雨の河原の真薦草

2008-07-31 | 【樹木】ETC
 【新古今和歌集】
 さみだれはおふの河原の真薦草刈らでや波の下に朽ちなむ(入道前関白太政大臣)
 この歌とは関係ないが、薦(コモ)にちなんで。
 かつて選挙というと酒がつきもの。陣中見舞い、当選祝いと事務所には日本酒があふれかえった。薦被りの酒樽もあり、めでたく当選の際には、樽を割り祝い酒。

あの日々があって

2008-07-30 | 【断想】ETC
夏の日
草むらを走った
草むらに倒れるのは楽しかった
仰向けになれば
青い空が見えた
早朝には
土の中からはい出したばかりの脱皮前の蝉をつかまえた
それは、どこで見つけやすいか知っていた
金沢で
まだ小学生にならぬ頃のことだ
そんな日々があって
今がある


五月雨に柏茂りて

2008-07-29 | 【樹木】ETC
 【新古今和歌集】
 玉柏茂りにけりなさみだれに葉守の神のしめはふるまで(藤原基俊)
 五月雨が降る
 いのちの雨よ
 柏の木は生長し
 葉を繁らせた
 なんと美しいことよ
 木に宿る葉の神よ
 注連縄を張ろうよ
 柏の葉は、ブナ科では一番大きく、承継の恵みを示し、その木は、堂々として、古来、神の宿る木とされた。

真薦いとどしをれて

2008-07-28 | 【樹木】ETC
 【新古今和歌集】
 三島江の入江の真薦雨降ればいとどしをれて刈る人もなし(大納言経信)
 真薦刈る淀の沢水深けれど底まで月の影は澄みけり(前中納言匡房)
 都会での日常生活では、ムシロ(筵)やコモ(薦、菰)を見かけることが、少なくなった。真薦(真菰)は、コモの材となったところから、その名がついたイネ科マコモ属の多年草。湖沼、河川などに群生する。

あやめ草の流るる

2008-07-25 | 【樹木】ETC
 【新古今和歌集】
 けふはまたあやめの根さへかけそへて乱れぞまさる袖の白玉(皇太后宮大夫俊成)
 なべて世のうきに流るるあやめ草けふまでかかる根はいかが見る(上東門院小少将)
 何事とあやめは分かでけふもなほ袂にあまるねこそ絶えせぬ(紫式部)
 あやめ草は、涙と縁が深いようだ。
 「いずれがアヤメかカキツバタ」と言う。いくらかでも見分けられるようになるために、メモ。
 アヤメは、花の付け根に黄と紫の虎斑模様があり、それでアヤメ(文目)。
 カキツバタは、「書き付け花」。
 菖蒲と書いて、アヤメともショウブとも読む。しかし、アヤメとショウブは別の草本。
 ・アヤメ(文目、菖蒲):アヤメ科アヤメ属。
 ・ハナショウブ(花菖蒲):アヤメ科アヤメ属。花が大きい。色は、青紫、赤紫、白。
 ・キショウブ(黄菖蒲):アヤメ科アヤメ属。花色は黄。
 ・ノハナショウブ(野花菖蒲):アヤメ科アヤメ属。ハナショウブの原種。
 ・カキツバタ(杜若):アヤメ科アヤメ属。
 ・ショウブ(菖蒲):サトイモ科ショウブ属。

あやめぞかをる

2008-07-25 | 【樹木】ETC
 【新古今和歌集】
 うちしめりあやめぞかをるほととぎす鳴くや五月の雨の夕暮れ(摂政太政大臣)
 ここに出てくる「あやめ」は、今、われわれが「アヤメ」と呼ぶ紫の花をつけるアヤメ科の植物とは異なる。当時、「あやめ」とか「あやめ草」というのは、端午の節句で使うサトイモ科の菖蒲のことである。芳香があり、菖蒲湯にしたりする。その花は目立たない。現在の「アヤメ」は「ハナアヤメ」。

