アストラッド・ジルベルトのCDに、「ザ・シルバー・コレクション」と表記された一枚がある。
「The Astrud Gilberto Album」で、レーベルは、ヴァーブ。
ジャケットは、アルバム「おいしい水」のものである。
アストラッド・ジルベルトの声・歌、ボサノヴァ、快適だね。
そこに、妙な社会性に発するストレスはない。
そこに、肩肘をはらないていい世界がある。
以下の曲が収録されている。
1~13:アルバム「おいしい水」収録曲
14~22:アルバム「いそしぎ」収録曲
〈曲目リスト〉
1.ワンス・アイ・ラヴド
2.おいしい水
3.瞑想
4.アンド・ローゼズ・アンド・ローゼズ
5.悲しみのモロ
6.お馬鹿さん
7.ジンジ
8.フォトグラフィア
9.夢みる人
10.あなたと一緒に
11.サヨナラを言うばかり
12.いそしぎ:Love Theme From "The Sandpiper" (The Shadow Of Your Smile)
13アルアンダ:(Take Me To) Aruanda
14.カーニヴァルの朝:Manha De Carnaval
15.フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン:Fly Me To The Moon
16.ジェントル・レイン:The Gentle Rain
17.ノン・ストップ・トゥ・ブラジル:Non-Stop To Brazil
18.ガンソ:O Ganso
19.フー・キャン・アイ・ターン・トゥ?:Who Can I Turn To?
20.デイ・バイ・デイ:Day By Day
21.悲しみよ、さようなら:Tristeza
22.ファニー・ワールド:Funny World
23.サマー・サンバ :So Nice(Summer Samba)
24.レッツ・ゴー:Let Go(Canto De Osssanho)
25.ビリンバウ:Berimbou
マル・ウォルドロン・クインテッド:Mal Waldron Quintet
「ハード・トーク:HARD TALK」(enja)。
1974年のライブ録音。
ハードで重い音が、ズシリとくる。
ただ、きれいにジャズをやってますと言うのとは違うところがいい。
スティーヴ・レイシーの激しさが効いている。
でも、ソプラノ・サックスの音というのは、精神衛生にようないように感じる。
「ハード・トーク」の中、マルが優しさをつくっている。
〈パーソネル〉
マル・ウォルドロン:Mal Waldron(p)
マンフレッド・ショーフ:Manfred Schoof(tp)
スティーヴ・レイシー:Steve Lacy(ss)
イズラ・エッキンガー: Isla Eckinger(b)
アラン・ブレアマン:Allen Blairman(ds)
〈収録曲〉
1.スネーク・アウト
2.ハード・トーク
3.ロシアン・メロディ
4.フーレイ・フォー・ハービー
『頽廃音楽』同名展覧会復元展(1988年、デュッセルドルフ)のためのオリジナル・サウンド・ドキュメント
上記のCD4枚組の作品の中にある、マレーネ・ディートリヒの歌を聞いてみる。
このドキュメントは、ナチスのゲッペルスが、1938年に催した『頽廃音楽展』(帝国音楽祭の一巻)が、元となっている。
「粛清」「濫用」「“ドイツ的音楽”」「抵抗」と4つのプログラムが示されている。
マレーネ・ディートリヒの歌は、「粛清」の中に収められている。
フリードリヒ・ホレンダー:トーキー映画『嘆きの天使』(1930年)より
『頭のてっぺんから爪先まで愛にどっぷり』
マレーネ・ディートリヒ(歌)、ヴァイントラブ・シンコペイターズ、
指揮:フリードリヒ・ホレンダー
「頭のてっぺんから爪先まで愛にどっぷり、それが、わたしの世界。どうすることもできないわ。愛することしかできないの。男たちは、灯りの周りの虫のように群がってきて、燃え尽きたりするわ。わたしにはどうすることもできなわ」と歌われる。
同曲をマレーネ・ディートリヒが、1954年6月、ロンドンの“カフェ・ド・パリ”で歌ったのも聞いてみた。
こちらは、英語で「FALLING IN LOVE AGAIN」。
1937年、マレーネ・ディートリヒは、ヒットラーからの帰国要請を断り、アメリカ籍をとることになる。
第二次世界大戦中は、連合軍の将兵慰問で、ヨーロッパ戦線を廻った。
この曲の邦題は、「また恋してしまったのよ」。
