芝生のうえで

2014-06-24 | 【断想】ETC
 あの芝のうえに
 少年時代の僕たちが見える
 金沢・石川門のした
 かつてとはいささか造りが異なるが
 やはり芝生で
 またあそこで
 ころげまわりたい
 死んだやつ
 遠くへ行ったやつもいるが

月のかげ

2014-06-13 | 【断想】ETC
 昨夜、月がこうこうと照っていた。
 しばし、眺めた。
 風が気持ちよかった。
 もう少し、そのままでいたら、逝ってしまった友のことなど、もっと思っただろう。
 式子内親王の歌。
 ふるさとをひとりわかるるゆうべにもおくるは月のかげとこそきけ

大人の雨降り

2014-06-12 | 【断想】ETC
 今朝も雨。
 連日、雨降りだ。
 この雨降りがはじまった頃。
 「たまに雨降りもいいね。落ち着いた気分になるね」
 「そうね。小さい頃は雨降りが嫌だったけど。大人になると違うわね」
 かくして、みんな、おじいさん、おばあさんへ。

能登杜氏の酒

2014-06-06 | 【断想】ETC
 無濾過原酒の「農口」というお酒を口にした。
 現在、金沢で仕事をしている知人が、ある会合に差し入れてくれた日本酒である。
 口にしてすぐ感じたのは、濃い酒だなということ。
 どっしり感があって、なかなか美味かった。
 「菊姫」の味に近いなと感じた。
 それで、「金沢の菊姫みたいだ」と口にした。
 幹事役は、どうして知っていたのか、「菊姫」にいた杜氏による酒と教えてくれた。
 能登杜氏の農口さんという人が造った酒だった。
 「俺の味覚もまあまあか」とちょっと得意、嬉しかった。
 「農口」のラベルを見たら、蔵元は能美郡であった。
 ネットで確認したら、菊姫の蔵元は、鶴来だった。
 金沢ではなかった。
 いずれにしろ、近くではあるのだが。
 ついでに、石川の「天狗舞」、島根の「王碌」、山形の「十四代」もちょっと。

「夏臘梅」

2014-06-06 | 【樹木】ETC
 昨日、久しぶりに会った女性と植物の話をした。
 彼女は、多くの種類の草花を育てている。
 「夏臘梅(ナツロウバイ)って知ってる」と聞かれ、花の画像を見せてもらった。
 知らなかった。
 そのうち、どこかで見ることがあるだろうか。
 そんなやりとりが出来て、よかったなと思った。

性愛から歴史を語る

2014-06-05 | 読書
 木村凌二著「愛欲のローマ史」(講談社学術文庫)を読んだ。
 5つの章で構成されている。
 第1章には、カリグラやネロ、メッサリナらの放縦、淫蕩が語られ、それ自体がおもしろい。人を傷つけるだけでなく、自分自身を汚すことを厭わないカリグラのことなど。
 第2章では、詩人達が描いた男と女のこと等が記され、オウィディウスの「恋いの技法」も紹介されいた。岩波文庫で、沓掛訳「恋愛指南」で出ており、以前、読んだ。
 第3章には、諷刺詩人たちの詩が紹介され、そのバックにある心性の変化が語られている。
 第4章では、ローマ人の間に「結婚」という生活形態が広まっていく変化。
 第5章では、内なる世界へと目を向け出すローマ人のこと。エピクロスのことなども出てきた。
 この本の紹介文を別に書いてみた。いずれ、このブログに載せようかと思っている。
 本書は、講談社刊行の「ローマ人の愛と性」(1999年)が文庫化されたもの。

恩恵と喪失

2014-06-04 | 読書
【本の紹介】
●近代の呪い/渡辺京二著/平凡社新書/2013年10月15発行/777円(税込み)
 現代、われわれの暮らしは、経済をはじめ個々の社会保障制度にいたるまで、国家との関わりなしには成立しない。著者は、近代の特色は、国民国家の創出であったと述べる。民衆と国が常に向き合うようになり、それは世界の西洋化とともに進み、人類に多くの恩恵をもたらした。しかし、その代償として喪ったものもある。人間は、果たして幸せになったのか、近代の呪縛から逃れることはできるのかが語られる。人間社会の新しいあり方を考え直す時にいたっているのでないかと。

