スタンリー・タレンタイン/ アップ・アット・ミントンズ Vol.1(1961 Blue Note)。
スタンリー・タレンタインが、1960年頃に、ブルー・ノートにのこした演奏を聞きたいと思った。その音に魅力を感じたからである。僕は、その音に、とてもジャズっぽさを感じたのである。プレイヤーの心情と不可分の演奏であると。
それで、このアルバムも聞こうと思った。
タレンタインは、1934年生まれだから、20代後半頃のものである。
彼のもともとの特色がよく表れている頃の演奏とも評価されている。
演奏メンバーは、以下の5人。ピアノは、ホレス・パーランで、タレンタインと同類のタイプのと思われ、それも聞こうと思ったひとつの要因である。
スタンリー・タレンタイン(ts)
グラント・グリーン(g)
ホレス・パーラン(p)
ジョージ・タッカー(b)
アル・ハレウッド(ds)
収録曲は4曲。
1.BUT NOT FOR ME : バット・ノット・フォア・ミー
ガーシュウィン兄弟の作詞作曲によるもので、「・・・わたしのためのものじゃない」。世に愛の歌はあるが、わたしとは無縁だ」と言うような、悲しい現実を歌っている。チェット・ベイカーのヴォーカルがある。
2.STANLEY'S TIME : スタンリース・タイム
3.BROADWAY : ブロードウェイ
4.YESTERDAYS : イエスタデイズ
「ラブ・フォー・セール:LOVE FOR SALE」、「売り物としての愛」と言う意味である。「愛をいかが」とか訳されたりするが、要するに、「おにいさん、遊んでいかない」というたぐいの売春をとり扱った歌である。
コール・ポーターの作で、ジャズのスタンダード・ナンバー。
キャノンボール・アダレイの「サムシン・エルス」(1958 BLUE NOTE)に収められた演奏が、ダントツに知られている。
それは、名盤中の名盤とされ、プレイしている顔ぶれも凄い。マイルス・ディビス、キャノンボール・アダレイ、ハンク・ジョーンズ、サム・ジョーンズ、アート・ブレイキーの5人である。
ブルー・ノートからのアルバム、スタンリー・タレンタインのピアノ・トリオをしたがえての三部作と言われるものの一枚。
「ルック・アウト」(1960 BLUE NOTE)。
スタンリー・タレンタイン(ts)
ホレス・パーラン(p)
ジョージ・タッカー(b)
アル・ハレウッド(ds)
1.LOOK OUT
2.JOURNEY INTO MELODY:しんみりと、ムーディ
3.RETURN ENGAGEMENT
4,LITTLE SHERI
5.TINY CAPERS
6.MINOR CHANT
7.LITTLE SHERI
8.TIN TIN DEO
9.YESTERDAYS
スタンリー・タレンタイン、快調である。
「バット・ノット・フォア・ミー:But Not For Me」は、失恋の歌。
チェット・ベイカーのヴォーカル、トランペットで。
1950年代中頃に録音、パシフィック・ジャズからリリース「チェット・ベイカー・シングス」。
ミュージカル「ガール・クレイジー」のために、ジョージ・ガーシュウィンが作曲、アイラ・ガーシュウィンが作詞した。
They're writing sonngs of love, but not for me.
A lucky star's above, but not for me.
With love to lead the way
I've found more clouds of grey
than any Russain play could guaratee.
I was a fool to fall and get that way;
Heigh-ho! Alas And also, lack-a-day!
