“ディープ・リバー”

2023-10-30 | 【断想】音楽

 犀川に架かる橋のうえで、上流の山々を眺めるのが好きだった。
 それよりもっと好きだったのは、流れる川の水を見ることだった。
 どれだけ見ても、厭きることはなかった。
 僕の見る犀川は、深いところは数メートルはあったかも知れない。
 だけど、“ディープ・リバー”と呼ぶほどではなかった。
 ホレス・パーランのピアノで、“ディープ・リバー”を聞く。
 ストーリーヴィルの「ヴォヤージュ・オブ・リディスカバリー」と言うアルバムで。
 懐かしさへ導く旋律にひかれる。
 グラント・グリーンが弾く“ディープ・リバー”も聞く。


“季節の挨拶”

2023-10-30 | 【断想】音楽

 なんてあたたかいんだろう。
 神さまがそばにいた少年の頃が思い出されるよ。
 誰もいない礼拝堂に入ると、アドベントの蝋燭が灯ってる。
 もうすぐ、クリスマスだ。
 聞き始めて、はじめに、そんな印象をもった。
 ケニー・ドリュー・トリオが演奏した曲で、“季節の挨拶”と言うにふさわしいものを集めたアルバムである。
 クリスマス・シーズンに焦点があてられている。
 「シーズンズ・グリィーティングス」(MELDAC JAZZ)。


“マイ・フーリッシュ・ハート”

2023-10-29 | 【断想】音楽

 “マイ・フーリッシュ・ハート”、“わたしの愚かな心”。
 ジャズのスタンダード・ナンバーともなっている。
 過ぎし日を悔いる老人の心情を歌っているのかと思っていた。
 男女のあいだの愛に関した歌だ
 男との関係で、じぶんの愚かさを思う女性サイドの歌なのだ。
 原曲は、1949年のアメリカ映画「愚かなり我が心」のテーマ・ソング。
 作曲ヴィクター・ヤング、作詩ニューリー・ワシントンである。
 チェット・ベイカーのヴォーカルとトランペットで聞く。
 晩年(1986年)の録音である。
 タイムレス・レコードからの「クール・キャット」にある。


“キャンディ”

2023-10-29 | 【断想】音楽

 今日、窓の外の柿の実をメジロが突いていた。
 甘いのだろうか。
 リー・モーガンの“キャンディ”を聞こう。
 1958年録音、ブルーノートからのアルバムだ。
 イントロはアート・テイラーのドラム。
 リー・モーガンのトランペットがテーマを奏でる。
 それから、ピアノ、ベース、トランペット・・・・・。
 ベースは、ダグ・ワトキンス。
 ピアノは、ソニー・クラーク・・・・。
 以前、この演奏を聞いて、ソニー・クラークのピアノがいいいと記している。
 確かに、まっとうなピアノだ。


懐かしのストックホルム

2023-10-28 | 【断想】音楽

 ジャズっぽいね
 とても楽しそうだよ
 君が鍵盤に向かっている姿
 それを見るだけで
 僕も楽しくなるよ
  デューク・ジョーダンの“BEAUTY OF SCANDINAVIA”
 「スカンジナビアの美」
 日本では、「北欧への想い」(KEY'STONE )と名づけられて売られている。
 1995年、コペンハーゲンでの録音である。
 〈演奏メンバー〉
 デューク・ジョーダン(P)
 イエスパー・ルンゴー(b)
 エド・シグペン(ds)
〈曲〉
 1.ディア・オールド・ストックホルム(懐かしのストックホルム)
 2.ミッドナイト・サン(真夜中の太陽)
 3.ナイト・トレイン・フロム・スネッカーステン(スネッカーステンからの夜汽車)
 4.スウェーデンの城
 5.ミッドナイト・サン・ウィル・ネヴァー・セット
 6.星に願いを
 7.イエロー・フラワー(黄色い花)
 8.ミスティ・サーズディ
 9.ホワット・イズ・ロング
 10.スウィート・ミート
 11.サルトゥリー・イヴ
 デューク・ジョーダンもアメリカからヨーロッパへと渡ったひとり。
 ケニー・ドリューとの違いが気になる。
 人それぞれの性格、感性の違いは、音にも現れる。
 メカに興味のある人、思想・哲学に関心の人、それぞれ。