オリーブで愉しく

2014-06-04 | 【樹木】エッセイ
●中道左派の木として
 政治の舞台に、時折、「オリーブの木」という言葉が登場する。もともとはイタリアでの中道左派連合の運動で使われた。
 日本でも、何人かの政治家が、政党連携の構想で使った。オリーブと言うと、西洋風でなにやらカッコよさそうという面があったのかも知れない。
 ただ、オリーブの木の樹形は、カッコいいとは言えない。枝の伸び方が不規則なのである。形をよくしようとすれば、梅の木と同じで剪定が大切となる。
●美女との食卓で
 オリーブのイメージを利用して、カッコをつけるということでは、人をけなしたりできない。私もしているのだ。
 美女と西洋料理を食べる折、パンが出てくると、オリーブオイルを注文するようにしている。
「塩分の多いバターを塗るより、オリーブオイルをつけた方がヘルシーだよ」とか言ってカッコをつける。少しは、好感度が増すかとの下心で。いずれにしろ、いつまでも元気に美女と楽しい時を過ごすためにも、オリーブはおおいに摂らなくては。健康にいいのである。
●血液の循環にかかわる
 オリーブの樹形はカッコわるくても、その実は、多くの恩恵を人にもたらす。動物の肉をよく食べるヨーロッパで、循環器系の病気が少ないのは、オリーブオイルの摂取が多いからとも言われる。血液の流れをよくするようである。
 オリーブが健康にいいと知り、また、そのスペイン産のオリーブの実の缶詰が廉価で手に入ることをいいことに、大いに買い込んで失敗したことがある。
 愚かなる私は、毎日、大量に実を食べた。ある日、医者に「血圧が高すぎる。治療を始めますか」と言われた。その実は塩水につけられていたのである。要するに、塩分の取りすぎだった。
 翌日から、しょっぱい実を食べるのはやめた。ただ、オイルの方は、毎朝、サラダにかけるなどして、かなり摂っている。
●哲人タリスの大儲け
 オリーブにまつわるいにしえのエピソードをひとつ。
 古代ギリシアの哲人、タリスがオリーブオイルの搾り器を借り占めて、大儲けをした話である。
 哲学の祖とも言われるタリスは、夜ごと、岩山に腰を下ろし、星空を仰いでいた。何をするでもなくボケーッとしているように見えた。
 それで、村の女たちに「役立たずのおじさん」と、馬鹿にされてしまった。当然といえば当然の成り行きである。女たちを咎めてもはじまらない。
 タリスは、言われっぱなしは、哲学者の沽券にかかわると一案を実行にうつした。金儲けをすれば、みんなが見直すか、そんなの簡単なことであるぞとばかり、みんなの鼻を明かしたのである。
 タリスは、ただ夜空を眺めていただけではなかった。天体の動きを見て、近く、オリーブの実の豊作が到来することを予測したのである。
 その地方では、不作続きで、搾り器の借り占めに走ったときも、不信を抱かれることはなかった。やがて、オリーブの枝に実がたわわとなる。実は収穫され、オリーブ農家の人たちが、搾り器の前に行列をつくることとなった。
 タリスは、搾り器の使用料をそれなりにとった。儲けた金には目もくれなかったという。カッコいいね。
●恵み多き特別の木
ヨーロッパでは、オリーブは特別の木、その実は大事な食用であり、平和のシンボルでもある。
 ギリシア神話では、知恵の神でもあるミネルヴァの神木。旧約聖書の創世記では、大洪水のあと、ノアの箱船から放たれた鳩が嘴にしてきたのもオリーブ小枝である。
 「オリーブの木」は、わが国政治では実りがないが、オリーブ自体は、女にもてるためにも、健康にも、金儲けにも大いに有用という次第。