Although I can't dismiss the memory of his kiss,
I guess he's not for me/
失恋の歌だけど、そんなにジメジメはしていない。
ウエスト・コースト・ジャズの湿度。
スタンリー・タレンタイン・ウィズ・ザ・スリー・サウンズ/ブルー・アワー
録音・レーベル:1960 ブルー・ノート
パーソネル:以下の4人
スタンリー・タレンタイン(ts)
ジーン・ハリス(p)
アンドリュー・シンプキンス(b)
イル・ドウディ(ds)
収録曲:以下の5曲
1.アイ・ウォント・ア・リトル・ガール
2.ジー・ベイビー・エイント・アイ・グッド・トゥ・ユー
3.ブルー・リフ
4.シンス・アイ・フェル・フォー・ユー
5.ウィロー・ウィープ・フォー・ミー(柳よ泣いておくれ)
スタンリー・タレンタインのテナー・サックスは、ケニー・バレルやホレス・バーラン、ジミー・スミスのアルバムで聞いているが、本人名義のものではなかった。
本人名義で、ブルーノートにのこした以下の3枚は、“ピアノ・トリオ3部作”と言うそうだ。
「ルック・アウト」
「ブルー・アワー」
「ザッツ・ホェア・イッツ・アット」
みんな聞いてみたいな。
「アップ・アット・ミントンズVol.2」(Blue Note 1961)も、聞いてみたい。
それに、ホレス・パーランの「スピーキン・マイ・ピース」(Blue Note 1960)も、サイドで吹いている。
さて、「ブルー・アワー」、こういうジャズが好きだ。
こういうジャズならではの魅力をどう表現したらいいのだろうか。
ジャージーと言ってしまえば、あまりにそれだけのことになる。
グルーヴィと言うと、その言葉に頼りすぎて、よく伝わらない。
リズムにあわせて、自然とからだが動く、その方がいい。
まじめくさっていない、フランク、カジュアル・・・。
「黒い」という言い方もされるが、なんだかしっくりこない。
黒人が中心にやっているので、当たり前のこと。
「白い」や「黄色い」という言い方はできるか。
ソウルフルとは言えるな。
オスカー・ピーターソンの「ウィー・ゲット・リウェズ:WE GET REQUESTS」(1964 Verve)。
このアルバム、日本では、「プリーズ・リクエスト」と呼ばれる。
オスカー・ピーターソン・トリオの演奏。
オスカー・ピーターソン(p)
レイ・ブラウン(b)
エド・シグベン(ds)
数あるオスカー・ピーターソンのアルバムの中で、傑作とされる。
1.コルコヴァード
2.酒とバラの日々
3.マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブ
4.ピープル
5.ジョーンズ嬢に会ったかい?
6.ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー
7.イパネマの娘
8.D.&E.
9.タイム・アンド・アゲイン
10.グッドバイJ.D.
オスカー・ピーターソンは、著名なジャズ・メンの中で、ほとんど聞くことがない一人である。聞くのは、よく演奏しているスタンダード・人気曲のメロディを確認したいような時だ。
どうしてだろうか。
僕には、その音が、味気なく感じられるのだ。
優等生の発表会みたいで、きれいだけど、アクのようなものがない。
何で知ったのだったか。
大野雄二は、「ルパンⅢ世」の作曲をやっており、みずからピアニストとして、ジャズで演奏していること。「ルパンⅢ世」関係だけでも、何枚ものCDが出ていること、どれを聞いたらいいのだろうかと迷うほど。
大野雄二トリオ : Yuji Ohno(p)、Yoshio Suzuki(Wood Bass)、Kenichiro Murata(ds)。
それに、ゲストとして、ラテン・パーカッション、ギター、アルト・サックス、ドラムをまじえての演奏のアルバム
「ルパン・ザ・サード ジャズ」(1999 モンキー・パンチ/THS・NTV)
1.ルパン三世のテーマ
2.愛のダ・カーポ