フレディ・ハバードの「オープン・セラミ」(1960 Blue Note)。
フレディ・ハバードは、ジャズ・メッセンジャーズのリー・モーガンの後任。
このアルバムは、彼の初リーダー盤。
演奏スタイルは、ハード・バップ。
ティナ・ブルックスのテナーが聞けることでも知られるアルバム。
「これが、モダン・ジャズ」の感、フレディ・ハバードもティナ・ブルックスもみんなとても魅力的なんだけど、格別なものが感じられるかとなると、はてな。
〈パーソネル〉
フレディ・ハバード(tp)
ティナ・ブルックス(ts)
マッコイ・タイナー(p)
サム・ジョーンズ(b)
カリフォード・ジャービス(ds)
〈収録曲:6曲〉
※CD盤では「オープン・セサミ」と「ジプシー・ブルー」の別テイクが入って8トラック。
1.オープン・セサミ
2.バッド・ビューティフル
3.ジプシー・ブルー
4.オール・オア・ナッシング・アット・オール
5.ワン・ミント・ジューレプ
6.ハブス・ナブ
クリフォード・ブラウン&マックス・ローチatベイズン・ストリート(1956 EmArcy)
モダン・ジャズのメイン・ストリートに位置をしめる一枚と言えよう。
若いソニー・ロリンズが加わった演奏としても注目された。
マックス・ローチの力強い太鼓モ聞ける。
以下のようなメンバーで演奏されているアルバム。
ブラウン=ローチ・クインテッドである。
洗練されて、勢いのあるクリフォード・ブラウン(tp)
おおらかで、恐れを知らないソニー・ロリンズ(ts)
みんなを勢いづかせるマックス・ローチ(ds)
他、以下の二人。
ジョージ・モロー(b)
リッチー・パウエル(p)
〈収録曲〉
1.恋とはどんなものでしょう
2.慕情
3.四月の思い出
4.パウエルズ・フランセス
5.タイム
6.ザ・シーン・イズ・クリーン
7.ガートルース・バウンス
「タイム」は、ちょっとかわったムードを漂わせている曲。
ピアノのリッチー・パウエルの曲で、服役中の男が、出獄の日を思いながら、なすこともなく過ごしている時(タイム)を表現しているのだそうな。
なんだか、おもしろい。
アート・ファーマーのイースト・ウィンド・レーベルからのアルバムである。
1976年、ニューヨークで録音された「おもいでの夏:ザ・サマー・ノウズ」。
アルバムの中に「カーニヴァルの朝(黒いオルフェ)」が収録されていて、アート・ファーマーのウオームなフリュウゲルホーンで聞くのもいいだろうと思った次第。
甘い香りをただよわして、思っていたより派手やかな演奏だった。
〈パーソネル〉
アート・ファーマー(flh)
シダー・ウォルトン(p)
サム・ジョーンズ(b)
ビリー・ヒギンズ(ds)
〈曲〉
1.おもいでの夏
2.カーニバルの朝~「黒いオルフェ」
3.アルフィー
4.ウェン・アイ・フォール・イン・ラブ
5.ダディ
6.アイ・シュッド・ケア
フレディ・ハバードの「カーニヴァルの朝(黒いオルフェ)」。
おおがかりな演奏である。
おおがかりすぎて、期待に添わず、ガッカリ。
管だけで、フレディ・ハバードのトランペットの他、エリック・ドルフィーのアルト・サックス、フルート、ウェイン・ショーターのテナー・サックス、カーティス・フラーのトロンボーンと言う編成である。
リズム・セクションに、シダー・ウォルトン(p)、レジー・ワークマン(b)、ジュー・ジョーンズ(ds)、ルイ・ヘイズ(ds)。
その他のメンバーでの演奏である。
これが収録されているアルバム名は、「ボディ&ソウル」(1963 impulse!)である。
フレディ・ハバードが、ブルーノートから、リダー-・アルバムを出すようになった頃のもので、インパルスからではあるが、演奏メンバーは、ブルーノートとほぼ同じ。
〈収録曲〉
1.身も心も
2.カーニヴァルの朝
3.チョコレート・シェイク
4.テディケイテッド・トゥ・ユー
5.クラレンセズ・プレイス
6.アリエス
7.スカイラーク
8.アイ・ガット・イット・バッド
9.サーモ
カサンドラ・ウィルソンの「ラヴァリー:LOVERLY(~恋人のように)」は、2007年に、ミシシッピ州ジャクソンで録音された。
レーベルはBLUE NOTE。
スタンダード・ナンバーを採りあげたアルバム。
〈パーソネル〉
カサンドラ・ウィルソン(vo)
ニコラス・ベイトン(tp)
マーヴィン・スーウェル(g)
ジェイソン・モラン(p)
ロニー・プラキシコ(b)
レジナルド・ヴィール(b)
ハーリン・ライリー(ds)
カン・ババロラ(per)0.)
