大晦日の河原撫子

2009-12-31 | 【草花】ETC
 大晦日、ベランダの河原撫子が花をつけている。
 薄青い空には、朝陽を受けた雲が流れている。
 目をうつすと、唐鼠黐の木に鵯が来ている。
 その実はあらかた食われてしまっている。
 ほかならぬ鵯が食べてしまったのである。
 植木鉢の鰭薊の葉は、ロゼット状だ。
 冬の姿である。
 式子内親王の和歌を二首。
  われのみは哀れともいはじたれもみよ夕露かかる大和撫子
  静かなる暁ごとに見渡せばまだふかき夜の夢ぞかなしき

「無為に過ごした」か

2009-12-30 | 【断想】ETC
 夜、星の光る空を眺める。
 今年も、もうすぐ終わる。
 日曜からの風邪が、ようやくなおりかけているようだ。
 ここ数日、ほとんど無為に過ごした。
 年末の挨拶の電話をくれたH氏は、「それも天の恵み」と言った。
 確かに、そうとも言えるかも知れぬ。
 それでも、やろうとしていたことが幾つも手につかなかった。
 会いたい人にも会えなかった。
 今年は、そう言うことが多かった。
 これまで、経験したことのない状態に身を置いた。
 恵みとも言えるし、失うものが多かったとも言える。
 明日は大晦日。
 ロウバイの花でも見に出かけられるだろうか。

茶畑が見える

2009-12-14 | 【断想】ETC
 その窓から、茶畑が見える。
 その茶畑を見る人のほとんどは、老いと病気のうちにある。
 死は、遠い先のことではない。
 その窓は、病院の窓である。
 同じものを見ても、見る人の胸にあるものは異なる。

かぞふれば

2009-12-10 | 【断想】ETC
 かぞふれば年ののこりもなかりけり老いぬるばかりかなしきはなし(和泉式部)
 今年も残り少なくなってきた。
 もう年内にできることも少なくなった。
 おまけに年もとって、それによってもできることが少なくなった。

戯れせんとや

2009-12-09 | 【断想】ETC
 空海の「秘蔵宝鑰」に次のような言葉がある。
 「酒に耽り色に耽って誰か後身の報をさとらん」
 とかく、人はそのようであるということなのだろう。
 あまりに耽溺すれば、身体にも精神にも、社会生活をおくるうえでも好ましくはないだろう。
 ただ、酒も色も、現世に生きる上で活力の源にもなる。
 酒も、色もあってこそ、はかない生に楽しみも増えると言えよう。
 色恋なしでは、あまりに殺風景である。
 梁塵秘抄の次の言葉を呟いてみる。
  遊びをせんとや生まれけむ
  戯れせんとや生まれけん

美しい時

2009-12-07 | 【樹木】楓
 君が、一番美しい時を見逃してしまったようだ。
 紅葉の時期に通るのを楽しみにしていた唐楓が、すでに散っていた。
 そういう風にして、時が過ぎる。
 ただ、忘れはしない。

 はじめなき夢を夢ともしらずしてこのをはりにやさめはてぬべき(式子内親王)

黄色い猿の掌

2009-12-02 | 【樹木】楓
 イタヤカエデ(板屋楓)は、秋に黄葉する。
 その仲間に、エンコウカエデ(猿猴楓)がある。
 イタヤカエデは、葉の切れ込みが浅い。
 雨よけの板屋根のようというところから、名がついた。
 エンコウカエデは深い。
 そして、その形が猿の掌を思わせるところから、名がついた。
 ただ、その切れ込みには、差がある。
 多摩動物公園には、大きな猿猴楓が生えている。