そこはかとなく

2023-10-27 | 【断想】音楽

 なんとなく過ごす時・・・そこはかとなく・・・・・。
 アイドル・モメンツ・・・・。
 グラント・グリーンのギターは、心やすまる風景のなかに、僕を誘ってくれる。
 まだカーテンをあけない朝のひととき
 ランプにてらされた砂時計
 波止場には白いボートが浮いているはずだ
 今日は何曜日だったろうか
 テーブルには昨夜手にしたシェリー・グラス
 グラント・グリーンの“IDLE MOMENTS / 1963 / Blue Note”


静けき森の中で

2023-10-26 | 【断想】音楽

 「静けき森の中で:I SKOVENS DYBE STILLE RO」は、デンマークの民謡。
 英語では、「イン・ザ・スティル・オブ・ザ・ウッズ」となる。
 デンマークのベーシストであるニールス=ヘニング・オスタード・ペデルセンがアレンジし、みずから演奏している。ケニー・ドリューとのデュオのがある。
 このデュオが収録されているのは、スティープル・チェイスの「デュオ」。
 1曲目と11曲目。
 デュオ3部作の第1作目だ。
 この二人の友情が思われる。
 75歳。
 僕にもいいことが予定されている。
 来月、ふるさとのおさな友だちのKに会う。
 犀川のほとりを歩こう。
 みんな、あの世に逝ったみんなも喜んでくれ。
 祝福してくれ。


“ソニー・ロリンズ Vol.1”

2023-10-26 | 【断想】音楽

 「ソニー・ロリンズ 第1集」(1956 ブルー・ノート) 
 ブルー・ノートでの初リーダー盤である。
 このアルバムについては、これまで何度もこのブログでとりあげた。
 読み返すと、その都度いささか感想のニュアンスが異なる。
 このアルバムのことを、ソニー・ロリンズのもので一番だと言う人もいる。
 それで、改めて聞こうと思った。
 これまでは、東芝EMIからのLP盤で聞いている。
 ライナーノーツは、いソノてルヲが書いている。
 半世紀くらい前に買ったものだと思う。
 今回は、比較的新しいCD盤で聞く。
 EMIミュージック・ジャパンからでライナーノーツは、原田和典による。
  ジャケットのデザインは、こちらがオリジナルだそうだ。


“スウィングの王様”

2023-10-21 | 【断想】音楽

 1938年、ベニー・グッドマンが、クラシックの殿堂であるカーネギー・ホールで公演。
 大成功をおさめる。ジャズ・ミュージシャン初の快挙であった。
 このコンサートを完全収録したのが、以下のアルバム。CD2枚である。
 「ベニー・グッドマン ライブ・アット・カーネギー・ホール 1938」(CBS)
 押しも押されもせぬ歴史的名盤。
 DISC 1 に、「その手はないよ」、「身も心も」、「アヴァロン」、「アイ・ガット・リズム」他。
 DISC 2 に、「素敵なあなた」、「シング・シング・シング」他。
 〈スイング〉
 1930年代から40年代初期の頃に隆盛をきわめた演奏スタイル。
 揺れるような感じをもたらす。
 ビック・バンドでの演奏。
 〈カーネギー・ホール〉
 1891年にチャイコフスキー指揮でオープンしたニューヨークのミュージック・ホールが、カーネギー・ホールと呼ばれるようになったのは、98年に鋼鉄王アンドリュー・カーネギーの出資で改築されてからである。・・・(昭和53年 ジャズ・アンド・ジャズ)
 


“ソウル・フィンガー”

2023-10-21 | 【断想】音楽

 この前、グラント・グリーンの「ナイジェリア」で、アート・ブレイキーのドラミングを聞いた。
 力がこもっていて、迫力があった。
 また、彼の演奏を盛り上げていく才能の卓抜さを感じた。
 それで、久しぶりに、彼のリーダー・アルバムの入手にいたった。
 ART BLAKEY AND THE JAZZ MESSENGERS
 SOUL FINGER:ソウル・フィンガー
 1955 LIMELIGHT
 聞いて、気分のいい演奏だ。
 吹っ切れていると言うか、溌剌としたものが感じられる。
 リー・モーガンとフレディ・ハバードのトランペットがいい。
 CDには、6曲収録されていて、1曲が、別の日の録音で、演奏者も異なる。
 ラッキートンプソンが、ソプラノ・サックスを吹いている。
 これも。なかなかのものだった。
 アルバム名にもなっている「ソウル・フィンガー」は、映画「ゴールド・フィンガー」をもじって付けたもの。
 ゴールドより魂じゃないのと言うわけである。
 大いに満足の一枚。


