君ひとり

2016-07-28 | 【断想】ETC
 「昨日今日行きあふ人は多かれど見まくほしきは君一人かな」
 和泉式部の歌。
 この心境はよく分かる。
 男だって、そう思う。
 だけど、ギリシアの古い詩に、
 「男は常にあたらしい女の肌を求める」
 ともある。
 これも事実。
 人間、やっかいな代物。

ブウオーン

2016-07-14 | 【断想】ETC
 だいぶ以前から、声は聞いていた。
 姿を見たのは初めてだった。
 程久保川沿いを歩いていたら、
 大きな声がした。
 声の方を見ると、川面に波紋があった。
 いた。
 その声を何と表現すればいいのか。
 両生類の図鑑には、
 ブウオーン、ブウオーン・・・・・
 ウシガエルの鳴き声である。
 そんな声。
 ウシガエルで間違いないのかな。

朝の声

2016-07-14 | 【断想】ETC
 夜明け
 カナカナの声
 時計をみると
 四時二十分
 その前に
 ホトトギスが一声
 その後
 静かになった
 もう少し眠りたいな

 あれは曼荼羅華の花だった
 多くはないが紫露草も

澄み渡る

2016-07-09 | 読書
 謡曲「養老」を読んだ
 「風も静かに楢の葉の、鳴らさぬ枝ぞのどけき・・・」とはじまって、「よき御代なれや、萬歳の道に帰りなん」と終わる。
 養老の瀧の故事をもとに作られた一曲。まがまがしいところはなく、すっきりした作品である。
 「御山の松陰に、楢澄む水かな」
 「げに、潔き山の井の、そこ澄み渡るさざれ石の、巌となりて苔のむす、千代に八千代にのためしまでも・・・・」
 「天より光かがやきて、瀧の響も聲すみて・・・」
 「水滔々として浪悠々たり・・・」

鬼女山姥

2016-07-07 | 読書
 幽玄の作と言われる謡曲「山姥」。
 隠れなき遊女たる百魔山姥の曲舞が基になっての作。
 山姥は、「なうなう旅人お宿参らせうなう。・・・・わらはが宿にて一夜を明させ給ひ候へ」と現れる。
 その容貌は、「髪にはおどろの雪を戴き、眼の光は星のごとし。面の色は、沙丹塗の、軒の瓦の鬼の形・・・・」
 その暮らしは、「生所も知らず宿もなし。ただ雲水を便にて、いたらぬ山の奥もなし」
「松風ともに吹く笛の、聲すみわたる谷川に、・・・月に聲すむ深山かな」
 「春は梢に咲くかと待ちし、花を尋ねて山めぐり」
 「秋はさやけき影を尋ねて、月見る方にと山めぐり」
 「冬はさえ行く時雨の雲の、雪を誘いて山めぐり」
 そして、「廻り廻りて、輪廻を離れぬ、妄執の雲の、塵つもって山姥となれる」
「山また山に山廻りして、行方も知らずなりにけり」 と終曲。
 山姥は、夏はどうして過ごしているのだろうか。
 深山幽谷に涼んでいるのか、緑濃き木陰に。

夢に来たりて

2016-07-04 | 読書
 この前、謡曲「半蔀」を読んだ。それで、同じく源氏物語の夕顔の上の霊が登場する「夕顔」を手に取った。
 物の怪により落命した夕顔の上の亡霊が、旅の僧に回向されるという曲である。
 「ここは何処」とこだわる旅僧に、夕顔の上は、「紫式部が筆」による「かりそめの言の葉」のこと「むつかしげなる旅人」だことと対する。そして、「某の院」とされる場所は、六条河原の院と思っていいよと。
 「散りはてし夕顔の、花は再び咲かめやと、夢に来りて申すとて・・・・」
 「跡よく弔ひ給へ・・・・」   
 「御僧の弔ひ受けて・・・」
 最後は、「夕顔の笑の眉」、「雲の紛れに失せにけり」となる。
 夕顔の花は夏に咲く。
 同じく、夏の花、百日紅の花が咲き始めている。

朱の扇

2016-07-04 | 【草花】ETC
 程久保川沿いの道を歩くと
 橙赤色の藪萱草(ヤブカンゾウ)の花
 朱赤色の姫檜扇水仙(ヒメヒオウギズイセン)の花
 赤色系で目に付く
 昨日、国立能楽堂で能「葵上」を見た
 最後に、金春安明による仕舞で「融」を観た。
 舞扇は、白地に金色の四角模様を幾つか散らしたもの。
 赤色系ではないが、とても印象に残った。
 今朝、空はどんより。
 時鳥の声が聞こえる。

「修羅の道」

2016-07-03 | 読書
 知人が、仕舞で、「實盛」のキリ、舞い謡うというので観にいった。
 行く前に、「實盛」のキリというのは、どの部分からかと読んだが、分からなかった。
 「其執心の修羅の道・・・・・・」
 知人というのは、女性で、華奢なひと。
 能舞台がつとまるのだろうかと思わせられる。
 練習を重ねれば、舞い謡うことができるようになるものか。
 少なくとも、俺には、出来ない。
 凄いなあと思った。
 小さい頃、實盛の首が洗われたという池に行ったことがある。
 それでか、謡曲に接しだしたはじめにあったのが、「實盛」。