3.ルパン三世愛のテーマ
4.メンバーズ・オンリー
5.銭形マーチ
6.ファニー・ウォーク
7.炎のたからもの
8.マンハッタン・ジョーク
9.ラヴ・スコール
あんなふうに、ジャズを仲間と愉しめるの、うらやましい。
特別に何かをうったえる類の演奏ではない。
ジャズの気分、聞いて充分楽しい。
「ルパン三世」と言うことで、親しみも感じる。
生まれ変わるなら、せめてひとつでも楽器が出来たらなあと思う。
大野雄二のピアノは、デューク・ジョーダン風の楽しさがある。
いちど、ライブを聞きに行きたいと思った。
モーリス・ラヴェル(作曲)
ソプラノ、ピアノ、フルート、チェロのための曲「マダガスカル島の歌」
1.Nahandove:美しいナアンドーヴ
2.Aoua!:アウアー、白人に気をつけろ
3.Il est doux:空気が和らかだから
Jessye Normann:ジェシー・ノーマン(ソプラノ)
Memers of the Ensemle InterContemporain
ピエール・ブーレーズ(Dir)
Rec:1984 CBS
歌詞は、E,D.ドゥ・パルニーの詩集「マダガスカル島の歌」より。
ルネサンス&バロックの世俗音楽集/戦いと嘆き
モンセラート・フィゲラス(ソプラノ)
アンサンブル・エスペリオンXX
グラハム・プッシー(カウンターテノール)
ハリー・ファン・デル・カンプ(バス)
ホルディ・サヴァール(指揮&ヴィオラ・ダ・ガンバ)
Rec:1981年6月11月 ベルリン
ARCHIV PRODUKTION
1.アンニバーレ・パドヴァーノ/戦いの歌(8声)
2.フランチェスコ・ウスペル/戦い(声楽・器楽用、8声)
歌詞は、詩篇150篇より
「・・・喜びのシンバルで主を讃えなさい・・・」
CDは、かように8番まで。
ファーストアルバム シリーズ '70~80年代のシンガーソングライター
思い出は美しすぎて 八神純子 (YAMAHA MUSIC)
10曲収録されている。
どれも、失った恋の歌。
懐かしいな。
すばらしいな。
八神純子さんって、その後、どうされているのだろう。
「ゲットー」と言うと、もとは、中世ヨーロッパの都市のユダヤ人を対象にした強制居住区だったようだ。
わたしの世代では、アメリカの黒人が住む貧民街と言うイメージでとらえる人が多いのでなかろうか。必ずしも黒人と言うわけではないのだろうが。
最近は、「ゲットー」と言う言葉を耳にすることが少なくなった。
それで、以上、書いた次第。
ジャッキー・マクリーンの「ア・ゲットー・ララバイ」(steeole chase 1973)。
コペンハーゲンの「カフェ・モンマルトル」でのライブ録音である。
ジャッキー・マクリーン(as)
ケニー・ドリュー(p)
ニールス・ペデルセン (b)
アレックス・リール(DS)
以上4人による演奏である。
5曲収録。
1.ジャックス・チューン
2.モード・フォー・ジェイ・マック
3.ホエア・イズ・ラウ
4.コーリン
5.ゲットー・ララバイ
1973年の演奏・録音であるということを強く意識してしまう。
ジャッキー・マクリーンの音は、充分魅力的で、いきいきしていていいのだけれど。
フリーに近い感じがあればあるほど、聞き手より、演奏者の満足が求められているような傾向を感じる。
ジャッキー・マクリーンのよさとは何かなとも考えさせられる。
アルバム名になっている「ゲットー・ララバイ」は、凄くよく出来ていると思う。
マクリーン独特の香りもある。
ちょっとメランコリーのような。やるせないような。メロディーのせいかな。
4曲目「コーリン」は、ケニー・ドリューの作曲だそうだ。いいのだけれど、これと言った香りがないかな。
3曲目「ホエア・イズ・ラウ」は、ケニー・ドリューのピアノ、きれいだな。特別じゃないけど、いいなあと感じる演奏だ。
2曲目は、「モード・フォー・ジェイ・マック」。
ジェイ・マックとは、ジャッキー・マクリーのこと。
曲を聞いて受ける印象というのは、その時々によって違ってくる。