“ある恋の物語”

2023-10-20 | 【断想】音楽

 CDの帯に「WEST COAST80 's」とある。
 ウエスト・コースト・ジャズの魅力を改めて愉しもうという企画にのっとったアルバムである。
 アート・ペッパーの「ある恋の物語:HISTORIA DE UN AMOR」(1980 ATLAS)。
 7曲収録されている。
 以下、わたしの感想が、ジャズ音楽に耳が肥えた人からすると、的を得たものになっているか自信はない。
 1曲目の「エンジェル・ウィングス」は、ウエスト・コーストの臭いが濃厚である。
 2曲目の「ある恋の物語」は、臭い云々を超えて素晴らしい。
 3曲目の「朝日のようにさわやかに」は、ウエスト・コーストのムードをたたえつつも、そんなに臭わない。それより、アート・ペッパーの物憂いようなサックスの音が愉しめる。
 4.ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ
 5.ジャックス・ブルース
 6.ブロードウェイ
 7.マイノリティ
〈パーソネル〉
 CD裏に、ART PEPPER WITH JACK SHELDON とある。
 アート・ペッパー(as)
 ジャック・シェルドン(tp)
 ミルチョ・レヴィエフ(p)
 トニー・デュマ(b)
 カール・バーネット(ds)
 1967年発行の「モダン・ジャズ入門」(荒れ地出版社)のジャズ用語集には、「ウエスト・コースト・ジャズ」は、次のように説明されている。
 「クール・ジャズが洗練されて、美しく仕上げられたもの。おもに、白人たちによって行われた。編曲主義をとり、ソロの比重が少い。メカニックな感じがあり、ややヨーロッパ的ともいえる」
 アメリカ西海岸でのムーブメントである。アレンジされた曲をアンサンブルで演奏。
 音楽教育を受けた白人ミュージシャンが中心。
 代表的ミュージシャンとしては、チェット・ベイカー、ジェリー・マリガン、アート・ペッパー他。
  このようなことで、そのムードになじめない黒人ミュージシャンも多かった。
 個人の魂の叫びでなく、ヘラヘラ、フワフワした感じとも言えるか。
 


“ソニームーン”

2023-10-19 | 【断想】音楽

 「ソニー・ロリンズ・プレイズ」(1957 ピリオド:ヴィーナス)。
 このアルバムには、6曲が収録されている。
 はじめの3曲が、ソニー・ロリンズをリーダーとしたもの。
 あとの3曲が、サド・ジョーンズをリーダーとしたもので、ロリンズはプレイしていない。
 ソニー・ロリンズのアルバムとして世に出ているが、実際は半分だけ。
 どうして今、ソニー・ロリンズかというと、健康を感じさせる音を聞きたいから。
 はたして期待に応えてくれるだろうか。
 そんな思いで聞いた。
 期待に応えてくれました。
 やっぱり、屈託を感じさせない晴れ晴れとしたところ、いい。
 ソニー・ロリンズに抱いているイメージ、思い込みに影響されているだろうか。
 〈ロリンズの3曲〉
 1.ソニームーン
 2.ライク・サムワン・イン・ラブ
 3.悲愴のテーマ(チャイコフスキー)
 〈演奏メンバー〉
 ソニー・ロリンズ(ts)
 ジミー・クリーブランドb)
 ギル・コギンズ(p)
 ウェンデル・マーシャル(b)
 ケニー・デニス(ds) 


“フォーラム・シアター”

2023-10-15 | 【断想】音楽

 チェット・ベイカー・クインテット・アット・ザ・フォーラム・シアター
 レコーディング:1956年7月、ロサンゼルス
 レーベル:フレッシュ・サウンド
 パーソネル:チェット・ベイカー(tp)
       フィル・ウルソ(ts)
       ボビー・シモンズ(p)
       ジミー・ボンド(b)
       ピータ・リットマン(ds)
 ソング:1.EXTRA MILD
     2.CHIPPYN'
     3.TABU
     4.A NIGHT ON BOP MOUNTAIN
     5.JUMPIN' OFF A CLEF
     6.I CAN'T GET STARTED
     7.DOWN
     8.PAWNEE JUNCTION
 久しぶりに、チェット・ベイカーのウェスト・コーストでの演奏を聞いた。
 たまたま勘違いして、買ってしまったアルバム。
 演奏は悪くないが、今夜の気分からすると、軽い。