小笹を刈って葺く

2008-07-24 | 【樹木】ETC
 【新古今和歌集】
 小笹葺く賤のまろ屋の仮の戸をあけ方に鳴くほととぎすかな(後徳大寺左大臣)
 小笹(をざさ)から思い浮かぶ「刈る」と仮の戸の「かり」、戸を開けるの「あけ」と朝の意の「あけ方」が掛けられている。
 この歌に出てくる小笹とは、どんな笹なのだろうかということで、前にもブログに書いたけど、竹(タケ)と笹(ササ)のこと。
 タケというと、稈が真っ直ぐ高く伸びるもの、ササというと、地べたに群れ生えるものとして、通常そんなように呼ぶ。ところが、植物学的には、生長にともない、皮(葉鞘)が落ちるものとそうでないもので区別されるそうだ。皮が落ちるのがタケ、落ちないのがササだそうだ。ちなみに、地下茎がほとんど伸びず、株立ちになるのがバンブー。
 だけどまた、タケとササという言い方、通例、厳密な使い分けをしない。だから、この歌の笹は竹かも知れない。屋根に葺く笹となると、葉っぱだけというわけにはいかないだろうから、適度な太さと長さの稈をなすものと思われる。ササにもタケにもそれなりに稈が細くて、使えそうなものがある。

ここをせにせむ

2008-07-23 | 【樹木】ETC
 【新古今和歌集】
 聞かずともここをせにせむほととぎす山田の原の杉の群立ち(西行)
 「ほととぎすの声がしないが、ここで、ほととぎすが来るのを待つことにしよう」と言うことか。「せにせむ」の「せ」は、場所。「山田」は伊勢の国の山田、伊勢神宮のあるところを指している。
 私が比較的気楽に出かけられる範囲で、立派な杉の木があるのは、高尾山の参道である。樹齢数百年の杉が並んでいて見事である。太く、真っすぐに天に向かって立っている杉を見るのは気持ちがいい。てっぺん辺りには、天狗がいるかなと想像してしまう。

花橘に風過ぎて

2008-07-23 | 【樹木】ETC
 【新古今和歌集】
 雨そそく花たちばなに風過ぎて山ほととぎす雲に鳴くなり(皇太后宮大夫俊成)
橘にちなんで、海に身を投げたオトタチバナヒメノミコト(弟橘比売命)のことを前に書いた。東征の旅を続ける日本武尊(倭建命)のその後のこと。足柄の嶮しい坂を上り、頂に立ち、オトタチバナ姫のことを想って嘆く。
 「その坂に登り立ち手て、三たび歎かして、『吾妻はや。』と詔りたまひき。故、その國を號けて阿豆麻と謂ふ。(倉野憲司校注)」
阿豆麻は東国である。

わたし「モントブレチア」

2008-07-22 | 【草花】ETC
 いまの季節、気になる野の花のひとつがヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)だ。朱赤の花は色が濃く、緑の野に際立つ。もともと園芸種だったのが、野生化して、ところどころで見かける。
 アヤメ科のヒメヒオウギズイセンは、南アフリカの産で、ヨーロッパに渡って園芸植物と改良され、日本には、「モントブレチア」という名前で明治期に伝わったという。そんな経歴のゆえか、野にあっても、他と違う雰囲気をもつ。

棘つき鰭をはやした薊

2008-07-21 | 【草花】ETC
 住まいから駅への道端に、アザミ(薊)の花が咲いている。アザミという名前、花に魅せられて近づくと、葉の棘に刺される、「欺かれ」てしまうというところから来ているとも言われる。
 野には、キク科アザミ属のノアザミ、キツネアザ属のミキツネアザミ、ヒレアザミ属のヒレアザミ等がある。私が見つけたアザミは、ヒレアザミ(鰭薊)。茎には、ひれがつき、棘が生えている。先刻、近づいてよく見て、確認してきた。

木槿の白い花

2008-07-21 | 【樹木】ETC
 散歩の途中、白い花をつけたムクゲ(木槿)を見た。花期を迎え、人の目を楽しませてくれる。先にあらい鋸歯のある葉は、緑が濃いめで花の白さを引き立てていた。清涼感がある。
 ムクゲはアオイ科フヨウ属の落葉低木である。花色は紅紫をはじめいろいろある。同属に、フヨウ(芙蓉)、スイフヨウ(酔芙蓉)、ブッソウゲ(仏桑花)等があり、花弁のしわしわ感が共通している。ムクゲは、ハチス、ブッソウゲは、ハイビスカスとも呼ばれる。

蜻蛉・翡翠・蛇

2008-07-20 | 【断想】蛇
 程久保川添いを歩いていて、ハグロトンボ(羽黒蜻蛉)、翡翠(カワセミ)、そして、蛇を見た。蛇は、色が黒っぽかったが、アオダイショウ(青大将)だろう。蛇を見たのは、今年初めてだった。
 蛇は嫌いだが、これらを見て、よかったなと思った。