もう一度、「ゲットー・ララバイ」を。
俺は、テンポの遅い曲が好きなのかな。
アイク・ケベックの「ボサノヴァ・ソウル・サンバ」は1962年のレコーディングだ。
クインシー・ジョーンズの「ボサ・ノヴァ」も、1962年だった。
スタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトによる「GETS/GILERTO」は、1963年だった。
ボサ・ノヴァは、その頃、ひろまった。
パット・メセニーの「ワン・クワイエット・ナイト」(2003)。
バリトン・ギター・ソロのアルバムである。
ネットで、このアルバムの紹介を見たことがある。
キース・ジャレットの「The Melody At Night, With You」が、思い浮かんでくるようなところがあると。
ピアノとギターと楽器は異なるが、人の気分をリラックスさせると言うようなことなのだと思う。
以前から、このアルバムを入手したいと思っていたが、ショップでは見つからなかった。それが、先日、立川のディスクユニオンで見つけた。
パット・メセニーは、1954年、アメリカ・ミズーリ州の産まれのジャズ・ギタリスト、わたしより年下だけど、僕を満足させてくれるだろうか。
1曲目「One Quiet Night」を聞く。曲調は静かだが、なんだかひきつけるものがない。
2曲目「ソング・フォー・ザ・ボーイズ」、3曲目「ドント・ノー・ホワイ」と聞き進。印象は変わらない。
ジャズと言う感じがしない。ジャズとしてのよさがない。
何かを期待しすぎなのだろか、クラシックで、イエペス、フェルナンデス、ぺぺ、ジャズでジム・ホールでも、同じような印象を持つようなことはあるのだけれど。
わたしの気分のせいか。
以前、パット・メセニーの「シークレット・ストーリー」を聞いたときも、つまらなかった。
普通のギター曲として、聞いた方がいいね。
音楽映画「ラウンド・ミッドナイト」
監督:ベルトラン・ダウェルニエ
主演:デクスター・ゴードン
音楽:ハービー・ハンコック
1986年、アメリカとフランスの合作による制作、バド・パウエルのパリでの暮らしの実話にもとづき、その交友を描いた。
CDは、「デクスター・ゴードン/ラウンド・ミッドナイト」(ソニー・ミュージック)としてのサウンドトラック盤。
フューチャリングしている顔ぶれがすごい。
テェット・エイカー、ロン・カーター、デクスター・ゴードン、ハービー・ハンコック、フレディ・ハアート。ボビー・ハッチャーソン、ボビー・マクファーリン、ロネット・マッキー。ジョン・マクラフリン、ピエール・ミシュロ、ウェイン・ショーター、シダー・ウォルトン、トニー・ウィリアムス。
12曲収録(1曲はボーナストラック)。
曲によって、演奏者は異なる。
1.ラウンド・ミッドナイト
※ボビー・マクファーリンのヴォーカルあり。
2.身も心も
※ギターを入れたクインテット、スタンダード・ナンバーで親しみやすい。
3.ベランジェールズ・ナイトメア
※ハンコックのピアノ他。
4.フェア・ウェザー
※チェット・ベイカーのヴォーカルとトランペット。
5.ウナ・ノーチェ・コン・フランシス
※ウェイン・ショーターも入ったセクステット。
6.ザ・ピーコックス
※カルテットで。ゴードンいなく、ウェイン・ショーターがソプラノ・サックス。
7.ハウ・ロング・ハズ・ディス・イーン・ゴーイング・オン?
※ガーシュインの曲。ロネット・マッキー(女性)のヴォーカル。
8.リズマニング
※クインテット。フレディー・ハバードのトランペット。
9.スティル・タイム
※ゴードンのテナー、ハンコックのピアノを落ち着いて聞ける。
10.ミニュイ・オ・シャンゼリゼ
※ピアノとヴィブラフォンの演奏。洒落た雰囲気で。
11.チャンズ・ソング
※ボビー・マクファーリンのヴォーカルが入る。
12.ラウンド・ミッドナイト(ライブ・ヴァージョン)
※2菅のクインテット。インスツルメント。
これまで聞いたジャズ音楽映画のサウンドトラックに較べると、悪くはないが、イマイチだ。