ロンダ・リッチモンド(back vo)
〈収録曲〉
1.恋人よ我に帰れ: Lover Come Back To Me
2.黒いオルフェ / Black Orpheus
3.ラヴァリー(素敵じゃない?);Wouldn't It Be Loverly
4.風と共に去りぬ:Gone With The Wind
5.キャラヴァン:Caravan
6.あなたに逢えるその日まで:'Til There Was You
7.スプリング・キャン・リアリー・ハング・ユー・アップ・ザ・モスト / Spring Can Really Hang You Up The Most
8.アレーレ:Arere
9.セント・ジェームズ病院:St. James Infirmary
10.ダスト・マイ・ブルーム:Dust My Broom
11.ザ・ヴェリー・ソート・オブ・ユー:The Very Thought Of You
12.ア・スリーピング・ビー :A Sleepin' Bee
洒落た器楽演奏、そして、彼女のずっしりした声、・・・・。
彼女の声を、色で喩えるなら・・・、暖色か寒色かと言ったら、中間だな。
緑ではないな。
茶系かな、そうだとしたら、かなり黒っぽい茶だな。
ところどころ、赤も見える。
チェット・ベイカーの「チェット・ベイカー・シングス」なるアルバムには、幾つものヴァージョンがあることを知った。
ジャケットもいろいろである。
ちゃんとしたジャズ・ファンからは、今頃になってと思われるかも知れない。
以前、聞いたのは、一番広く出回っている14曲収録のCD盤、ギターの入っていないものである。
新たに入手したのは、ジョー・パスのギターがオーヴァーダビングされたCD盤。
1962年リリースのステレオ化されたものである。
12曲が収録されている。
もともとは、1954年から1956年に録音されたものである。
演奏は、チェット・ベイカー(vo,tp)、ラス・フリーマン(p)、ジョー・パス(g)他である。
〈収録曲〉
1.マイ・ファニー・ヴァレンタイン
2.ザット・オールド・フィーリング
3.ライク・サムワン・イン・ラヴ
4.マイ・バディ
5.イッツ・オールウェイズ・ユー
6.サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー
7.バット・ノット・フォー・ミー
8.ルック・フォーザ・シルヴァー・ライニング
9.アイ・ゲット・アロング・ウィズアウト・ユ・ヴェリー・ウェル
10.アイ・フォール・イン・ラヴ・トゥ・イージリー
11.ザ・スリル・イズ・ゴーン
12.ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー
久しぶりに、チェット・ベイカーの歌声を聞いて、改めて思う。
わかわかしいシャイな青年の香気をただよわせていて、とても魅力的である。
その声を聞くと、同時に、年老いて、深い皺が刻まれた彼の顔が思い浮かぶ。
時の残酷さを感じる。
人の心の弱いところにしのびこむクスリの怖さも。
人はなんて脆いものなのだろう。
とても切ない気分になる。
「黒いオルフェ」の演奏を9つとりあげた。
わたしの知っているのは、それくらいかなと思った。
だけど、もっとも耳にしたのではないかと思われる演奏を忘れていた。
ジェリー・マリガンがアート・ファーマー他と演奏している「黒いオルフェ」だ。
「ナイトライツ」と言うアルバムに収められていて、毎夜のように聞いていたことがある。
さあ、「黒いオルフェ」、ここらで一段落させよう。
ラストは、好きなテナー奏者バルネ・ウィランで。
この演奏で、音の高いところが、きになる。
こうやって、聞きくらべてくると、ポール・デスモンドのが、一番しっくりくるかな。
「黒いオルフェ」をポール・デスモンドのテナーでも聞こう。
以前、わたしの夜に聞くジャズ、癒やし系のジャズとして、よく聞いた。
なかなかの出色の出来だと思う。
ギターを弾いているのは、ジム・ホール。
なんだか、けだるく、切ないムードがよく出ている。
ヴォーカルなしの「黒いオルフェ」を聞いてみようか。
久しぶりのスタン・ゲッツ。
ゲイリー・マクファーランドのアレンジ、コンダクトのオケをバッグにしての演奏である。
ギターはジム・ホール、ピアノはハンク・ジョーンズである。
ゲッツのテナー・サックスが豊かな音を響かせ、全体に豪華である。
それでも、曲の持つ哀愁のようなものは感じられる。