“ウィズ・ソニー・クラーク”

2023-10-15 | 【断想】音楽

 グラント・グリーンのアルバムに「ザ・コンプリート・カルテット・ウィズ・ソニー・クラーク:The Complete Quartets With Sonny Clark」(Blue Note)と言うのがある。
 以下は、その基本データ。
 〈パーソネル〉
 グラント・グリーン(g)
 ソニー・クラーク(p)
 サム・ジョーンズ(b)
 ルイ・ハイス&アート・ブレイキー(ds)
 〈収録曲〉
 1961年12月23日と1962年1月13日、31日の3回のセッションが、以下のように2枚のCDに収められている。
 DISK1
 1.Airegin
 2.It Ain't Necessarily So
 3.I Concentrate On You (1980 Digital Remaster)
 4.The Things We Did Last Summer
 5.The Song Is You
 6.Nancy (With The Laughing Face)
 7.Airegin (Alternate Take)
 8.On Green Dolphin Street
 9.Shadrack
 10.What Is This Thing Called Love?
 DISK2
 1.Moon River
 2.Gooden's Corner
 3.Two For One
 4.Oleo
 5.Little Girl Blue
 6.Tune Up
 7.Hip Funk
 8.My Favorite Things
 9.Oleo (Alternate Take)
 このアルバムが、モダン・ジャズのガイド・ブックで紹介されていた。
 「グラント・グリーンとソニー・クラークの“黒いピアノ”の相性が凄くいい」とあった。
 それで、聞いてみたいと思っていた。
 新宿のディスク・ユニオンでCDの棚を見たが、このアルバムが見つからなかった。
 かわりに、同時期に、同じメンバーで演奏しているものがあったので入手した。
 ●NIGERIA
 「ナイジェリア +2:NIGERIA」(Blue Note)である。
 1962年1月13日にニュージャージーでスタジオ録音されているが、長らくLP化等されなかったようだ。
 入手したのは、2021年にユニバーサル ミュージックから新たに発売されたCDである。
  とても素晴らしい演奏なのに、どうして即座に販売にいたらなかったのかと評されている一枚である。
 〈パーソネル〉
 グラント・グリーン(g)
 ソニー・クラーク(p)
 サム・ジョーンズ(b)
 アート・ブレイキー(ds)
 〈収録曲〉
 1.エアジン
 2.イット・エイント・ネセサリリー・ソー
 3.アイ・コンセントレイト・オン・ユー
 4.過ぎし夏の思い出
 5.ザ・ソング・イズ・ユー
 6.ナンシー
 7.エアジン (別テイク)
 スタンダードがならんでいる。
 「エアジン」は、Aireginで、アルバム名となっているNigeriaの反対読み。
 特に、「イット・エイント・ネセサリリー・ソー」が、グルーヴィーでナイスと言われている。
 まさに、その通りである。アート・ブレイキーはノリノリで、その声も愉しめる。
 ソニー・クラークのピアノがいいとの評があるが、格別なものは感じなかった。

 メモ《The Garden of Eden》
 エデンの4本の川
 ・ピション
 ・ギボン
 ・チグリス
 ・ユーフラテス
 エデンの園の中央には、〈生命の木〉と〈善悪を知る木〉
 ※「ヨハネの黙示録」の最終章に〈生命の木〉。


“丸”

2023-10-15 | 【断想】音楽

 マル・ウォルドロンのピアノ・ソロ集(3361 BLACK;TKCK)。
 CDケースの背に、「未発表集 追悼 thanks a million・・・・/MAL san」とある。
 伊藤秀治というマル・ウォルドロンと親しい関係にあった日本人の手によって作られたアルバムである。
 ジャケットには、マル・ウォルドロンの手形。
 マル・ウォルドロンが好んで弾いたと言う9曲と「レフト・アローン」が収められている。
 こう言うアルバムは、あれこれ思わず、静かに耳を傾けるのがいい。
 〈曲〉
 1.ジャンゴ
 2.ザ・シーガルス・オブ・クリスティアンスン(クリスティアンスンの鴎)
 3.マイ・フーリッシュ・ハート
 4.マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ
 5.ウェン・サニー・ゲッツ・ブルー
 6.アイ・シュッド・ケア
 7.リメンバー
 8.アイ・ディドント・ノウ・ワット・タイム・イット・ワズ
 9.ユー・ドント・ノウ・ワット・ラヴ・イズ
 10.レフト・アローン