも思うが。
ブエノスアイレスの夏
天使のミロンガ。
恋人もなく。
ブエノスアイレスの冬。
そして、アルバムのラストは、「想いのとどく日」。
「想いのとどく日」の来ることに憧れて。
グラント・グリーンの「ストリート・オブ・ドリームス」(1964 Blue Note)。
〈パーソネル〉
ボビー・ハッチャーソン(vibes)
ラリー・ヤング(org)
グラント・グリーン(g)
エルヴィン・ジョーンズds)
〈ソング〉
1.ウイッシュ・ユー・ラヴ
2.ラジー・アフタヌーン
3.ストリート・オブ・ドリームス
4.サムフェア・イン・ザ・ナイト
「ストリート・オブ・ドリームス」、果たして、どんな通り・街だろうか。
光があふれていそうだ。
遊ぶ子どもの姿も見えそうだ。
KENNY DREW QUARTET / And Far Away / 1983 / SOUL NOTE
ケニー・ドリュー・カルテット/アンド・ファー・アウェイ
1983年、ミラノでのスタジオ録音。
レーベル:ソウル・ノート
ベースのアルコではじまる曲があったり、独特のムードをかもしだしているアルバムである。
ギターのフィリップ・カテリ-ンとは、どう言う人なのだろう。その人のせいだろうか。
全体に、秘められた思念、情念がただよっているようなところがある。
魅力的な作品である。
〈パーソネル〉
ケニー・ドリュー(p)
フィリップ・カテリ-ン(g)
ニールス・ペデルセン(b)
バリー・アルチュール(d)
〈曲〉
1.And Far Away 9:10 アンド・ファー・アウェイ
2.Rianne 8:10 ライアン
3.Serenity 4:57 セレニティー
4.I Love You 7:15 アイ・ラヴ・ユー
5.Twice A Week 2:23 トゥワイス・ウィーク
6.Autumn Leaves 7:50 枯葉
7.Blue Run 3:26 ブルー・ラン
今月の末頃にテレマン協会主催のコンサートで、バッハの「無伴奏チェロ組曲」を聞く予定である。
それで、あらかじめ、この曲にふれておこうと、「第3番」を聞いた。
誰の演奏で聞こうか迷ったが、ヨーヨー・マにした。
グラント・グリーンの「ザ・ファイナル・カムダウン」。
アメリカのブラック・シネマ「ザ・ファイナル・カムダウン」のサウンドトラック。
映画の監督は、オスカー・ウィリアムズ、音楽は、フェイド・マーカス。
サウンドトラック盤のレーベルは、ブルーノート。
1972年の作品である。
CDのトラックは、以下の11。
1.パスト・プレゼント・アンド・フューチャー 5:17
2.ザ・ファイナル・カムダウン 3:27
3.ファザーズ・ラメント 2:49
4.ファウンティン・シーツ 3:00
5.ソウル・フード-アフリカン・ショップ 3:52
6.スライト・フェア・アンド・テラー 1:14
7.アフロ・パーティ 4:11
8.ルアナズ・テーマ 2:29
9.バトル・シーン 1:39
10.トラヴェリング・トゥ・ゲット・トゥ・ドッグ 1:39
11.ワン・セコンド・アフター・デス 6:48
各曲の演奏時間を記したが、いささか不正確。
グラント・グリーンのギターを聞くには、「ファザーズ・ラメント」、「ファウンティン・シーツ」、「スライト・フェア・アンド・テラー」、「トラヴェリング・トゥ・ゲット・トゥ・ドッグ」あたりがいいかな。
ギターがメインで作られた音楽ではない。
だから、そう言うこと。
「ファザーズ・ラメント」が一番かな。
オーネット・コールマンの「ザ・オーネット・コールマン・トリオ・アット・ザ・ゴールデン・サークル・ストックホルム vol.1,vol.2」(1965 Blue Note )。
初めて、vol.1を聞いた時、以前より接しやすいな、と感じた。
オーネット・コールマンは、「タウンホール1962」録音後、休業状態になる。
この「ゴールデン・サークル」は、再起を印象づける盤のひとつ。
Vol.1
1.ANNOUNCEMENT :アナウンスメント
2.FACES AND PLACES
3.EUROPEAN ECHOES:ヨーロピアン・エコーズ
4,DEE DEE
5.DAWN
Vol.2
1.SNOWFLAKES AND SUNSHINE
2.MORNING SONG:モーニング・ソング
3.THE RIDDLE
4.ANTIQUES:アンティーク
〈オーネット・コールマン・トリオ〉
オーネット・コールマン(as,tp,violin)
デヴィッド・アイゼンソン(b)
チャールス・モフェット(ds)
ジャッキー・マクリーンの「デーモンズ・ダンス」(1967 Blue Note)
株式会社視覚デザイン研究所の発行による書籍に、「悪魔のダンス」(1996)がある。
悪魔の仲間、誘惑、有名人、画家・・・世界の関連名画、イラストがふんだんに掲載されていて、おおいに愉しめる本である。
同研究所からは、同趣の書籍がシリーズ的にあり、どれも素晴らしい。
ジャッキー・マクリーンのサクソフォーンも愉しい。