ゆくへさだめぬ

2013-12-05 | 【樹木】楓
 「もみぢ」の季節。
 「古今和歌集」より。よみ人しらず。
  秋風にあへず散りぬるもみぢばのゆくへさだめぬ我ぞかなしき
 ゆくへが分からないのも、つまらないゆくへが見えすぎるのもかなしいものだ。
 いずれにしろ、気持ちの持ち方次第かな。

寝もと我は思ふ

2010-02-02 | 【樹木】楓
 万葉集の東歌のひとつ。
  子持山 若かへるでのもみつまで 寝もと我は思ふ 汝はあどか思ふ
 「かへるで」は、確か「蛙手」で、蛙の手のような形をしていということで「楓」。
 よって、「若かへるで」は、紅葉の前の青々とした楓の葉のこと。
 「もみつ」は、「もみじ」ることで、紅葉。
 古くは、確か、紅葉より黄葉と書くことが多かったはずだ。
 歌の前半は、「緑の楓が紅葉するまで」と言うことになる。
 「寝もと我は思ふ」は、「わたしはあなたと寝ていたいと思う」と言うこと。
 「汝はあどか思ふ」は「あなたは、どう思うか」。
 要するに、君とずっと同衾していたいが、君はどうかな、という意の歌である。
 東歌には、こういう率直な歌が数多くあって、楽しい。

美しい時

2009-12-07 | 【樹木】楓
 君が、一番美しい時を見逃してしまったようだ。
 紅葉の時期に通るのを楽しみにしていた唐楓が、すでに散っていた。
 そういう風にして、時が過ぎる。
 ただ、忘れはしない。

 はじめなき夢を夢ともしらずしてこのをはりにやさめはてぬべき(式子内親王)

黄色い猿の掌

2009-12-02 | 【樹木】楓
 イタヤカエデ(板屋楓)は、秋に黄葉する。
 その仲間に、エンコウカエデ(猿猴楓)がある。
 イタヤカエデは、葉の切れ込みが浅い。
 雨よけの板屋根のようというところから、名がついた。
 エンコウカエデは深い。
 そして、その形が猿の掌を思わせるところから、名がついた。
 ただ、その切れ込みには、差がある。
 多摩動物公園には、大きな猿猴楓が生えている。

プロペラ・ツリー

2009-05-10 | 【樹木】楓
 イロハカエデに虹色のプロペラ。
 それは、可能性のプロペラ。
 昨日の夕刻、空に虹を見たことを思い出した。
 イタヤカエデのしたに薄緑のプロペラが散乱していた。
 遠く飛ぶことのなかったプロペラ。
 空を見て、「もう帰ろうか」と思った。

秋の一日

2008-11-29 | 【樹木】楓
 朝、ベランダの無花果、櫟、梅の落ち葉を掃く。
 昼、遠く板屋楓の紅葉を眺める。
 夕方、唐楓の並木の道を通る。
 赤くなっている葉、黄色いの、その中間のもの、まだ緑色の葉を確認する。
 夜、オリオン座を望む。

天狗の羽団扇なるもの

2008-10-16 | 【樹木】楓
 先日、狭山湖方面の野道をほんの少し歩いた。
 楓の木も見かけたが、紅葉はまだであった。
 「ところで、ハウチワカエデって言うけど」と聞かれ、「葉っぱの形が天狗の羽団扇を連想させたんだよ」と応えてみたけれど、さて。
 天狗の羽団扇については、漠としたイメージをもっているものの、これが定型という形、材質などについては、知らない。もともと架空のもの、仕方ないと言えばそうなのだが。
 ヤツデ(八手)の葉のことを、天狗の羽団扇と呼んだりするが、どうも違うなと思ったりしている。
 以前、喫茶店で、飾り物の天狗の面が置いてあったので、それをとって、股間にあてがっていたら、近くの女の子がキャッキャッと喜んでいた。

瓜の膚をした楓

2008-09-29 | 【樹木】楓
 ウリカエデ(瓜楓)、ウリハダカエデ(瓜膚楓)は、ともに山地で育つ。同じ山地育ちのミネカエデやコミネカエデに較べると低い山のようである。
 ウリカエデの裂片は3つ、ウリハダカエデの方は3~5片。両方とも、成木で、緑がかった樹皮に縦の縞が入り、瓜を思わせる。そのさまは、ウリハダカエデの方が鮮明であるようだ。
 参考まで、ウリハダカエデに似たカエデに、ホソカエデ(ホソエウリハダ)がある。
 カエデ属の樹木のことを種類別に書いてきたが、ここらで一区切りにしたいと思う。形や色のこと、文章で読んでもピンとこなかっただろう。自分が楓の種類を覚えるための勉強でしかなかった。

峰の楓

2008-09-29 | 【樹木】楓
 ミネカエデ(峰楓)、コミネカエデ(小峰楓)は、山地に生えるカエデだ。ミネカエデの方が、より標高のある深山、高山に生える。ということで、樹高は、ミネカエデが2~8メートル、コミネカエデが6~8メートルとなっている。

花の木

2008-09-28 | 【樹木】楓
 ハナノキ(花の木)というカエデがある。花というと桜を思い浮かべがちで、カエデにいたることはなさそうだが、その名はカエデにつけられている。別名、ハナカエデである。
 ソメイヨシノなどと同じく、葉がつきだす前に花が咲き、その花が真紅色で美しく密生するところから、そんな名をもらったという。
 大きく育つと25メートルくらいにもなると言う。葉は浅く3裂。
 辻井達一の「日本の樹木」(中公新書)には、ハナノキは、メグスリノキとも呼ばれると記されている。この表記が気になった。ハナノキとメグスリノキは、別の木である。葉の形も付き方も異なる。
 同じ辻井著に、「東北地方では一般にカエデの類をハナノキあるいはハナと呼んだという。そして単にハナと呼ぶ場合は、イタヤカエデを指す場合が多いのだそうだ」とある。そうだとすると、ハナノキをメグスリノキと呼ぶことがあるというより、逆にメグスリノキをハナノキと呼ぶことがあると言った方がいいように思う。
 一応、ハナノキとメグスリノキは別物であることを前提に、呼び方としていろいろあると覚えた方が頭が整理できるように思う。

日本のもみじ

2008-09-26 | 【樹木】楓
 日本のもみじと言えば、イロハモミジ(いろは紅葉)、オオモミジ(大紅葉)、ヤマモミジ(山紅葉)の3種が代表だ。これら以外のカエデ属は、モミジとは言わず、カエデと呼び分けたりする。
 この3種、葉の大きさからは、オオモミジ、ヤマモミジ、イロハモミジの順。
 今日の朝の風はあたたかい。南風だ。紅葉の季節はまだだ。 

大きなハート形の楓

2008-09-25 | 【樹木】楓
 切れ込みがなく、いわゆるもみじの葉の形をしていないカエデ属に、昨日ブログでとりあげたメグスリノキと同じく3つの小葉からなる複葉をしたミツデカエデがある。小葉が4~5枚になることもあるようである。
 また、ヒトツバカエデ(一葉楓)がある。名前が示すように対生で一枚の葉は、大きなハート形をしている。それで、マルバカエデ(丸葉楓)とも言われる。秋には、黄葉となる。
 ちょっとした見かけだけでは、分からぬこともある。