美女たちと柿

2014-06-04 | 【樹木】エッセイ
 今は昔。昨年、一昨年の国政選挙を境に、仕事場の環境が大いに変わった。
 秘書業から解放されたのはよかったとも言える。しかし、国会の議員会館に勤務していた時には、近くに美女たちがわんさかいたが、そうではなくなった。
 「お昼を食べに行こうか。ビールでも飲みに出かけようか」と、美女と席をともにする機会に恵まれていたのだが。
 今は、新橋にある小さな事務所でわびしく仕事をしている。
 それで、美女がらみのことを書こうかと思ったら、今は昔となった。
 柿にまつわるあれこれである。
●柿の蔕(かきのへた)
 昨秋、美女からのお誘いがあって、お茶会に行った。紅葉した楓が美しい庭園にある茶室で、手にした茶碗がある。
 「柿の蔕」だった。その渋い風合いに、「いいなあ、欲しいな」と口走り、亭主の美女に無視された。
 柿の蔕と呼ばれる茶碗は、高麗もの。枯れ落ちた柿の蔕を思わせる薄汚くもある色合いをしている。「寂び寂びと冷え枯れた趣」などと表現されたりする。いささかいびつなその形もいい。
 お茶をいただいたあと、私と同じく客の美女三人と庭を散歩した。色っぽい出来事はなかったけど、それなりの秋の一日。
●干し柿スライス
 そして、秋から冬へ。
 美女と一緒に、高尾の冬蕎麦を食べに出かけた。
 東京の京王線をご利用の方には、知られたことであるが、毎年、冬になると、高尾山口周辺の蕎麦屋と京王電鉄がつるんで、「冬蕎麦」アピールのキャンペーンがはられる。
 とろろの温蕎麦をメインとした各店の蕎麦の写真が並んだポスターを目にすると、無性に食べたくなる。 高尾山に登るケーブルカーの駅近くに人気の蕎麦処「高橋家」がある。そこで、甘味のひとつとして、「秋日和」と名付けられた干し柿をスライスしたお菓子が食べられる。店のレジ脇で売ってもいる。
 なんとも、上品な風味で、人にお薦めできる一品である。和風の美女へのお土産に如何だろうか。
●柿の葉寿司
 「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」正岡子規の有名な句だ。
 奈良の名産のひとつに柿の葉寿司がある。鯖や鮭、小鯛の切り身を寿司飯にのせ、殺菌作用もある柿の葉にくるんでつくられる。柿の葉の香りが愉しめるのである。
 鯖は、若狭から運ばれる。その通り道は、鯖街道と呼ばれる。
 その時、滋賀県大津市にいた。衆議院選挙の真っ最中だった。滋賀から、奈良へ勤務場所が移っていた美女が、差し入れで、柿の葉寿司を持ってきてくれたことがあった。
 無粋な選挙事務所で食べた柿の葉寿司がうまかった。そんな場所でのこともあろうか、忘れられないことのひとつ。
●柿泥棒
 男にとって、至福な時というのは、美女に目覚める前の少年時代にあるように思う。
 「柿の木は竈の煙のあたるところを好む」と言われる人里の木、煙の絶えた空き家の庭に、立派な柿の木があった。大きい見事な実をつけるので、日頃から目を付けていた。
 遊び仲間でグルになって、柿泥棒。見張りをたて、木に登る者、もいだ実を下で受け取る者、役割分担をして、大量に収穫した。楽しい思い出である。
 さて、柿の木の学名は、Diospyros kaki(ディオスピロス・カキ)。「カキ」で世界に通用する日本のフルーツである。そのうまさは、世界に誇れるものと思っている。
 与謝蕪村に「柿の花」を詠み込んだ句がある。
「柿の花きのう散しは黄ばみ見ゆ」
 時は五月、その花の季節となる。

栗の花の季節

2014-06-04 | 【樹木】ETC
 そうだ。
 先日、電車の窓から、栗の花を見た。
 確かに、栗の花だった。
 家の窓から見える栗の木を見なくては。
 花の季節であることを確認しなくては。
 そう思っていたのだ。
 「栗の花の季節だね。そこの栗は見た?」
 「見なくても、臭いでわかるわ」
 俺は、その臭いに鈍感なのだ。
 間違いなく、栗の花の季節だった。